首狩姫戦記。
気がつけば戦国時代と言っても良かった。
木下良太率いる真日本プロレスリングはその動乱の時代にあっても、周りの団体が軒並み身を持ち崩しプロレスの本分とかけ離れたことに手を出し始めているのを尻目に堅実に、手堅く、プロレス一筋でここまで来れた。
それも昭和の時代から連綿と続くストロングスタイルなファイトが市民権を得ているからだ。プロレスといえば真日本プロレス。という図式は時代がどうなろうとも変わらない。変わるわけがないと、彼らは思っていた。
とある興行があった、ある日。
東京都内ではあるものの主要会場となる大体育館やアリーナではなく、下町の中規模の会場での興行でありマッチメイクもストーリーをなぞるわかりやすい真日本プロレスの有様をしっかり見せることを念頭においたものとなっていた。
観客は満員。
見渡す限り、満員の観客は真日本プロレスのファイトに満足してくれているらしかった。
事件はメインイベントの前に起こった。
選手入場のすぐ後、唐突に2人の女がリングになだれ込んできたのだ。
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