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出逢い

ずっと憧れだった登山を始めた。
登山に行くような友達もいないので、いつものようにソロ登山をするのである。

今回選んだ山は群馬県にある谷川岳だ。日本百名山である。初心者でも登りやすく、ロープウェイを使って、往復5時間くらいのコースだ。谷川岳からはめちゃくちゃ綺麗な稜線が見えるのだ。インスタで見るたびにいつか自分もこの稜線を見てみたいと思い、谷川岳登山をすることに決めた。

山の季節は早い。よし、夏山シーズンが始まったと思えばあっという間に秋になり、登山シーズンが終了するのである。標高の高い山ならなおのことだ。

谷川岳の秋の景色に心を惹かれた。周りの樹々が赤く色づき始めた頃だ。秋山、そして明日の天気を逃すわけには行かないと、普段遠くの山に行く時は連休じゃないと行かないのだが、その日は仕事終わりに夜な夜な千葉から群馬へと車をぶっ飛ばした。

谷川岳は日本海側と太平洋側の気象がぶつかる天気が非常に変わりやすい場所である。
だけどこの日は快晴だ。10月上旬とは思えないくらいの暑さで、日焼けはするわ汗はダラダラかくわで登山をするのには最高の天気だった。天気も良く、秋山ということもあり平日の割には人が多かった。

谷川岳は森林限界を超えるため眺望がとても良い。何度足を止め、歩いて来た道を振り返っただろうか。見渡す限りの山々に惚れ惚れする。

歩いて来た道

そして、これが見たかったのだ。

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色付き始めた稜線

まさに見たかった景色。まだ緑が残っているが、私には十分すぎる景色なのだ。綺麗な稜線、めちゃくちゃかっこいい。この稜線を横目に上を目指すのだ。贅沢すぎるぜ。

絶景を見ながらお昼ご飯

運良く、席が空いたのでここで、この綺麗な稜線を眺めながらカップラーメンを食べる。最高の外ごはん⤴︎⤴︎

実はここはまだ山頂ではない。谷川岳はトマノ耳とオキノ耳と二つの山頂をもつ双耳峰。そのトマノ耳とオキノ耳を目指してさらに上に登る。

トマノ耳らへんから見たオキノ耳

トマノ耳を登り、谷川岳の山頂に立った。その時、一人で写真を撮っていたら年配のご夫婦が話しかけくれ、写真を撮ってくれた。そこでそのご夫婦とはお別れをし、トマノ耳を超えてオキノ耳を目指すのである。

実はそこまで高いところが得意でない私はこのオキノ耳を見て、あの山頂に登るのかぁ〜。すごい急登だなぁ、どうしよう。とオキノ耳に登るのを躊躇った。何度も途中で引き返そうとするも迷いながらようやくオキノ耳に登頂した。

オキノ耳

オキノ耳では先ほどのご夫婦と再会し、また写真を撮ってもらった。登ってくると思ったから待ってたんだよ〜。百名山を登っているの?なんて会話から始まり、下山はご夫婦とご一緒させていただいた。ご夫婦の今まで登った山や趣味、家族のことまで色んな話をしながら下山してきた。ソロだと一人で黙々と登ることが多いので、下山は話をしながらあっという間に時間が過ぎていった。そしてひょんなことから話が進み、今度別荘に遊びに来てね。また違う山に登ろうと約束をしてお別れをしたのである。

そこからご夫婦とは定期的に連絡を取り合うようになり、別荘にもお邪魔させていただいて。蓼科山も一緒に登った。私のことを娘みたいに可愛がってくれる、とても親切で優しいご夫婦。年齢は違えど、同じ趣味をもつ友達ができた。とても嬉しかった。

私はソロ登山が好きなわけではない。周りに登山をする友達がいなかったり休みが合わなかったりで結果、ソロ登山をすることが多い。やっぱり誰かと話しながら登ってる方が楽しいし、あっという間に時間が過ぎる。だけど今回のようにソロ登山だからこそ出逢える人もいるのではないかと思う。一人じゃなかったらご夫婦も写真撮ってあげるよ。なんて声をかけなかったかもしれない。誰かと来ていたらそこで話が弾んで終わりということもあるだろう。そう考えるとこれはソロ登山の良いところだ。

もしあの日、谷川岳を選んでなかったら。もしあの時、オキノ耳まで行かずに途中で引き返していたら。そう考えるとあの日、谷川岳を選んで最後まで登って本当によかったと思えた。山での素敵な出逢いに本当に感謝した。

そんな大好きなご夫婦が来月北海道へ引っ越してしまう。だが、趣味で出逢えた友達は一生もん。今度は北海道の山を一緒に登ろうと約束し、いつか訪れるその日を楽しみに、私はもうすぐ夏山シーズンへ突入するのだ。

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