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サーガとオース絶対許さん侍のヴィンテージ神調整録! 青白ルールスt赤

この世は大《ウルザの物語》時代。サーガを持つものは勝ち、持たざるものは死あるのみ。


前回のヴィンテージ神、9位という好成績を残せたものの《ウルザの物語》を使わず、そして使われてその強さを思い知った。


今回のヴィンテ神に参加するにあたっての大きなテーマの1つは、《ウルザの物語》に強いデッキを作るということ。

そうして準備を進めていたところ、幸運なことにちょうど社内にヴィンテージに興味を持つ新参者が現れた。


それがいってつである。

ヴィンテージに興味を持ち、村人たちの口車に乗せられ、始めることとなったいってつ。
自分としても同じ志を持つ仲間がいることでより真剣に取り組もうと思った。
ヴィンテージの知識を教えつつ、自分も学ぶ。

そんな環境に身を投じ、ヴィンテージ神、いざ調整の旅へ!
※筆者もヴィンテージ駆け出しです。認識が間違っている部分もあると思いますがご容赦ください。

■どんなデッキにする?

とはいえ、P9は揃っていなかったために前回は持ちうる資産で組める「ジェスカイアルカニスト」で参加しており、今回も事情は変わっていない。
しかしこのままの構築だと《ウルザの物語》デッキに対しては不安が残る。


納得できる形に改良するか、新しいデッキを探したいところだが、
元々パワー9は《Black Lotus》《Mox Sapphire》《Mox Ruby》《Time Walk》《Ancestral Recall》しか持っておらず、必然的に作れるデッキは限られる。だが持っているからには使いたい。


手持ちのP9

そして直前のEWEでは《ドルイドの誓い》コンボ、「オース」が優勝していた。
前回の神では自分もオースに負けており、個人的にはリベンジしたいアーキタイプとなっている。

というわけで
《ウルザの物語》に対処できる
・手持ちのP9で何とかできるデッキを使う
・オースに勝てる


この3点を満たすデッキを探すところから始まった。

■環境理解

今のヴィンテージ環境をざっと見渡したところ、前回の神で現れた青黒ルールスは定着しており、オースは優勝で勢いづいている。
代わりにあれだけ栄えたジュエルキャットは大きく衰退しており、バザー系デッキも元気がない。

イニシアチブもいるが、オースに弱いのでまあいるだろうくらいの感覚だ。

なので
「オース」、「青黒ルールス」に勝つデッキを作りたいなと思って色々漁っていたところ、面白いデッキが出てきた。

それが「青白ルールス」だ。

■青白ルールス

青白ルールスは、《オークの弓使い》の代わりに《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》で相手を縛り、置物対策を熱くした感じのコントロールデッキで、リストを見ると一見全然勝たなそうなデッキだ。


ただ思い返してみると、前回出場したヴィンテージ神では、この《ラヴィニア》が刺さったマッチが多かった。


Moxやピッチスペルを封殺


特にジュエルキャット戦では最強であり、これ一枚だけで俺の知らないところで相手が悶絶していたし、カウンター合戦でも相手だけピッチスペルが使えないので有利になる。

青白ルールスは12月に入ってかなり結果を残しており、ジュエルキャットが
衰退したのはこのせいなのかな?と思ったりもした。


執筆時点で7番目に入賞リストが多い。


またオース対策にはサイドから大量の《封じ込める僧侶》が入るのが青黒との違いだ。


オース、バザー系デッキに効く

そして青白ルールスは《ウルザの物語》を使うデッキでもある!
「ジェスカイアルカニスト」ではマナベースの観点から使えなかったが、《ウルザの物語》は間違いなくヴィンテージ最強の土地であり、アーティファクト中心デッキだけでなく《Time Vault》コンボを搭載していないコントロールデッキにすら入るのだから、使わないのはハンデとすら思えた。

ジェスカイアルカニストも楽しいデッキだが、《オークの弓使い》で簡単に対処される《ラガバン》の光景が頭に浮かび、使う気になれない。

決めた。いったんこの「青白ルールス」を試してみよう。

■ラヴィニアは最強

環境のデッキを見て1人回ししてみると、大きな壁にいきなりぶつかる。
それはラヴィニアが1ターン目に出せるかどうかが非常に重要だということ。
1ターン目出せれば相当有利になるが、初動を弾かなければ押し込まれ続け、《ウルザの物語》を起動するタイミングも作れない。

そう考えると《Mox Pearl》を持っていないというのは致命的な弱点だ……

《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》は(青)(白)を要求するカードで、《太陽の指輪》や《不毛の大地》などの無色のマナでは賄えない。
今のままでは1ターン目に出せる条件が《Black Lotus》《Mox Sapphire》《水蓮の花びら》の3枚。大げさかもしれないが、3枚あるか4枚あるかはかなり大きな違いに思える。
《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》を強く使うデッキなのに、最大出力で使えない。それならば無理に青白ルールスを使う理由はないんじゃないか?

