ヤモガミさま【詩の練習帳 1】
夏のとある昼
電子レンジから家に帰ると
白ヤモリが居間に一匹
ぼくを見るなり
全速力で駆け出して
部屋の家具に擬態した
ヤモリは家の守り神
特に、白ヤモリは縁起がいい
ぼくはヤモガミさまと命名した
懐くことはないけれど、
守られている安心感
きっと食べないだろうけど、
虫の代わりのお米とお水
稀に姿を現して
ぼくを見るなり逃げてゆく
ヤモガミさまとの奇妙な同居生活は
ある日、突然終わりを迎えた
長旅から帰って
ふとゴミ箱をどかすと
干せからになって死んでいた
これじゃあまるで
即身仏じゃないか
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