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新型コロナmyノート③『日本政府の新型コロナウイルス対策を理解する』

2020年2月より一事業者として運営に関する意思決定をするにあたり新型コロナウイルスについて学んできたことや考えてきたことを、「新型コロナmyノート」に記録しています。

注:私は感染症の専門家ではないので、専門的な内容については、ご自身でも事実確認・検証を行ったうえでご判断いただけましたら幸いです。

昨日から、過去ログからアップしています。
先日4月5日にnoteを始めたばかりのため、現在過去のログを整理しながらアップしている段階です。

【2020年3月の学び】

『日本政府の新型コロナウイルス対策を理解する』

日本国内で事業をするにあたり、日本政府の新型コロナウイルスへの対策を理解することは必要不可欠です。

同対策は、主に厚生労働省対策推進本部クラスター対策班と専門家会議が担っています。そして、その対策の柱となっているのは「クラスター対策」です。

■ 日本政府の新型コロナウイルス対策の目的

クラスター対策班の東北大学大学院医学系研究科・押谷仁先生の資料(https://www.jsph.jp/covid/files/gainen.pdf)にも書かれている通り、日本の新型コロナウイルス対策の目的は以下となります(資料より抜粋)。

★社会・経済機能への影響を最小限としながら、感染拡大の抑制効果を最大限にする
★これからとるべき対策の最大の目標は、感染拡大のスピードを抑制し、可能な限り重症者の発生と死亡数を減らすことです

■ 日本政府のとっている戦略

上記から読み取れることは、日本政府の新型コロナウイルスへの取り組みは、「封じ込め戦略」ではなく「ピークカット戦略」であること。そして、ピークカットにより感染者数を抑えながら、治療薬の開発を目指すことが読み取れるのではないかと思います。

つまり、中国・イギリス・アメリカ・イタリア・オーストラリア・ニュージーランドなどで行われている「抑え込み戦略」(ロックダウンによる移動制限や都市封鎖など)とは違う戦略です。

*封じ込め戦略と集団免疫戦略については前回のノートをご覧ください。
》新型コロナと向き合うノート②『 感染症撲滅 ― 2つの方法 』

ちなみに現時点では、スウェーデンが日本の戦略に近いやり方をしています。

》ウォール・ストリート・ジャーナル|コロナ対策で独自路線、スウェーデンの賭け実るか

日本の新型コロナウイルス対策の柱である「クラスター対策」を理解するには、以下のサイトがわかりやすいかと思います。

》厚生労働省|新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|問14 集団感染を防ぐためにはどうすればよいでしょうか?

》クラスター対策班の東北大学大学院医学系研究科・押谷仁先生の資料

以下、サイトから抜粋

〇クラスターとは
感染経路が追えている数人から数十人規模の患者の集団のこと

〇クラスター対策を成功させるために
=急激な感染拡大を防ぐためには、小規模患者クラスターの発生の端緒を捉え、早期に対策を講じることが重要

■ クラスター対策を講じる背景
*以下、押谷仁先生の資料(https://www.jsph.jp/covid/files/gainen.pdf)より抜粋

〇SARSとCOVID-19(新型コロナウイルス)の疫学的違い
【SARS】
ほとんどすべての感染者が重症化し、そのためにすべての感染連鎖を検出し、それらをすべて断ち切ることで封じ込めに成功した
【COVID-19】
多くの感染者が無症候・軽症であり、すべての感染連鎖を見つけることはほぼ不可能

■ クラスター対策で感染爆発を防ぐ

前述の新型コロナウイルスの疫学的特徴として、感染が拡がった状況では「すべての感染連鎖を見つけることはほぼ不可能」であることから、「感染爆発の基となる感染者集団(クラスター)/クラスター感染をつくらないようにすること」が重要であり、そのための対策がクラスター対策です。

感染者をゼロにするのではなく、感染が緩やかに拡がることを受容する戦略であることが読み取れるのではないかと思います。

多くの事例では新型コロナウイルス感染者は、周囲の人にほとんど感染させていないものの、一人の感染者から多くの人に感染が拡大したと疑われる事例が存在します(ライブハウス、スポーツジムや屋形船等の事例)。

そういった、感染者が急増する原因となる要素(感染リスクが高い場所や活動)を自粛により減らすことにより感染爆発を防ぐこと、それにより医療崩壊を防ぐことで一人でも多くの命を救う、というのがクラスター対策の目的であることが理解できると思います。

■ クラスター対策の肝:
「3つの条件が同時に揃う場所を避けること」

*以下、押谷仁先生の資料(https://www.jsph.jp/covid/files/gainen.pdf)より抜粋

〇クラスターの起きる環境の類型化➀
以下の3つの条件が同時に揃う場所での発生リスクが高い
1)<密閉> 密閉空間であり、換気が悪い
2)<密集> 手の届く距離に多くの人がいる
3)<密接> 近距離での会話や発声がある

〇クラスターの起きる環境の類型化➁
• 換気量が増大するような活動
• 大声を出す
• 歌う
• 1対複数の密接した接触
• 多くは咳・くしゃみがなく通常の飛沫感染ではない

ライブハウスや夜の街でのクラスター発生が危惧されているのは、上記3つの条件が同時に揃う場が多数であることが理由です。

■ 満員電車がクラスター対策による自粛対象にならなかったワケ

満員電車は、前述の3条件のうちの2つである<密閉>と<密集>はありますが、<密接>により対面して会話をすることがありません(飛沫が飛び合うことがない)。つまり、3つの条件が全て同時に揃っていないので、クラスター感染が起こりにくいといえます(個別での感染はあえます-例えばウイルスのついた吊革に触れた手で目/鼻/口の粘膜に触れてウイルスが体内に侵入=接触感染など)。

・乗車時間は平均30分前後 / ドアが数分毎に開く
・ほとんどの人は会話をしない(飛沫が飛ばない)
・マスクをしている

※ただし、感染爆発期は、その地域内の人との接触を極力たつことで、感染拡大スピードを落とす必要があるため、人と接触機会減らすために公共交通機関利用の自粛が必要になります。

■ 地域内で感染爆発が起こった場合の行動

ある地域内で感染爆発が発生する場合は、3つの条件が同時に揃う場所を避けることに加えて、一定期間の外出自粛により人と接することを8~9割減らすことで、感染拡大を防ぐことが求められます。

以下より、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議による現状の状況分析が確認できます。

》厚生労働省|新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の見解等(新型コロナウイルス感染症)



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