というわけでいきなり頭を抱える事態となってしまった。

他のカードで代用するか?と思ったものの、代替できない故のパワー9であり、そんなカードは見つかるはずもない。こればっかりはどうしようもない……

と思っていたが、発想を転換することでこの問題を解決した。






早速デッキを組んできたいってつさんとフリプ。
自分のデッキは既存の青白ルールスをコピーした形。(Mox Jetは別のカードで代替)


いってつさんのデッキは茶単マナ加速と縛り置物を使いながら攻めるデッキだ。
ワクショを1枚しか持っていないので完全体とは呼べないが、無いなりに工夫してデッキを作り上げていた。
自分もその精神を見習っていきたいと思う。

そして何回かフリプしていくうちにわかったことがある。
それはラヴィニアが最強過ぎるということだ。

"いってつスペシャル1.0"はMoxやワクショがない代わりに、《厳かなモノリス》や《玄武岩のモノリス》などを使う。

それに《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》が歯止めをかけるのだ。
マナ加速してもその先で出したいカードも止まる。

フリプ初日はカード資産の暴力で叩きのめす感じになってしまい、よくないカードゲーマーの見本みたいな感じになってしまったが、それによりいってつさんもデッキの大幅な改造を決断した。

次に持ち込んできた"いってつスペシャル2.0"(通称:パワー0観光客)はマナ加速のアーティファクトを削り、その代わりにアタッカーでライフを詰め《残響する深淵》で《ウルザの物語》《不毛の大地》を使い回す形だ。

サーガでもあり不毛でもある

例えるならば、ゴロスショップとアグロショップのミックスみたいなイメージ。

この変更により、うって変わってかなり自分が苦しいマッチアップになった。
青白ルールス側としてはしっかりマナを伸ばしてコントロールしていきたいが、土地がどんどん割れていったり、こちらの対処札以上の《ウルザの物語》を連打されて負けてしまう。

またもう1人ヴィンテージを組んだ男がおり、そいつに至っては《幽霊街》まで入れて土地ハメしてくる。
そしてフィニッシュは《ウルザの物語》だ。
この戦略に人メタか?と思うくらいボコボコにされてしまった。

これまで《Tundra》は2枚しか持っていなかったので《神聖なる泉》で代替していたのだが、サーガトークンや《継ぎ接ぎ自動機械》のパンチが痛すぎてショックインがメチャメチャキツかった。ガシガシ割られていくそ、やはり《Tundra》3枚目が欲しい。

ただつい先日大きな出費をしたばかりだし、再録禁止のデュアルランドである《Tundra》は決して安いカードではない。またしても頭を抱えることになった。

そこで、自分自身も驚きの決断をすることになる。








■《ウルザの物語》を許すな

土地ハメ戦略でこちらのマナベースをボロボロにするのはまだ許せたのだが、その後適当な《ウルザの物語》で負けるのがメチャクチャムカついた。

ワクショ系デッキはもちろん、ルールス同型やティンカー、オースデッキにも採用されているこのカードを対処しなければ勝つことはできない。

サーガ絶対許さないマンの誕生である。

青白ルールスがどのように《ウルザの物語》に対抗しているのかというと、合計5枚の《不毛の大地》《露天鉱床》がデフォルトで入っており、人によって《広がりゆく海》、《浄化の印章》、《断片化》などが採られている。


《広がりゆく海》、《浄化の印章》はルールスでおかわりできるのが強い。茶単相手なら《浄化の印章》を使い回して相手の置物をすべて破壊することもできる。

ただゴロスショップだと土地サーチもあるため、これでも全然足りない可能性がある。なのでより根本的に対策になるカードが欲しい。

ふと土地ハメデッキを相手にしていた時、いくつか勝ちパターンがあることを思い出した。

その1つがドロー呪文でアドバンテージ差を付けること。


こちらのサーガを残し、なおかつアドバンテージが取れるカードを探したい。

そこでまず白羽の矢が立ったのが《テフェリーの反応》だ。

ギャグみたいなカードだが、《ウルザの物語》を守りつつ2ドロー出来るのは強すぎる。

これはヴィンテージの対戦動画を精力的に投稿している冬宮みはるさんの動画から着想を得た。

ただ試してみたところ、タイミングが限定的すぎるので、使い勝手が良くない。相手が《不毛の大地》を持っている時にこちらが1マナしかなく、その状態で、《ウルザの物語》を出すと、1章スタックで破壊されて2マナが出ずに打てない、みたいな案件に遭遇したため抜けていった。

ゴロスショップ系、ガチでキツイな…

そう思っていたところ、MOに新しい青白のリストが飛び込んできた。

12/23のVintage Challengeで3位の青白コントロール、《無のロッド/Null Rod》不採用。

ワクショデッキに必須では!?

