見出し画像

【今日の臨床】咳と発熱が続いた60代女性。

※写真は施術中のイメージ写真で、本文とは関係ありません。

いつも決まった曜日に来られていたのに、一週間ほど間が空いて来られたので、どうしたのかな?と思っていました。

聞くと、夕方になると微熱が出るのと、咳が続いていたとのこと。

それを聞いて、風邪に罹ったのかなと思っていました。



しかし、次に来られた時も、まだ咳が続いていたので、これは何か怪しいと思いました。

この女性は、左膝内側に痛みが出ることがあり、普段はこの左膝に対しての施術をしています。

熱や咳が出るのは、風邪の影響と思っていたけど、何か原因となることがあるのかも知れないと思い、身体の状態を見直してみました。


両足を比べると左足の第5中足骨の辺りが硬くなっていた。

状況から照らし合わせると、前鋸筋の張りが出ている可能性が高そう。

早速、左脇にある前鋸筋に触れると、強い緊張が認められた。

この前鋸筋は、肋骨を持ち上げる作用もあり、呼吸にも関わる筋肉です。

つまり、この左側の前鋸筋が硬くなってしまったことが、今回の咳に繋がっている可能性が高まりました。


前鋸筋がどういう状態で緊張してしまったのか癖を調べると、左肩が少し外転して挙上したような感じになりました。

左肩を少し開いてすくめるような感じです。

そこで、女性に熱や咳が出始める少し前に、そういう腕の使い方をしなかったか聞いてみました。

すると、雨の日に左手で傘を持ち、左肘に重い荷物を持って歩いた時があったそうです。

それは正にさっきの癖と重なる左腕の使い方でした。


この前鋸筋の張りを緩めたところ、呼吸がしやすくなりました。

この女性曰く、深く呼吸しようとすると、咳が出そうになっていたそうです。

その理由は、肋骨が前鋸筋の緊張により、広がりづらくなっていたからです。

深い呼吸をするためには、肺を収めている胸郭が持ち上がり、前後左右に広がる必要があります。

しかし、前鋸筋が緊張していたことで、胸郭がうまく持ち上がらず、深い呼吸が出来なくなっていたのです。

これが今回の咳に繋がっていたのです。


また、呼吸が浅くなっていたことで、免疫力が低下して、発熱に繋がっていたものと考えられる。

この施術の後、咳や熱はすっかり落ち着いて、この女性も元気になりました。

以前、靴の影響を受けて、咳が止まらなくなった男性がいました。

この時は、足甲が硬くなったことで、関連する胸郭が硬くなり、咳が止まらなくなりました。

咳が出るからといって、必ずしもウィルスが原因とは限らないのです。

何かの影響で胸郭が硬くなることで、咳が出ることもあるということを知っておきましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?