見出し画像

「多元追憶ストライクエンゼル」各話紹介#8

ぼくが制作に参加している自主制作アニメ「多元追憶ストライクエンゼル」。
その各話を、メインプロットを追いながら見どころや制作の裏話などをお届けします。

・・・

今回は第八話「異次元の猟犬」の紹介と解説です。

第八話は、アクションがメインの回です。
第五話以来となる第三帝国勢力との戦いになります。新キャラ ユーディット・シェーファー率いる次元潜航艦との一騎打ちは、後にも先にも名バトルとなっています。

このエピソードの立ち位置

前回の「それぞれの夜明け」は、キャラクターたちが各々の感情を固めたり、役目を意識するような、そんなエピソードとなっていました。若きクルーたちが、自分の立場や人間関係についてを言葉にすることが多く、気持ちの整理をすることができたひと時でした。
今回は、それぞれの意識が強敵との戦いを通じて、緊張と緩和、衝突を繰り返しながら混ざり合うようなシナリオとなっています。

今回の敵は、単艦ながらも異次元を進む次元潜航艦です。つまり、直接には見えない敵との長期戦です。
これまでのように姿が見えている敵と砲弾を撃ち合いながら消耗していく戦いのような分かりやすい戦いではないため、若きクルーたちには経験したことのないストレスがのしかかります。心理戦となるため、味方が一枚岩となるのが難しい。戦いが長くなればなるほどに、状況を打開しなければならないという気持ちが暴走しやすくなる。
逆に言えば、この試練を乗り越えられるとヒリュウクルーたちの結束が強くなるということで・・・。

ではどう乗り越えるのか、というのが今回のポイントとなるのです。

航海日誌 2199.5.20

話は敵の強襲を受けた最中から始まります。

外天王星海域 アステロイドベルト、小惑星が入り組む見通しの悪い海域で敵からの襲撃を受けたヒリュウは、状況把握を行いつつ、辛うじて逃げ隠れることに成功します。
襲撃時に収集したわずかなデータを基に分析した結果、敵が異次元空間から攻撃している可能性が高いということが判明します。

「まるで古い潜水艦映画だな」

この瞬間から、ヒリュウは敵から身を潜めつつ、敵を探知する方法を模索し反撃に出るという選択肢しか無くなりました。

次元潜航艦"Ud-96"

次元潜航艦"Ud-96"、第三帝国による初の異次元潜航能力を持つこの潜水艦は、航宙艦隊総司令のラウムゼーによる運用がなされ、総統の意向を汲んだ特務艦として登場します。

スクリーンショット 2021-08-15 15.35.18

さてこのUd-96ですが、第八話公開時にも発表がありましたが、レイアウト検証用モデルが存在するのです。
メカをフリーハンドで描くというのは、頭の中に緻密な図面があり、それを手がしっかりと再現してくれる能力が無い限りは容易とは言えないものです。それを助けるのが、レイアウト検証用モデルで、手元に立体造形物があれば自分の理想的なアングルを追求し、デザインをほぼ正確に描き起こすこともできるのです(要するに模写)。また、カットを考える上でも、実際のものがあると様々なインスピレーションが湧いたり、プリヴィズに活用できたりもします。

そんな立体造形物ですが、本作のファンの方のお声かけにより、3Dプリンターによるモデル作成が実現しました。
3Dプリントにあたっては、3DCGモデル作成するために図面が必要になるのですが、デザイン上あいまいだった部分を表現するという機会にもなり、貴重な経験ができたようです。

そういった過程があったからこそ、このエピソードのUd-96の勇姿が成立しているのです。

閑話休題。

さて、この次元潜航艦Ud-96の艦長の名は、ユーディット・シェーファー
彼女は、ヒリュウを鹵獲するという総統の密命のもと動いていることが仄めかされています。シェーファーは、戦況を冷静に読み、艦の魚雷で着々とヒリュウを追い詰めていきます。

追い詰められたヒリュウ、というよりリョウジは、艦長の天田の命令を無視し迎撃。結果、直撃は免れたもののヒリュウを損傷させCIC(戦闘指揮所)から追い払われてしまいます。
自分なりに状況と役目を読んだうえでの行動だったため、天田の命令を鵜呑みにすることができず、納得しないままCICを出るリョウジでした。

スクリーンショット 2021-08-15 15.59.48

攻撃を凌いだあと

CICを出たリョウジを憂う副長のミサキは、リョウジと生活を共にするセラを通じて、リョウジを宥めるよう試みます。セラは、リョウジに近寄りますが、リョウジは差し出された腕を払い除けてしまいます。
自分の居場所への疑いを抱かざるを得ないリョウジは、心の拠り所であるユキエのいるカウンセリングルームへ逃避します。

スクリーンショット 2021-08-15 15.29.32

一方、追い詰められたヒリュウCICでは、脱出プランが練られようとしているものの、根本的な解決策を見出せてはいません。

「狩りを始めよう」

追撃を逃れたヒリュウでしたが、逃れた先は敵の攻撃ポイントでした。狩り場にまんまと侵入したヒリュウを、シェーファーは逃しません。

スクリーンショット 2021-05-08 10.24.40

「狩りを始めよう」

号令を皮切りに、追撃のため動き出す次元潜航艦。

ここで流れ始めるBGMは、"古い潜水艦映画"の金字塔である「U・ボート」(原題:Das Boot)のメインテーマをイメージしています。第二次世界大戦ヨーロッパ戦線の末期、海での攻防をドイツ海軍Uボートの船員たちの視点で描いた名作です。

画像3

このメインテーマは、「宇宙戦艦ヤマト2199」においてもオマージュされていましたが(「ヤマト前進」)、今作では原典に立ち返ってまさに潜水艦の勇姿を鮮やかに彩る表現でBGMがデザインされています。

攻撃を受け続け応戦を試みるヒリュウですが、次元潜航艦はヒリュウの逃げ道を塞ぐ巧みな先手を打つことで、詰将棋のように鹵獲任務達成に近づきます。

電子戦装備による状況の打開

シェーファーとの直接対決では歯が立たないヒリュウ。状況を打開するのは、リョウジでした。
ユキエに導かれ、自分の信念に従って行動することに自信をつけたリョウジは、コスモラプターの新型電子戦装備を身につけ、反転攻勢につきます。魚雷攻撃を間一髪のところで防いだリョウジは、この新装備を使いこなし敵の手を阻むことに成功します。

スクリーンショット 2021-08-15 15.28.58

この難局を紙一重で乗り越え、信頼関係を取り戻したヒリュウ。

一方、突然の反撃により完封できないことを悟り、一旦は手を引くことを選んだシェーファー。
予想外の展開に驚きつつも興味を抱いた様子でヒリュウを見つめるのでした。

スクリーンショット 2021-08-15 15.27.16

・・・

第Q話へつづく

・・・

制作団体「Section2」の活動内容は随時こちらのTwitterアカウントで更新していますので、ぜひフォローをお願いします。

Section2第1スタジオ@航海中( https://twitter.com/section2_1st )


この記事が参加している募集

#私のイチオシ

51,112件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?