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Scene through[20071209])

※2007年12月09日
syrup16g 【END ROLL】NHK HALLのライブレポ
解散宣言の日の記録。ずいぶん、ゆっくり時間は流れてしまったけれど、あの日のことは覚えている。


『まさか、まさかこんな所で歌えるとは、思ってなかったですねぇ。 本当に感謝して、死ぬまで感謝します。来てくれた人ありがとう。

生まれてきてあんまり良かった事って、あったような無かったような、みんなそれぞれありますけど。
すごい楽しくて、すごい勝手な自分を支えてくれたファンの人たちとか、 もちろんメンバー、スタッフの人たちが居て ちょうど僕がダメな時も支えてくれたのはスタッフの人たち、 事務所の人たち、メンバー、みんなが支えてくれました。

でも、やっぱり甘えてばっかりいてはいけないなと思いまして、syrup16gは今年…いっぱい、とは言わず、3月1日に僕が大好きな日本武道館でライブやります。

ほんとに一生の思い出をみんなで作りたいと思います。どうでしょう?

でも最後にちょっと悲しいお知らせもあって、
僕らもそれで一旦終了させてもらおうかなと思ってます。

今まで本当にありがとうと、100万回ありがとうと言いたいです。 ありがとうございました。』

参照、ニコニコ動画&2ch


解散に関しての言葉を、五十嵐さん本人の言葉で聴けたのは、彼なりの誠意だった気がする。
このまま、放浪しつづける事が、リスナーを裏切る事だと思ったんだろう。

続けてくれるなら、騙しつづけて欲しいと思うのは、勝手なワガママ。そう知っていても、気持ちがついていかない。



NHK HALLはとてもいい会場だった。
3000人以上収納できる広さなのに、二回の真中で聴いていても音に違和感を覚える事はなかった。
ホールでのライブは音響的に不満を覚える事が多いのだが、今回はそれはなかった。


一曲目の『ニセモノ』のイントロがなった時から、五十嵐さんが歌い始めた時から、このライブがいいものになる予感はあった。今年見たライブの中でも、一番声が出ていると思ったし、前回の924からさん人編成に戻ってどうなるかと思った演奏面でも、むしろ今回のほうが良いのではないのかと思うほど素晴らしい演奏だった。

ただ、前の日記にも書いたのだが、僕には中畑さんのドラムが微妙にいつもより薄く聴こえた。
掲示板や他の方の日記などを読むと、キタダさんに対して同じような感じを抱いた人がけっこういたようで、ライブが個人個人に与える印象の違いが興味深いと感じた。

それを掘り下げて考えるほど元気は今ないけれど・・・・。

逆に考えれば、今回の演奏で、五十嵐さんがこれまで以上に気合の入った丁寧な演奏をしていたという証拠なのかもしれない。


二曲目『I・N・M』から生活~神のカルマと既発曲であり代表曲というべきナンバーが立て続けに演奏される。大阪、名古屋のライブのセットリストを見たわけではなかったが、新曲が数曲演奏されるとは聞いていたので、序盤でこのナンバーが演奏される事にも驚きはなかった。むしろ、これから先、どんな曲が演奏されるのかと胸が高鳴っていた。


そして、『さくら』『Helpless』『途中の行方』『ラファータ』と新曲が続く。ラファータからはアコギをもって椅子に座りながらの演奏。

結局、この日演奏された未録音曲はここまでの五曲に加え、アンコールの『来週のヒーロー』『Scene through』を加えた7曲。おそらく、初日の大阪で演奏された『バナナの皮』を加えた八曲はラストアルバムに収録される事は確実なのだろうな。その他の30数曲のうちのどれくらいがお蔵入りになってしまうのだろう。タイトルが決まっていたものも没か・・・。切ない・・・・。


この日、驚いたのは、久しぶりにリアルが演奏されたこと。

二回目のアンコールの最後に、突然掻き鳴らされたナンバー。僕が聴きたくて、聴きたくなくてしょうがなかった最凶のロックンロール。


それが、『きこえるか』から、冒頭の解散宣言、そして『翌日』に繋がるとは思っても見なかった。
パープルムカデも、演奏されるとしてRebornも、武道館にいけるとして、生で聴く事ができるのはあと一回しかないと思うと、絶望的な気持ちになる。



MCが始まって、「今年限りとは言わず~」のフレーズが耳に届いた時、なんとなく胸の中にあった不安が的中したんだなと思った。まわりは武道館が決まった事を喜んで拍手していたけど、そのフレーズは確定的すぎた・・・・。


100万回のありがとうの何倍もありがとうを、彼らの音楽に触れた人は返したいと思っているだろう。だから、mixiでも2chでも、バンドを辞めて幸せになってくれるならという声が出てくるのだと思う。


生きていていいことなんて、あったんだか、なかったんだかと五十嵐さんは言いました。

俺はありましたよ。あなたたちと、その奏でる音に出逢えたもの。この時代、この国に生まれていなかったら、まずそんな事は無かった。


さよならも、ありがとうも、まだいいたくないや。
三月に解散するその日まで。

素敵なライブだった。とてもいい音楽だった。
それでいいじゃないか。
でなけりゃ、やっていけない。
やっていけないもの・・・・・・。


※そして、この後のlast waltzへ時間は流れていく。
今の視点でのあの日を1年前から書いているが2024年のその日に完成させられたらいいな。

解散宣言の後、会場の外で抱き合って泣いている女の子たちを見た。その中の1人と最近お話ししていて、あの日のことを話した。

時間は不思議だね。様々なことを運ぶよ。

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