これには正直目を疑った。サイドに絶対必要なカードだと思っていたからだ。

ただ、これまで土地ハメ茶単デッキに死ぬほどボコされていたため、すぐに納得できた。ゴロスショップ系デッキは、アーティファクトハメが訊くかと思いきや、《Mishra's Workshop》からのマナですぐに追加戦力を投入することが可能なのだ。

それだけではなく、自分自身がアーティファクトでマナ加速ができないため、速度で追いつくことができなくなり、《無のロッド》を置くことは逆に負け目になってしまう。

自分も信頼度が下がっていたので、このリストに倣って自分のリストからも抜くことにした。アーティファクトが動いても、《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》で何とかできる。これはいってつさんとの練習が無ければ気が付けなかっただろう。

じゃあサイドに何を入れるのか?という話になるが、やはりここは《ウルザの物語》対策を入れたい。そしてちょうど青白ルールスでは《Mox Ruby》だけ使わないP9となっている。

やっぱり持っているMoxはフルで使いたいな…赤いカードでいいものなんかないかな?と探しまくっていたところ、激熱カードを発見した。

それが《高山の月》だ

影響があるのは相手だけなので、こちらだけ《ウルザの物語》が使える状態になる。そしてこっちの不毛は相手のマナベースに使える!逆に他に対処札があれば《不毛の大地》を指定するのも悪くない。

サーガ環境にまさにピッタリのカード!!この発見は良いか悪いかは置いておいて、とても興奮した瞬間だった。

となると他にも赤いカードを入れたいな…と思ったが、《敏捷なこそ泥、ラガバン》は《オークの弓使い》に簡単にやられるので使いたくない。メインに赤いカードは0のタッチする形に決めた。

そしてヴィンテージサーバーでの対戦などを経て、青白はイニシアチブに非常に弱く、対策を取らないのは自殺行為だなと思ったので、サイドに余裕を作って《廃院の神主》を4枚投入することにした。

対イニシアチブ最強

■デッキ完成

というわけで使ったリストがこちら。

サイドボードはイニシアチブ、オース、ドレッジ系、アーティファクト対策を行い、コンボ(特にDoomsday)を見切った形にした。

Doomsdayに対してはカウンターが多く有利だと思ったので、それよりほかのデッキの対策を厚めに取った。

また3色にすることで《虹色の終焉》が使いやすくなった。

正直年末年始で十分に時間があったとは言えず、あまり色々なアーキタイプと練習できなかったが、限られた時間の中で満足のいく調整が出来たと思う。
いざ本選へ!

■ヴィンテージ神挑戦者決定戦 結果

予選ラウンドは6回戦。

R1 青白ルールス(MOパンダ) ××
先攻でガンガン展開したら、《天秤》で全てをまくられた。入れる発想がなかったのでモロに喰らって負け。

R2 ティボルトカスケード ○○
2ゲームともピッチカウンターを初手にもらえて、《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》が完封。

R3 逆説ストーム ○○
《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》でハメて、サーガは全部割って勝ち。

R4 Doomsday ×〇×
切っていたDoomsdayに当たり、効果的なサイドを取れず負け。それでも1本取れたので本当に相性は悪くないと思う。

3ゲーム目は1tラヴィニアができる以外何もないハンドだったが、手札が減る方がカウンター合戦で負けそうだと思ったのでキープ。
すると《強迫》で《Mox Sapphire》を落とされて、《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》が出ず、そのままゆっくりされて負けてしまった。

マリガンが甘かったのか?わからないけどたくさん手札を抱える方が相手にとってプレッシャーになると思った。

R5 青黒ルールス ××
オークが出てきて、ドローが噛み合わず負け。
対戦経験がなかったのが響いた気がする。
サイドから《ウルザの物語》に飛んできた《大群への給餌》が超いいカードだなと思った。広く受けられるしサーガ、オースを割れる!

黒なのにエンチャ割れるの強すぎ!

■反省

・《高山の月》について
それなりに活躍したが、シゲキに「サーガと同じ対策で割られるから意味なくね?」と言われてしまい、「確かに~~~」となった。
ルールスでもう一度拾えるし、悪くはないはず。ただタッチでわざわざ入れるほどではなかった。メインもジェスカイならあり。

・《力ずく》について
こちらもアーティファクト系デッキに対してはオーバーキルに感じた。その分どの相手にも入れやすい《紅蓮破》を入れるべきだった。

サーガ対策は過剰だったかも。そのスペースにカウンターを増やしたり、《天秤》をいれればよかったかな。

ヴィンテージをやるにあたって一番大事にしているのは楽しむこと。結果はついてこなかったが、調整の過程は非常に満足している。

特にヴィンテージ初体験のいってつさんが16位入賞というのが嬉しい。
一緒に練習したかいがあり、何より最高に楽しんでくれた。


一緒にやる人がいるともっともっとマジックは楽しくなる。調整期間がメチャクチャ楽しかったので、またがんばろ。

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あと奥さんに《Mox Pearl》を買ったことは内緒にしておいてください。

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