FIFAワールドカップ・欧州予選 グループC 第8節 ブルガリアvs北アイルランド感想
サッカーを愛する皆様、こんにちは。
くろだといいます。
ワールドカップ欧州予選アーカイブ計画として、僕は「#W杯欧州予選グループC全部見るマン 」として今回はブルガリアvs北アイルランドの試合をお届けします!
試合前情報
前節リトアニアに敗戦を喫し、今節でスイスがリトアニアに勝ったことでワールドカップ出場の目が消えてしまったブルガリア。もともと厳しい条件ではありましたが、少しでも上の順位を狙うために強度の高い試合が見られる事を期待しています。
対して北アイルランドは前節に退場者を出し、スイスに完全なる力負けをしたショックをどう払拭できるかに注目したいと思います。
スタメン
ブルガリアはこれまでの布陣だった4-2-3-1から4-3-1-2へと変更。これは5バックの相手に対する対策なのかどうか、試合序盤は注目してみたいと思います。両サイドバックが高い位置を取って幅を取るのか、トゥソネフ・ツォネフが幅を取りに行くのか、相手の中盤との差し合いで見られる景色が変わってくるのではないかな、と。
対して北アイルランドは従来取りに5バックの布陣ですが、第6節で見せた布陣に近い陣容。その時は左サイドバックにルイスがいましたが、前節で退場処分を受けた影響で欠場となります。ブルガリアの中盤との差し合い、特にネデレフとチョチェフとの駆け引きがどの様に試合展開を左右するのかに注目してみたいなと思います。
試合雑感
北アイルランドはブルガリアに対して積極的なプレスを展開しつつ、ビルドアップではセンターバックの両脇が大きく開く事でウィングバックを押し上げる形。ゴールキックからの布陣の並びからすると、3-1-4-2の様な布陣を目指してミドルサードでは振る舞いそうです。
試合開始2分でのブルガリアのプレーからは少し狭く攻めようという志向が伺えますが、ビルドアップ阻害はイリエフ(19)がサイドを限定する動きを見せつつデスポドフ(11)などが連携してパスコースを塞いでいく形。
ボールが落ち着いてきた辺りで幅を取ろうとし始めますが、基本的にまだ重心は後ろに残る形。
北アイルランドはマゲニス(21)をブルガリアのディフェンス陣の裏に走らせるなどして手数をかけずに攻めようという意思も見せます。
試合開始10分を過ぎたあたりではブルガリアは北アイルランドのビルドアップに対して人数が合わない事から前進を許すシーンも見られましたが、プレスでサイドを限定しながらゴールキーパーへのバックパスまで誘導しきれれば、というプレッシャーのかけ方を見せます。
この時点では、お互いがビルドアップ阻害に対して枚数やプレッシャーを合わせつつ、ロングボールを選択させる形で試合が進みますが北アイルランドの方が有効なチャンスを演出しています。16分に迎えたチャンスはブルガリアのキーパー、カラジョフのセーブによって阻まれましたが、強度の高いトランジションによってワシントン(9)が身体を張ってキープし、ファーガソン(11)のクロスからマクネア(17)が飛び込んでヘディングシュートを放つというもので、この試合で北アイルランドが見せようとしている攻め筋が見て取れると思います。
前半15分を過ぎたあたりから、北アイルランドはビルドアップ時の数的優位を有効に使いながらスペースを得ながらブルガリアのディフェンスラインの裏を狙っていきます。この時点では北アイルランドの方が理性的な試合運びを見せていますし、カラジョフのファインセーブがなければ早々に試合が決着してしまっていたのではないでしょうか。
というわけで、両軍ともビルドアップから少しずつ前進をしようとするとビルドアップ阻害でストレスフル、サイドから斜めに楔を打ちたいがターゲットが分かりやすいのでプレッシャーを外せない、だったらどうする?トランジション!というブルガリアとビルドアップ時の噛み合わせでそれほどストレスを感じない、前進はたやすいけど出来るだけ相手を引っ張り出したいね、トランジションで裏を刺したいね、という北アイルランドという趣きで試合は続きます。
30分ごろには、少しずつ消耗が進んできてブルガリアが前線に人数を送り込めるシーンが増えてきた事で潮目が変わってきますが、まだ枚数を残して対応できる北アイルランドが慌てる様な場面を作れている訳ではなく、北アイルランドの振る舞いに苦戦する様子が見られます。
35分の北アイルランドの先制点は、効果的なチャンスメークを見せていた北アイルランドの攻勢にとうとうブルガリアが負けてしまった、という感じでしたがセンターバックとサイドバックの間のチェーンを徹底的に狙われながら攻め上がってくるウィングバックによって押し込まれて跳ね返すパワーを出せなかった事が北アイルランドの循環を助けたのだろうと思います。
