竜とそばかすの姫:竜の存在について

【はじめに】
3回目の視聴に備えて竜の存在について、自分なりに整理する。

【竜とそばかすの姫が象徴するもの】
竜:怒り、恐れ、憎しみによる攻撃衝動
そばかすの姫:類まれな才能をベースにした他者との共感
と自分なりに解釈した。

【初回視聴時のイメージ】
図示してみた

竜とそばかすの姫

確か、ベルが竜に出会った時
「私はあなた」
と言っていたはずで、論理的に考えて少なくともすずの中では「竜はリアルの世界の私」という思いがあったのだと思う。その根拠は作中に描写されているように見えるが、それは後で述べようと思う。リアルの世界での「そばかすの姫」は誰かというのは初見ではわからなかった、というか、その視点を持つ必要があることに気が付かなったというのが正解かな、二回目みた時にようやく気がついた。この作品、リアルの世界の描写はクライマックスを除いて本当に凹凸がない、でもその中でリアルの世界に生きる人々のちょっとした心の機微が丹念に描かれていて、ものすごくARIAっぽいなーと感じながら見た記憶がある、そして、そのちょっとした描写に次の展開の伏線を張っていたりするから気が抜けない。

【すずは母を憎んでいたのか?】
すずがもしかしたら「攻撃衝動を持っていたかもしれない」点について書いてみる。すずについては「陰キャラ」とか「冴えない」という言い方がされるけど、私はちょっと違和感を持った。というのも、物語の冒頭で
・欠けたマグカップ
・紙をゴミ箱に放り込む
シーンがあったのだけど、これはすずの
「行き場のない怒り、憤り、憎しみ」
を感じたんだよなー。しかもさりげなく描いているから、「攻撃衝動」の発露は誰も見ないところで起こっているじゃないだろうか?もしかしたら父親もそれはわからなかった可能性がある。
「陰キャラ」や「冴えない」少女と周りから見えたのはそういう醜い感情を表に出したくなくて自分の本心を隠すようになったからじゃないかな?
多分、その辺の事情がわからないとベルが竜に対して
「私はあなた」
というのが唐突に感じるようになるのだと思う。
キャラクターが見せる感情は本心とは限らない、本心はキャラクターの行動から推測する必要がある、ってことはGレコから学んだ教訓なんだが、このシーン一つをとっても見るにあたって意外と「動体視力」が必要だな、とも感じた。私はGレコとかVガンとか強制的に「動体視力」を身につけさせる作品を好んで見るからいいけど、これ、見る人によってはストレス溜まるだろうなーとも。そういう意味で「優しい作りに見えて優しくない」という作品だから厄介なのだ。

以上が初回視聴時の話。

【2回目視聴時のイメージ】
図示してみた

竜とそばかすの姫2

少なくとも私の中ではリアルの世界において「そばかすの姫=忍」です
実は初回視聴時に
「忍ってガンダムF91のシーブックの母親的なポジションじゃね?」
とは思っていたし、ルカが
「忍君ってすずちゃんのお母さんだよね」
と言っていましたが、いまいちピント来なかったんだよなー、これはすずが忍について誤解しているせいでもあるが。
でもねー二回目視聴時に忍の
・誰かも好かれるイケメン描写
・すずに対して歩み寄ろうとする姿
をみたら、
「これってリアル世界のそばかす姫って実は忍じゃね?」
と感じた。というかさ、忍がすずの手を握った時、すずが拒絶するシーンはまんま<Uの世界>のベルと竜の関係、そのものじゃないですか・・・
そうだとしたら、イケメン男子を「ヒロイン」ポジションにしたのは話の作り的にすごく斬新だと思う。男女が「性的」に転換する話は割とよくある話なんだけど、男女の「演劇上の要請による役割」を転換する話はあんまり聞いたことがない。
後、話は逸れるけどリアルで「そばかすの姫」の最有力の候補だったルカが最終的にすずの良き相談相手になるという作りはとても良かったと思う。完璧美少女はあまり好かれないけど、自分の恥を晒して相手に共感してくれる女の子は好かれるよね。あのシーン、すずは初めて「ガールズトーク」をしたんじゃないのかな?

【最後に】
竜について色々考察しましたが、わかりやすい<Uの世界>に比べて

にも書きましたが、「リアル」の世界は本当にわかりにくい
すずは竜
忍はそばかすの姫
ルカはすずの良き相談役
と見る人の固定観念に挑戦するような作りになっているからなー
文句を言う人が出るのもわからなくはない。
私はなどもいうようにGレコでそんな話の作りに目が慣れていたのでめちゃくちゃ楽しめましたが。

後、エンディングの忍はGレコ、最終回で様々なしがらみから解放されたベルリと同じ表情をしている(笑)

10年も「そばかすの姫」を演じ続けたことについては、本当にご苦労様としか言えない(笑)

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