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Photo by
inagakijunya
謎めく二人。
ヒロトにとってその日は特別だった。
新天地での第一戦。
元々所属していたプロレス団体が倒産して、フリーで様々なリングに上がっていたヒロトがついに見つけた新しい城。
ここで、また一から登り詰めてやる。
客席には前の団体からずっと応援してくれるファンの姿や、横断幕まで見える。初戦を飾るにふさわしい大きなアリーナで、ヒロトは今まさにコールを受けていた。
大観衆の声援が、体に染みる。
照明の熱さ、リングの感触。重たいガウンを脱ぎながら今日のために仕上げた肉体を晒す。大きく腕を広げて名前のコールと歓声を一身に受ける。
前の会社が倒産してからのこの数ヶ月の鬱憤を晴らすために、今日は世界で一番いい試合をしてやろう。
ヒロトは、心からそう思った。
対角線のコーナーには、小柄な二人が目深にフードをかぶって立っている。
そう、ヒロトのデビュー戦は女子レスラー二人とのハンディキャップマッチなのだ。
最近じゃ珍しいこともない。
特に生き残りをかけて男女によるプロレスというものに活路を見出す団体も少なくないし、ヒロトも経営に関して苦しいところが多いことは理解しているのでそれに対して抵抗はない。相手が誰であろうと、真正面からぶつかっていい試合をすれば、それでいいのだ。
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