先制点を献上してしまったブルガリアは、トランジション時の裏のケアをハッキリさせると同時に少しペースを変えて攻め急ぐことを自重し始めます。北アイルランドが少しスローダウンした事も助けになりましたが、徐々に北アイルランドの中盤の3枚の脇を使いながら人数をかけて崩していこうという意図を見せます。前半時点ではそれが実る事はありませんでしたが、攻勢に移れそうな雰囲気を残して前半終了となります。
ブルガリアはツォネフ(4)からイリエフ(22)の選手交代。今気づきましたがイリエフが3人もいるんですね。紛らわしい。
北アイルランドは前半同様にブルガリアの4バックのチェーンを切りながらサイドバック裏を伺いつつ、サイドを起点にクロスを狙っていく構え。
対してブルガリアも北アイルランドのウイングバック裏を狙いつつ、セカンドボールの回収を北アイルランドの中盤の3枚の脇に設定し、ロングボールを積極的に入れていきます。
後半早々の同点弾はその流れから、セカンドボールを回収したイリエフ(22)が中央へ配球、ネデレフ(8)が流し込んだ、というものでした。
これで、ブルガリアは北アイルランドの布陣に対する攻略に一定の道筋を見出す事になりましたし、重心の置き所を掴むことが出来た事で北アイルランドの両ウイングバックの挙動に対してどのラインに重心を置くのかという選択を突きつける事になりました。
北アイルランドの選択は積極的な攻め上がりでしたが、これによってより展開はオープンに寄る事になり、バックラインの安定による試合展開へのグリップを自ら手放す事になったように思います。
攻撃時には攻め上がり、守備時には5枚がペナルティエリア幅まで絞ってリスクコントロールをしようとした結果、バイタルエリアでの強度の低下を招いてしまい、ネデレフ(8)の素晴らしいミドルによって逆転を許してしまいます。
どうにか打開をしたい北アイルランドは66分にマゲニス(21)に代えてダラス(14)、ブラッドリー(2)に代えてジョーンズ(16)を投入します。ダラスもジョーンズも、ボールポジションが前目の方にある時は積極的に中盤の密度を高める挙動を見せており、攻勢に出たい北アイルランドとしては中盤の制圧から積極的にトランジションを迎えたい意思を見せます。
試合の流れを手放したくないブルガリアは、71分にトゥソネフ(14)に代えてマリノフ(16)、ネデレフ(8)に代えてヤンコフ(7)を投入します。これによって中盤の強度を担保しつつ試合をクローズの方向に持っていきたいという意図を見せますが、北アイルランドの攻勢を停めるまでには至らず、両軍ともに攻め合う時間帯が続きます。
ブルガリアは80分にはイリエフ(19)に代えてクラステフ(17)を投入し、前線の強度を維持しようという構え。その直後には北アイルランドもワシントン(9)に代えてチャールズ(10)、カードを貰っていたバラード(4)に代えてマッギン(7)を投入します。
基本的には攻め筋を大きく変えることなく中盤の強度などに手当てする事で打開を狙った北アイルランドでしたが、ブルガリアの守備陣を攻略しきることはできずに終戦。先制することが出来たものの、逆転を許す悔しい試合となりました。
まとめ
試合開始してすぐは5バック相手の攻略に苦労したブルガリアでしたが、重心を整えた後は北アイルランドの攻勢を跳ね返し続ける事が出来た事で攻撃時に5バックを無効化しつつキッチリ勝利に値するゴールを決める事が出来た試合でした。攻め筋を見出すまで耐えきったカラジョフのセーブがチームを救ったとも言えますが、前線にゴールを決めきるタレントがいた事がブルガリアのチームとしての強度を示す事が出来た様にも思います。
ワールドカップの出場はかないませんでしたが、親善試合で日本との対戦があったら面白いなぁ、とも思うので仮想〇〇としても打診してみて欲しいですね。
注目選手
カラジョフ
まずは、ブルガリアの勝利を手繰り寄せた素晴らしいセーブを見せてくれたカラジョフを。wikiを見ると32歳とそれなりの年齢ではありますが、まだまだキャリアを積む事が出来るでしょうし、11月シリーズでも見られるのかどうかに期待したいと思います。
ネデレフ
もう一人はブルガリアを勝利に導いた素晴らしいゴールを決めたネデレフを。
28歳という年齢から、もう一回くらいはワールドカップへの挑戦を狙えるのでは、と期待していますがどうでしょうか・・・マインツへの在籍経験もあるようですので、もう一花咲かせる為にどこぞへと移籍したりしないものかとモニョモニョ考えたくなるタイプです。
今節の活躍から考えると、プレーメーカーというよりはアタッカー的なニュアンスが強めな選手にも見えますが、他のチームに入った時にどんな振る舞いが見られるのか、少し妄想して見たいなと思います。
試合結果
2021.10.13
カタールW杯欧州予選 第8節
ブルガリア 2-1 北アイルランド
ヴァシル・レフスキ
【得点者】
BRU:53' 63' ネデレフ
NIR:35' ワシントン
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?