【昭和レトロ】神戸市垂水区「垂水廉売市場」が解体されると聞いて行ってみましたよ
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兵庫県神戸市垂水区に「垂水廉売市場」という1934年(昭和9年)2月に設立された市場がございます。商店街や市場のマニアの端くれとして行かなきゃなぁと思いつつ先延ばしになっていたのですが、再開発のため2022年3月末で営業終了という話を聞きまして勢いでその週末に垂水の地へ降り立ったのでした。
JR垂水駅から少し北へ歩きますと……ここ!? 2階部分に「TARUMI・MARKET」の文字がありますね。ここなのでしょう。
おぉおー……。枠だけや。枠だけ残っているというのもすごいなぁ。2018年の台風で……なんですかねぇ。とストリートビューを見ましたら2008年6月の時点でこのような姿だったようです。
先程の出入口は東側です。向かって右……つまり北側が空き地になっていましたのでまずは外観を見てみます。おぉう……。トタンがくりぬかれているのは建物の窓があった部分ということなんでしょうかね。
少し場所は離れるのですが、こちらは北側から見たところです。結構な年季がうかがえますね。
東の出入口に戻って来ました。店名看板が「垂水れんばい市場」そして後ろには「お買物は垂水銀座」鼻血! 店名看板マニアとしてはグッと来るものがあります。「垂水銀座」とはこの出入口に面した通りの名前です。日本三大銀座の1つ……知らんけど。
背景と文字の色が同じで一瞬分かりにくいのですが「垂水廉売市場」。読み方は「れんばい」ですよ。自動ドアのセンサーもございますが常時開放中です。
火事が起き、店は閉まり……
さてそろそろ入りましょう。数歩進んで振り返ると……今となっては懐かしい横長の非常口誘導灯がぶら下がっています。一応光ってるのね……というか、本当にぶら下がっているのでそのうち落ちたりしないのかと不安になってしまいます。あの誘導灯がどのくらいの重さなのか知りませんけども、いつまで支えていられるのかな。
見上げますと天井埋め込み型のエアコンが剥き出し! あぁー、たまにありますよねこういうの。しかしなんというか、本当に最初からこうだったのか? と、ちょいと気になって調べてみましたら
先程の空き地だったところです。建物が火事で燃えてしまい、そして空き地になったのですね。ストリートビューは2013年9月なのですが、火事が起こったのは3月5日の未明とのことです。市場の出入口にある建物が少なくとも半年は解体されずにそのままだったのね……。なんというかまぁ、お察しします。そしてもっと広い範囲に燃え広がってしまっていても不思議ではない気がしますが、そうならなかったのはすごいことと思います。発見と消火が早かったのでしょうね。
進みます。訪れたときは火事のことは知りませんでしたが……火事ゆえの空き地と思いますと、哀しい姿よ。
店名看板はこんな感じですぅ。丸い穴は何なのだろう?
店舗と店舗の間……封鎖されています。カラーコーンには「建物老朽化により危険 通行禁止」の文字。
天井に何やら……?
提灯や……。燃えてしまったお店の提灯なんでしょうかね。哀しい……。
並んだエアコンは今でも動くのかなぁ。全盛期は冷房暖房の下を多くの人が行き交っていたのでしょうけども。
振り返ってみます。ちょいと早めに来ましたので朝の9時半くらいです。静かなものよ……。
何やらオレンジ色が……。
「インターネット コミック カフェ アミューズ1」さん。意外にも……と言ったら失礼ですが意外にも近代的な店舗がありますね。
公式サイトを探しましたら2012年3月8日オープンとあります。カレーライス食べ放題やデザートバイキングなど充実したサービスもあったようですね。
【アーカイブ】公式サイト
しかしTwitterのアカウントを見ますと2012年5月12日より休業とのアナウンスを最後にツイートがありません。
もう少し調べましたら前身は「亜細亜市場」さんという飲食店だったようです。お店を訪れた方がショップカードの写真をブログに掲載されていたのですが、それを見ますとお店のそばから北へ向かって通路があったようです。ほんと? 駐車場を突っ切って市場に入れまっせってところなのかなぁ?
剥き出しのものたち
店名看板が割れている……。事故か、故意か?
