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モーツァルト、ヴァイオリン・ソナタの魅力再発見

ずいぶん前、クラシック音楽が本格的に好きになり始めて、色々な曲を聴くようになった頃、テレビでチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の演奏を見聴きして心惹かれた演奏家が庄司紗矢香だった。

録画した演奏を繰り返して聴いているうちに、CDが欲しくなりチョン・ミュンフン指揮、フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団とのヴァイオリン協奏曲のCDを購入して、それをよく聴くようになった。

その後、何度か庄司紗矢香の演奏会へ出かける機会をもつようになり、2022年の年末には、ピアニスト、ジャンルカ・カシオーリとの演奏会でモーツァルトのヴァイオリン・ソナタを聴きにいった。曲目はK.304、K.379だった。この演奏会でモーツァルトのヴァイオリン・ソナタの素晴らしさに心を打たれてしまい、手元にありながらあまり聴かない時期が続いてしまっていたところからの転機となって、今とても好きな曲です。

好きな曲といっても、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタは50曲近くあるので、その中のどれなのかという話しにもなるかもしれませんが、好きな曲が多くて、そのどれもがという状態に近いような感じで、あえて選ぶということが難しい気がしていました。

2023年始めのころに遠山慶子さんというピアニストを初めて知りました。前述の演奏会へ行ってから、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタの素敵な演奏を知りたいなと思いつつ時を過ごしているなかで、図書館でウェルナー・ヒンク、遠山慶子による演奏のCDがあることにたまたま気づいて、借りて聴いてみたところ、その演奏の素晴らしさに魅了され、何度も何度も繰り返して聴きました。

「内田光子とはまた違う、こんなに素晴らしい演奏をするピアニストがいたのですね!遅ればせながら知ることができて本当によかった」という気持ちでした。

上がそのときに借りたCDだったのですが、私はそれが欲しくなり、調べてみたところ、このお二人による5枚組のCD集が出ていることを知り、そちらを選びました。

聴いてみるとどの曲の演奏も素晴らしく、あえて言うとするならば、この選集に収録されている18曲が私の好きなモーツァルトのヴァイオリン・ソナタです、ということになってしまいそうです。ただそんな筈はなく、一体これはどういうことなのかと考えてみると、遠山慶子、ウェルナー・ヒンクのモーツァルト演奏に心を奪われてしまったというのが正しいようです。限りのないような優しい音楽に心が温かくなります。

実は10年ほど前に、モーツァルト弾きとして著名なイングリット・ヘブラーと、シェリングの二人によるモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ集を購入して、よく聴いていた覚えがあるのですが、それはその当時までとなっていました。

こうした経緯、シェリングとヘブラーで知り、庄司紗矢香とカシオーリの演奏会で素晴らしさに気づき、ヒンクと遠山慶子の演奏に魅了され、今に至るということで、再発見としました。あるいは、歳を重ねることで、好きになってきたというような影響などありえるかもしれませんが、どうなのでしょう。

イングリット・ヘブラーさんは1年前に亡くなったとのことを知りました。遠山慶子さんは2021年に、そしてウェルナー・ヒンクさんはつい先月お亡くなりになられたそうです。唯一無二の心温まる素晴らしい演奏に触れる楽しみを残してくれたことに感謝、ありがたいです。

お二人の演奏会、もし未来のことであるならば、できれば死ぬまでに一度行ってみたい演奏会となったことでしょう。

演奏会は一期一会。今年はどんな演奏との出会いが待っているのかな、と思うと楽しみです♪

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