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一般高校時代

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それまで過ごした聾学校から、一般高校(聾学校ではない)に進学したあとの高校時代のNoteをまとめています。 ※マガジン分類は今後変わることがあります
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2020年9月の記事一覧

高校生のときクラスメイトから「善意」の手紙をもらった。その手紙で私は社会を「予習」した。

聾学校では、整列はいつも背の順番だった。 背が低かった私は、聾学校時代はずっと、整列で一番前の位置を守った。 幼稚部から中学部までずっと。そのため「前へならえ」で両腕を伸ばす二番目以降の位置に憧れていた。 一般高校に入って、自分よりほんの少しだけ背の低い生徒と同じクラスになった。背の順に並ぶと自分は2番目になった。私は初めて「前へならえ」で両腕を伸ばせてとても嬉しかった。 休み時間など、私は一番前の子と時々過ごすようになった。過ごすといっても、私が「入れてもらった」グルー

聾学校で私たちは「目」をそばだてて先生の話を聞いた。だが、一般高校ではいくら目をそばだてても、聴こえなかった。

聾学校では、手話はタブーだった。 先生方も子どもたちも、保護者たちも、手話をしなかった。時折、休み時間に、子どもたちが何か手話で話しているのを見かけたぐらいだ。 そんなわけだから、当然運動会も卒業式も、口だけで進行された。そこに手話はまったくない。 聾学校では、みんな「わき見」をしなかった。始業式終業式、運動会や卒業式練習では、「目」をそばだてて聞いた。わき見よそ見をして、何かを見過ごした(聞き流してしまった)とすれば、それは本人の「不始末」であった。 先生は、話す前に、誰