天井の錆びっぷりよ。ところどころ光が射し込んでいます。ちょいと天気が荒れた日など落下して来ても不思議ではないですね。
軒先にライトが並んでいます。何のお店だったのでしょう。
ザ・古い市場あるある、思い思いの方を向くシャッター!
よく見ますと地面の舗装も崩れている感じがします。
店名看板の中身です。下の部分は……電球のスイッチ? 1つ1つ手動で点灯していたんでしょうかね。そんなまさか?
あぁ、ピンボケや。すみませんね現地で確認していなくて。防犯カメラ……と思って撮ったのですが防犯カメラにしては水平過ぎますかねぇ?
天井にぶら下がる黒い球体はガンツ……じゃなくてミラーボール……でもなくてスピーカーかなぁ?
これ! スピーカーというか拡声器と言いたくなりますねこのデザイン。ナショナル製です。
何やら謎のケーブルが剥き出しです。
再び振り返ったところ。
北側が少し開けていました。店舗の裏口か住居のようですのでこれ以上は見ないようにしましょう。
またまた何やら剥き出しのスイッチ。「412」「413」……とシールが貼られています。部屋番号? というか何のスイッチ?
ちょいと太めな謎の管……エアコンかなぁ? さっきから色々と剥き出しなのは元々の造りなんですかね。色々あってこうなってしまったのか……?
通路の南側の店舗です。クリーニング屋さんのようですね。「HOPE CLEANING」かなぁ?
上からステッカーが貼られています。「アザレ ビューティフルエッセンス」。アザレ化粧品というブランドがあるのですね。このステッカーは新しそうに見えますがいつ頃に貼られたものなのでしょうね。
突き当りが近付いて来ました。通路が左右に分かれています。その前に右手のこの鏡は……。
結構な年季が入っているように見えますね。というかどういう造りのお店? この鏡が動いて商品の陳列台になったりしていたのかなぁ? それはないか?
鏡をよく見ますと「栗本商店」の文字が。この店舗の名前かなぁ? 検索しても分からず。
「美し都 We Love KOBE」のステッカーが貼られていました。阪神・淡路大震災の後によく聞きましたねこのフレーズ。
「よみがえれKOBE! がんばれ神戸っこ!!」。「駆け抜けた1年 : 神戸商工会議所震災復旧1年の記録」という資料によりますと、風見鶏が不死鳥に変化しようとしている姿だそうですよ。
東の出入口から西に歩き、突き当りに辿り着きました。
剥き出しや……そして傾いてる……エアコンのスイッチたちが……。
ボタンの部分にはカバーがあったようですがすっかり外れてしまっています。
メインストリート?
北を向いたところ。歪んだシャッターとブルーシートに目が向いてしまいます。
店名看板のデザインが先程とは違いますね。何だろう……。元々は違う市場だった……なんてことはないか?
3月末を待たず閉店された店舗も。「神田はまや」さん。
何軒か営業されています。吊られたバケツがザ・市場という趣きですね。釣銭の小銭が入っているのですよね。
コミュニケーションモンスターみたいな人なら初訪問でも店主にガンガン話し掛けるんでしょうけどねー。ヘタレなので足早に通り過ぎます。
北の出入口は「垂水センター街」に接続されています。垂水センター街から垂水廉売市場を見ますと……。
なんじゃこりゃー! ウルトラかっこいい!
建物が解体されてもこの看板はどこかで保管して欲しいなぁ……。
市場へ戻ります。
出入口を振り返ったところ。こちらの非常口誘導灯は近代的な小さいサイズですね。
営業中の店舗をじっくり見たいところですが……コミュニケーション障害3級の不審者なので通り過ぎまーす。「〇〇新聞の取材で」とか「〇〇ジャーナルというサイトを運営していまして」とか言えたら良いのですけど、「トリップウォーカーというサイトを」なんて言いましても「は?」と返されるのが関の山ですよね。
「毎月10日は食品衛生の日 垂水保健所・垂水食品衛生協会」。食品衛生の日とは……意識付けのための運動でしょうかね。交通安全週間みたいな。
「フルーツたけうち」さん。丸っこい「たけうち」の文字とサスペンス的な「フルーツ」の文字の対比。惹かれます。
南へ進んでいきましょう。朝の9時台ということもありますがシャッター通りですね。その中でブルーシート……目立つなぁ。
先程の鏡のお店まで戻って来ました。ちょいと調べていましたら、2010年頃はこのあたりにコカ・コーラの自動販売機が置かれていたようです。「食べログ」に写真が掲載されていました。
【奥に自販機】食べログの写真
「地球が調和されますように」調和とは……。どういう団体が作ったステッカーなのでしょう。
それはそうと「鳥宇商店が生まれ変わります」の貼り紙。鏡に書かれていた「栗本商店」さんとは違うお店だったようですね。8月とはいつの8月なのか……。結構な年季の入った貼り紙ですよね。検索しましたら2014年8月のようです。7年以上前!
