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明日わたしは誰かの彼女、第一巻読解

明日わたしは誰かの彼女、通称明日カノの第一巻がサイコミで無料だったので読んでみた

※重大なネタバレ含むあらすじ

虐待を受けた経験がある主人公 雪がレンタル彼女をしている最中、自分を愛してくれる男性客に出会い本当の彼女にならないかと迫られる
しかしそれをこっぴどく拒否する というもの

典型的な回避性愛着障害の話だった
どこがそれに該当する行動、思考だったのかストーリー順に解説しようと思う
(※筆者は愛着障害とまではいかないが愛着スタイルに少し回避/不安型の特徴が見られる程度の精神医学ニワカ)

雪に強く共感できるという人はこの記事を参考にしてみてほしい

①主人公の雪は小学校の頃から将来の夢などなかった
これは愛着障害によく見られるもので、自分の将来の夢や目標などがなく、また時期が来てもいまいち決められないという特徴だ

②私じゃないワタシ

私じゃないワタシ という心情

これもよく見られる特徴で、愛着障害を患うと自己同一性が弱くなってしまう
アイデンティティや自己を自己たらしめるものが見当たらないのでこのような心情になるのだろう

③虚言
自分の親について聞かれたとき馬鹿正直に虐待する親だったと答えるのもおかしいが、雪は母親を看病する健気な娘を演じている

これは統制型と呼ばれる愛着障害に見られる特徴で、周囲の人間を自分のコントロール下において安心を得たいがために虚言を弄するのだ
主人公雪の場合この統制型には当てはまらないと思うが、一例として紹介しておいた

④感情の爆発
回避性愛着障害は基本的に人と関わりたがらず、感情の起伏が少ない
これはたまにしか遊んでくれない親、もしくは攻撃してくる親から逃げるための自己防衛だと考えられている
雪の場合は喜び、怒りの多少の感情の起伏少ないとはいえを見せているが哀しげな感情は決して表していない

⑤人と親密な関係になりたがらない
回避性愛着障害が回避性と呼ばれる由縁である
これは小さい頃に親が死別したり離婚して離れて起きる行動である
人と愛着の絆を結んだ経験がないため、人に心を開かず、恋仲など親密な関係になるのをできる限り避ける
幼児の場合だと普通親が近くにいないと不安になるものだが、回避性愛着障害を患う子は気にもとめずに遊び続ける
養護施設など特定の親がおらず何人かの職員が育てるような場所で育つとこの障害を患う傾向がある

このような回避性愛着障害と親密になるのは難しく、もしなったとしても当人は非常に強いストレスを受ける
太宰治などもこれと不安型の混合であったと考えられている

なにはともあれ愛着障害の診断、治療は極めて難しいので筆者としてはできれば親との関係回復
しかしそれは難しいから次の手として認知行動療法や積極的な愛着基地の形成、尊敬する人を作る などで自己治療していってほしいと思う(もちろん自覚症状があるならまず専門医にかかっていただきたいが)

参考になったら嬉しい


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