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男くさい映画どもばかりを観ていた2012年初夏の巻。

 2012/5/27にアップしたやつ。

 香港ノワールと言う言葉は、ジョン・ウーの“男たちの挽歌”を封切るときに、日本の配給会社の人が考えた言葉なんだそうです。語感が良かったのと、“男たちの~”がヒットしたために、香港産の暗黒街モノを総じて「香港ノワール」と呼ぶようになったんだとか。そんな「香港ノワール」の傑作がこちら。
 いやーめっちゃ面白かったわー。マフィアの手先の少年が警察に、警察の気鋭の捜査官がマフィアに、お互い潜入して情報を流し合っているという状況設定がまずスリリング。北野武の映画に影響されているのかな?と思わせられる青みがかった映像や、水が一瞬で沸点に達するような、流れをぶった切るような暴力の描写も良い。また、二人の男の登場の仕方や関わり方、最後のオチまで本当に素晴らしい。男たちの来し方と行く末を想像させるような、余白の残し方も上手い。
 トニー・レオンの愁いのある表情がこれまた良いです。セクシー!
 何と言うか西洋の人とかはどんなにイケメンでも、彫像を見てるような感じで「かっこいいなあ(造作が綺麗だなあ)」で終わってしまうけど、トニー・レオンとかアンディ・ラウとかの東洋の美男子は自分には胸にグッと来ます。二人とも本当にかっこいいなあ。
 3部作なんで残りを見ないとなんですが、とりあえず本作のみでもめっちゃ面白かったよ。

 そんでもって、上の“インファナル・アフェア”があまりに名作だったんで、マーティン・スコセッシがリメイクしたのがこの作品。アンディ・ラウ→マット・デイモン、トニー・レオン→レオナルド・ディカプリオ、そしてマフィアのボスがジャック・ニコルソンと言う布陣。
 “インファナル・アフェア”は100分くらいで上手くまとまってるんですけど、こっちは2時間半くらいの大作。やたら長かった。そのぶん物語に重厚さが出たかと言われると別にそうでもなかった。アイリッシュ・マフィアのこととか知ってれば面白いんでしょうか。よくわかんないですけど。
 あと、原作の最大の魅力である、ストイックな男の色気はかなり上書きされた感じがしました。
 そして“インファナル・アフェア”がその作品たる所以である、キモのキモのところも改変されてしまってました。
 色々哀しかったです。
 東洋人にしか解り合えない機微ってものがあるんや。

 近頃月に1-2本、警察物の映画を観ているんですが、その流れで観ました。
 全然期待してなかったら意外と面白かった。
 「ブレードランナー」とセットで観たら、リドリー・スコットが大阪をどう描写したかったかが伝わってくるような気がしました。
 暴走族とかヤクザとか「それ日本ちゃう、中国や」とか色々混ざっちゃってた部分もありましたが!
 松田優作、惜しいねえ。病気になってなかったら良かったのにね。

 浅野忠信の映画を観ようと思って観たけどだるかった。あんまり“モンゴル”っぽくなかった。
 作中、「モンゴル人」のアイデンティティを彼ら自身が語るシーンがあって、それをチンギス・ハーンが体現していると言うことだとは思うのだけど。
 「大草原の覇者」みたいな豪快かつ雄大なイメージや、騎馬を繰って何処までも疾駆していくようなイメージをもって観ると、「あれ?」ってなるかもしれないです。

 デ・ニーロ好きなら観てもいいと思うけど。ロードムービーが好きな方も観てもいいと思います。
 ラストシーンはハートフルで良いかんじでした。
 丁寧に作られてるし人物もちゃんと描かれてるけど、もう一声って感じだったなあ。 

 1年間くらいウチの録画機のHDDに眠ってたのをやっとこさ観ました。
 物語も映像も、「どっかで観たな」みたいな物を編集しまくったみたいな、在る意味すごく2010年っぽい映画でした。アイデアって出つくしちゃったのかしら。それともいつかまた、エポックメイキング的な作品って出てくるのかしら。まわりまわって暗澹たる気持ちにさせられた映画だった。
 ガイ・リッチー的回想シーン、リドリー・スコット的近未来サイバーパンクシティの情景、ウォシャウスキー兄弟的システム世界の描写……映像はあくびが出るくらい退屈だったよ。物語もラストでどうにか巻き返したけど、退屈だったなあ。なんでこんな映画にジュード・ロウは出ちゃったのかしら。
 ってくらいの映画。

 5月はこんな感じでした。6月はサッカーも少ないし、もっと観れたらいいなあ。

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