Satoko Y

川崎の北のほうで暮らしてます。大学卒業後服飾業界で仕事をしています。FC2という化石の…

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川崎の北のほうで暮らしてます。大学卒業後服飾業界で仕事をしています。FC2という化石のようなブログから過去の記事を転載するのを目的に開設しました。

最近の記事

古今東西刑事映画レビューその47(最終):天国と地獄

2011年から2015年の間、知人の編集する業界誌に寄稿していた刑事物映画のレビューを編集・再掲します。 1968/日本 監督:黒澤明 出演:三船敏郎(権藤金吾)    仲代達也(戸倉警部)    石山健二郎(田口部長刑事)  50本近い映画をご紹介してきた小欄だが、今回でひとまず最終回となる。足かけ4年近くに渡って続いてきた連載のトリを飾るに相応しい作品と言えば、これ以外にない。そう胸を張って言いきることが出来る、巨匠・黒澤明の名作、“天国と地獄”を、今回はお送りしたい

    • 古今東西刑事映画レビューその46:友よ、さらばと言おう

      2011年から2015年の間、知人の編集する業界誌に寄稿していた刑事物映画のレビューを編集・再掲します。 2014年/フランス 監督:フレッド・カバイエ 出演:ヴァンサン・ランドン(シモン)    ジル・ルルーシュ(フランク)  小欄でご紹介する5本目のフランス映画である。アメリカ・香港・日本・イギリス・イタリアなど、様々な国の映画を取り上げて来たが、この5本と言うのはアメリカ映画に続く頻度ではなかろうかと思われる。理由は至極シンプルなものだ。「フランス映画は面白い」、そ

      • 古今東西刑事映画レビューその45:ザ・インタープリター

        2011年から2015年の間、知人の編集する業界誌に寄稿していた刑事物映画のレビューを編集・再掲します。 2005年/アメリカ 監督:シドニー・ポラック 出演:ニコール・キッドマン(シルヴィア・ブルーム)    ショーン・ペン(トビン・ケラー捜査官)  ひとくちに「警察」と言っても、その組織は大きく、部門は数多く、つかさどる職掌はあまりにも幅広い。普通の市民生活を営む我々のようなものが想像も及ばない職務に就いている人もいるのだろうか、などと、こんな作品を観るたびに思うので

        • 古今東西刑事映画レビューその44:交渉人

          2011年から2015年の間、知人の編集する業界誌に寄稿していた刑事物映画のレビューを編集・再掲します。 1998年/アメリカ 監督:F・ゲイリー・グレイ 出演:サミュエル・L・ジャクソン(ダニー・ローマン) ケビン・スペイシー(クリス・セイビアン)  交渉人、と言うタイトルを冠した作品は意外に多い。この作品に先行すること1年、エディ・マーフィー主演の“ネゴシエイター”と言うものがあるし、また邦画でも、人気ドラマのスピンオフ作品として制作された“交渉人 真下正義(’05)

        古今東西刑事映画レビューその47(最終):天国と地獄

          古今東西刑事映画レビューその43:あなたに降る夢

          2011年から2015年の間、知人の編集する業界誌に寄稿していた刑事物映画のレビューを編集・再掲します。 1994年/アメリカ  監督:アンドリュー・バーグマン  出演:ニコラス・ケイジ(チャーリー・ラング)     ブリジット・フォンダ(イボンヌ・ビアシ)     ロージー・ペレス(ミュリエル・ラング) ハードボイルド、サイコサスペンス、ガンアクション。「警察」と言うキーワードを軸に様々なジャンルの映画を取り上げてきた小欄だが、未だ登場したことがないカテゴリーがあること

          古今東西刑事映画レビューその43:あなたに降る夢

          古今東西刑事映画レビューその42:800万の死にざま

          2011年から2015年の間、知人の編集する業界誌に寄稿していた刑事物映画のレビューを編集・再掲します。 1986年/アメリカ 監督:ハル・アシュビー 出演:ジェフ・ブリッジズ(マシュー)    ロザンナ・アークェット(サラ)    アンディ・ガルシア(エンジェル)  以前、“16ブロック(’06)”と言う作品をご紹介した際に、「主演のブルース・ウィリスは一体何本の映画に警察官として出演しているか」と言うような一文を書いたことがある。彼の実績を強調したくてカウントしたもの

          古今東西刑事映画レビューその42:800万の死にざま

          古今東西刑事映画レビューその41:フリック・ストーリー

          2011年から2015年の間、知人の編集する業界誌に寄稿していた刑事物映画のレビューを編集・再掲します。 1975/フランス・イタリア 監督:ジャック・ドレー 出演:アラン・ドロン(ロジェ・ボルニッシュ刑事)    ジャン=ルイ・トランティニャン(エミール・ビュイッソン)    舞台は1947年、未だ大戦の爪痕が残るパリ。  伝説のギャングと、それを追い、捕らえた刑事の物語だ。刑事が後に著した手記が原作になっている。そんなところは、少し“アンタッチャブル(’87)”に似てい

          古今東西刑事映画レビューその41:フリック・ストーリー

          古今東西刑事映画レビューその40:逃亡者

          2011年から2015年の間、知人の編集する業界誌に寄稿していた刑事物映画のレビューを編集・再掲します。 1993年/アメリカ 監督:アンドリュー・デイヴィス 出演:ハリソン・フォード(リチャード・ギンブル)    トミー・リー・ジョーンズ(サミュエル・ジェラード連邦保安官補)  本稿で取り上げる映画のタイトルを思案していた3月上旬、ハリソン・フォードの操縦していた自家用飛行機がゴルフ場に不時着したらしい、と言うニュースが飛び込んできた。一時は彼の安否について情報が錯綜し