もうちょっと調べましたところ、鳥宇商店さんに行かれた方の日記によりますと「若鳥専門店 鳥宇」の店名看板の下がお店の正面だったようです。
【営業中】鳥宇商店さんの写真
進みまーす。右手の妙に膨らんだシャッターは元々なんですかね。
小学校から払い下げられたような机……懐かしい。足元の舗装が崩れてしまっているので置かれたというところでしょうか。よく見ますと「移動禁止」の文字が。
手前のところ、右に曲がれるようになっていますが私有地云々と書かれていましたので撮っていません。
「こーなんドラッグ」……大阪にある「コーナン薬局」さんとはまた別?
明るい休憩所、たむろする中学生
休憩所のような場所がありました。
「どうぞおもちかえりください!」本やら食器やらが置かれていました。町の皆さんが持ち寄られたのでしょうかね。なんとなんと持ち帰り用の袋も用意されています。
「宍粟材でつくった木製品 宍粟材推進会議」。読めますか? 「しそう」です。兵庫県姫路市の北の方に「宍粟市」というところがありまして、木材の産地なのですよ。
で、この看板の上に何やら紙が貼られているのですがまさかまさかの「市場にたむろする中学生を補導及び検挙、注意した(タバコ等)」という内容。その数20人ほど。「灯りが少なく、鏡等がありダンス等の練習が出来る」とも。ま、まぁコメントは控えておきます。
可愛い地図、シャッターアート、なかよし市
休憩所の向かいは「うどん・そば 島谷」さん。「日本中華そば」とは。スーパーで売られているような個包装の麺類ではなくて、1玉ずつ裸で並べられているのって懐かしいなぁー。子供の頃は麺類とはこういうイメージでした。自宅にあった毛糸を店頭のそばに見立てて編み棒でつまんで遊んで激怒されたものでした……。
休憩所のところを右……西に曲がります。
なんとなんとなんと、手描きの地図が貼られていました。地元の子供が描かれたのでしょうね。ものすごく貴重な地図! いつ描かれたのかなぁ? この地図もどこかで保管して欲しいところ。
左手の店名看板は「リラクゼーション パワーッグ」さん。市場の中では新しい店舗なのでしょうけども検索しても店舗情報はヒットせず。
シャッターアート!
「I LOVE たるみ なかよし市」というイベントのチラシが貼られていました。上から貼られた紙は何でしょう?
日付を調べますと2020年のようです。年4回開催で第33回ということは8年以上は継続されていたイベントなのですね。新型コロナウイルスがなければ中断することなく続いていたのでしょうね。
【Facebookページ】I LOVE たるみ なかよし市 in 垂水廉売市場
かつみ・さゆりのステッカー
……何か貼ってある?
