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尺岩魚・熊と出逢う

2007年9月21日
この日の沢は、数日前の台風で川底が洗い流され、エメラルドグリーンにキラキラと輝きとても澄んでいた。これほど綺麗な水の木沢は初めてだった。早々に仕掛けをセットし釣り登り始めたが、午前中はアタリもなくサッパリ。昼食を済ませ大棚橋から水の木沢に入って1時間ほど釣り登ったあたりで、突然S.Hさんが少し上流で釣っていたぼくの方へ、何か叫びながら駆け上ってきた。呆気にとられ、下流をみると10~20mの至近距離に熊が現れたのだ。熊は対岸から我々のいるこちら側にわたってきたのだ。(川幅は10m足らず)びっくりしてさらに上流に逃げると、幸いにもその熊はこちらには目もくれず、あっという間に下流へと姿を消した。熊の方で我々を避けたようだ。2人顔を見合わせ ほっと胸をなで下ろした。その後、沢には熊の足跡がいくつも残っていて、 気が気でなく釣りに集中することが出来ない。
そろそろ終わりにしようと思ったころ、20cm、25cmのヤマメ、そして、綺麗な尺岩魚(32cm)をたてつづけに釣ることが出来きた。尺岩魚を釣ったのは初めて、かなり興奮していた。25cmのヤマメはリリースボックスに入れるときに川に落としてしまい写真を残すことは出来きなかったが、尺岩魚をリリースボックスに入れるときには水辺から離れ慎重に入れた。それでも一二度河原に落としてしまった。 あまりに大きくてリリースボックスに入らなかったのだ。 やっとの事で無理矢理リリースボックスに押し込んだ。その時、岩魚が苦しそうにギュ~ッとないたような気がした。撮影後リリースすると、その綺麗な岩魚は、何事もなかったように悠々と川を泳ぎ下っていった。釣りを終え、竿を仕舞い始めた頃にはあたりはもう暗くなり始めていた。登山道を熊よけの鈴をカランカランと鳴らしながら、電池の切れかかった懐中電灯を頼りに、10分ほど下山し始めた頃。突然ピカっと光が目前に現れた。釣り管理場の人の車だった。暗くなった駐車場に1台だけ車が残っていたので、心配して見に来てくれたのだと言う。「こんな暗くなるまで危険なので止めてください」とえらく叱られてしまった。結局、帰りは1時間半かかる道のりをこの車に乗せていただき。この日は往きにも、伐採作業をする軽トラックの若者が沢の入り口まで乗っけてくれると声をかけてくれたので。往き帰りともずいぶん楽をさせ貰った。熊に遭遇したり、尺岩魚を釣ったり、車で送り迎えをしてもらったりと、いろいろと思い出に残る、盛りだくさんの幸運な1日でした。

2007-10-12-水の木沢 003

▲尺岩魚(リリースボックスのフレーム下の赤い点は5cm間隔)

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