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親からもらった学費は遺留分の対象になる?

前回投稿した記事では、「生命保険を活用し、遺留分の対象から外す手法」をお伝えしました。
今回は「生前贈与によって遺留分対象財産を減らす方法」に関して解説いたします。

▼_前回の記事はコチラをチェック!

親から小さい頃にもらった学費は遺留分の対象になるのか?

生前贈与を活用しての対策だと、
このような疑問が湧いてくる方がいらっしゃるかもしれません。

こちらに答えているのが民法の第1044条となります。

※民法 第1044条※
贈与は、相続開始前に一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。
当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したときは、 一年前の日より前にしたものについても、同様とする。
2 ・・・
3 相続人に対する贈与についての第一項の規定の適用については、同項中「一年」とあるのは「十年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)」とする。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1項では、【相続開始前に一年間にしたものに限り】と規定されています。

しかし、3項を確認すると【相続人に対する贈与についての第一項の規定の適用については、同項中「一年」とあるのは「十年」】と規定があります。

つまり、相続人ではないものに贈与した多額の金銭は相続が発生するまでの1年間までしか遺留分の対象とはなりませんが、
「息子の結婚資金」や「息子の生活資金」等、相続人に贈与した金銭は相続が発生するまでの十年間が遺留分の対象になるということです。

相続発生より十年以上前の贈与も遺留分の対象になってしまうケース

さらに、同じく民法1044条 第一項の以下の文に該当する際は、10年より前の贈与についても遺留分の対象になるとされています。

当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したとき

お子様が二人いる(長男・次男)場合に、
当事者双方、つまり、被相続人である父と法定相続人の長男が、
次男の遺留分権を侵害していると知っている状態で贈与を行っている場合は、
十年より前の贈与も遺留分の対象になってしまうということです。

それでは、具体的に当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したときとは一体どのような状態でしょうか?

判例上は以下の二つの要件を満たした場合とされています。

(1)当該行為(贈与)が、自分以外の相続人の遺留分を侵害してしまう、
     という事実を客観的に認識している
→被相続人が財産100万円の中、90万円を贈与してもらう等、
 明らかに自身以外の相続人の遺留分を侵害するような額の贈与であることを
 認識している場合

(2)将来において被相続人の財産が増加することはないことを認識している
  (大判昭和12年12月21日)
→被相続人に収入がなく、今後財産の増加が想定されていないことを認識している場合

上記二つの要件を満たしていることで、「遺留分権利者に損害を加えることを知っていた」と認められます。
ただし、上記の要件を満たすことを証明する義務は、遺留分侵害額請求をする側にあります。
当該贈与の当事者ではない遺留分の請求側から当該事実を立証することは非常に困難であると考えられることから、
実際に10年以上遡った贈与について遺留分の対象とするのは非常に難しいと考えられます。
したがって、相続発生から10年よりも前に推定相続人に対して行う贈与は、結果的に遺留分の対象となる財産を減らすことに繋がると考えることが可能です。

被相続人がいつ亡くなるのかが誰もわからない以上、
「10年より前」を狙って計画的に贈与を進めることはなかなか難しいですが、
被相続人がまた若いうちに贈与を行うという選択肢も是非、ご認識ください。


今回お届けした遺留分対策の全容は、TRINITY LABO.会員限定サイトでご視聴いただけます。
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