【完全版】月の男 第7話
その後、私は、こっぴどく叱られたり、過剰なまでに心配されたり、執拗に部屋にいた理由を尋ねられたりした。徹夫も、部屋から逃げ出すところを見られていたようで、私と並んで質問攻めに遭っていた。徹夫はどうやら、逃げる拍子に、靴もカバンも置き去りにしてしまったようで、手ぶらで足には靴下のみだった。徹夫はほとんどしゃべらなかった。私は、「徹夫がいじめられて落ち込んでいたので、前に見たいと言っていたランプを見せてあげようと思ったのだ」と言い繕った。徹夫が無事だった安堵感と、巻き込んでしま