「かつみ・さゆりのふわふら神戸」なんかまた年季の入ったステッカーですね。似顔絵も何となく若いような……。検索しましたらどうも2003年頃に放送されていた番組のようです。
かつみ・さゆりさんの公式サイトに「密着取材!ふわふら神戸・Tio舞子編」というページがありました。
【かつみ・さゆり】公式サイト
西へ進みます。
再開発に伴い3月末を待たずに閉店された「花工房 俊水」さん。
「海産物の店 フクケン」さんが営業されています。
店主に話し掛けて写真を撮りに行くコミュニケーション能力はないので足早に通り過ぎますよ。この写真は東を振り返ったところです。
ところで右手には「ぶたまん 鳥宇」さん。あれ、先程もその名前を目にしましたね。関東では「肉まん」、関西では「豚まん」です。どのような豚まんか気になりましたが、検索しても情報はなし。
店名看板が目を惹く「やまぞえ靴店」さん。
その向かいは「大串」さんですが、店名看板のサイドは「大吉」と彫られているようです。
食べログに掲載された営業中の写真を見ますと、なんとなんとビニールシートのお店! ビニシー! 市場の通路を背に一杯やるなんて……良いなぁ。
【ビニシー】食べログの写真
「公認」の市場だった
西の端に出ました。「垂水商店街」の「一番街商店会」に接続されています。
1枚で全体を撮れませんでしたので2枚目で2階部分を。
よく見ますと看板の右側にスピーカーが設置されていますね。何が放送されていたのか。当時の動画があれば良いのになぁ。
そしてさらによく見ますと、左の窓の左に四角い枠が上下に並んでいるのが分かりますか。ここにはもしかして東側の出入口にあったような看板が掲げられていたのではないでしょうかねぇ? どうでしょう? うーん、違うかな。
ところで垂水廉売市場は「公認」の市場なのですね。市場には「公設」と「公認」がありまして、公が設置した市場と、公が認めた私設の市場ということです。
市場の中に戻りまーす。ズズズッと休憩所のところまで戻りまして、南へ進んで行きましょう。
「肉ならミカゲヤ 本店」。ここは……飲食店? 事務所? のれんを掛ける場所があるので飲食店だったんですかね。検索しましても「垂水センター街」に面したところにお肉屋さんがあるというくらいで、ここのことは分からず。
北を振り返ったところ。よく見ますと先程の島谷さんに「手づくりケーキ焼いてます」とのこと。ケーキ!? 気が付いたのは自宅に帰って写真を見てからでした。あーあ。
写真は北を振り返ったところなのですが……南の端に着きました。ここから通路が左右に分かれています。
左……東には休憩コーナー。えぇえー、どんな様子だったのでしょう。
非常口誘導灯は横長です。
←トイレ便所トイレトイレ←
市民トイレ。「便所」「トイレ」「トイレ」といくつも貼ってあるのは何度か改装された歴史なのかしら。
恐る恐る入ってみますと……。
近年改装されたのか、綺麗なトイレでした。
個室は……やめとこう。
休憩コーナーを検索しましてもシャッターが開いている写真は見付けられず。
片隅にちっこいネオジオの筐体など置かれていたら嬉しいのですが。
南東の端に着きました。暗い……暗くて渋い。
「連帯・垂水」という紙が貼られた扉がありました。事務所?
南東の出入口です。
末廣大明神
神社がありました。「末廣大明神」というそうです。
少し進みますと「廉売市場 事務所 ココ」。普通に民家という趣きでしたので外観を撮るのはやめておきました。
そのまま進みますと「垂水銀座」に出ましたが、そこは後で散策するとして市場に戻ります。
西を向いたところ。
シャッター通りだなぁ……。もう少し時間が経てば何軒かは開くんですかね。
しばらくうろうろしているうちに「地卵 ふみや」さんのシャッターが開きました。
西へ進みます。出入口……の前に、右に曲がれるようですね。
細かいことを言いますと、右手前のシャッターが先程の「地卵 ふみや」さんです。これはシャッターが開く前の写真なんですよ。市場の中を1時間くらい行ったり来たりしていましたのでね……通報待ったなし!
北側の通路と結ばれていました。向こうの右手に営業されていますのが先程の「海産物の店 フクケン」さんです。
南西の出入口です。近代的な小さい非常口誘導灯はレアだったんだなぁ。
こちらには「公認 垂水廉売市場」という看板はなし。
これは……? あー、ここに「垂水廉売市場」と書かれた看板があったのでしょうけども。ストリートビューを調べましたがこの道が網羅されていませんでしたので昔のことは分からず。
というか、もう1つの出入口のところで言いました四角い枠はまさにこれじゃないですか?
通報される前に帰ろう
市場の中をこれ以上行き来して本当に通報される前に帰ろうと思いましたら、建物の外側の「大串」さんのところに「味 関東煮」の看板が。渋いなぁ……。
ゴミ袋に包まれたこれは……串カツのメニューですね。100円か120円かという良心的な価格。
最後に、写真と記憶を頼りに垂水廉売市場のマップを作ってみました。店舗の面積などよく分からない部分もあるのですが、大きく間違えてはいないはずです。垂水廉売市場に所縁のあった方がいらしたら教えてあげてね!
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