          古今東西刑事映画レビューその40:逃亡者

          古今東西刑事映画レビューその39:CURE

          2011年から2015年の間、知人の編集する業界誌に寄稿していた刑事物映画のレビューを編集・再掲します。 1997/日本 監督:黒沢清 出演:役所広司(高部刑事)    うじきつよし(佐久間)    萩原聖人(間宮)  90年代後半の空気を色濃く映した映画である。  同じころ作られた映画には、これと似た空気が漂っている作品が多い。空気と言う言葉が曖昧過ぎるなら、「その時、皆が心のどこかで考え続けていたもの」と言い換えてみよう。間違いなく、あの頃の私たちは、内省的だった。つ

          古今東西刑事映画レビューその39:CURE

          古今東西刑事映画レビューその38:デンジャラス・バディ

          2011年から2015年の間、知人の編集する業界誌に寄稿していた刑事物映画のレビューを編集・再掲します。 2013/アメリカ 監督:ポール・フェイグ 出演:サンドラ・ブロック(サラ・アッシュバーン捜査官)    メリッサ・マッカーシー(シャノン・マリンズ刑事)  どこの国でも同じだろうが、エンターテインメントの世界の流行り廃りというのは残酷なほどに目まぐるしいものだ。  もちろん、第一線でいつまでも何十年もやれる人のほうが希少で、だからこそ彼らはスターと呼ばれるのだろう。

          古今東西刑事映画レビューその38:デンジャラス・バディ

          古今東西刑事映画レビューその37:ブラック・レイン

          2011年から2015年の間、知人の編集する業界誌に寄稿していた刑事物映画のレビューを編集・再掲します。 1989年/アメリカ 監督:リドリー・スコット 出演:マイケル・ダグラス(ニック・コンクリン刑事)    アンディ・ガルシア(チャーリー・ビンセント刑事)    高倉健(松本正博警部補)    松田優作(佐藤)  本稿を書いているのは12月中旬、師走も折り返し地点の頃である。「今年の漢字」「今年の流行語大賞」など、年の瀬を感じさせる催しがニュースで取り上げられ、すっか

          古今東西刑事映画レビューその37:ブラック・レイン

          古今東西刑事映画レビューその36:インビジブル・ターゲット

          2011年から2015年の間、知人の編集する業界誌に寄稿していた刑事物映画のレビューを編集・再掲します。 2007年/香港 監督:ベニー・チャン 出演:ニコラス・ツェー(チャン刑事)    ショーン・ユー(フォン警部補)    ジェイシー・チャン(ワイ巡査)  「ジャッキー先輩、おつかれさまです! 香港の映画はオレらに任せてください!」  ……と言うのが本作のキャッチコピーである。 恐らく日本の配給会社が付けたものだろう。説明するのも野暮だが、「ジャッキー先輩」とは勿論、

          古今東西刑事映画レビューその36:インビジブル・ターゲット

          古今東西刑事映画レビューその35:ディック・トレイシー

          2011年から2015年の間、知人の編集する業界誌に寄稿していた刑事物映画のレビューを編集・再掲します。 1990年/アメリカ 監督:ウォーレン・ベイティ 出演:ウォーレン・ベイティ(ディック・トレイシー)    アル・パチーノ(ビッグ・ボーイ)    マドンナ(ブレスレス・マホニー)  ここ何年か、アメリカ発のコミック、いわゆる「アメコミ」原作の映画をよく見かけるようになった。2013年公開作品の全世界興行収入では、ベスト10に“アイアンマン3”、“マン・オブ・スティー

          古今東西刑事映画レビューその35:ディック・トレイシー

          古今東西刑事映画レビューその34:ホワイトハウス・ダウン

          2011年から2015年の間、知人の編集する業界誌に寄稿していた刑事物映画のレビューを編集・再掲します。 2013年/アメリカ 監督:ローラン・エメリッヒ 出演:チャニング・テイタム(ジョン・ケイル)    ジェイミー・フォックス(ジェームズ・ソイヤー大統領)    マギー・ギレンホール(キャロル・フィナティ)  何かを壊させたら彼の右に出るものはない、と言うくらいの人である。  本作の監督、ローラン・エメリッヒのことだ。  “インディペンデンス・デイ(’96)”や“20

          古今東西刑事映画レビューその34:ホワイトハウス・ダウン

          古今東西刑事映画レビューその33:容疑者

          2011年から2015年の間、知人の編集する業界誌に寄稿していた刑事物映画のレビューを編集・再掲します。 2002年/アメリカ 監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ 出演:ロバート・デ・ニーロ(ヴィンセント・ラマーカ)    フランシス・マクドーマンド(ミシェル)    ジェームズ・フランコ(ジョーイ・ラマーカ)  意外かもしれないが、ロバート・デ・ニーロの主演作を小欄で取り上げるのは初めてのことだ。クリント・イーストウッド、ブルース・ウィリスなどと違って、刑事や警察官の

          古今東西刑事映画レビューその33:容疑者

          古今東西刑事映画レビューその32:フィルス

          2011年から2015年の間、知人の編集する業界誌に寄稿していた刑事物映画のレビューを編集・再掲します。 2013年/イギリス 監督:ジョン・S・ベアード 出演:ジェームズ・マカヴォイ(ブルース・ロバートソン)    ジェイミー・ベル(レイ・レノックス)    エディ・マーサン(クリフォード)  コメディ、だと言う。  映画の公式サイトのあおり文句はこうだ。「英国発★愛と絶望を笑いにする 最高にイカしたクライム・コメディ!!」。レンタルビデオショップの手書きPOPにも、「

          古今東西刑事映画レビューその32:フィルス