見出し画像

Walking Alone.

 僕が夜のウォーキングを始めたのはこの1ヶ月くらいのことだ。
25を超えると運動不足がいかに解消の難しい問題なのかを思い知ることになる。小さい頃は大人はみんな太っていて、だらしがないと思っていたけどなんとなくそれも仕方のないことだったのかもしれないと思い直す今日この頃だ。

昼間はご多分に漏れず僕も仕事をしているから、それが終わって、いつもだったらネットサーフィンやお酒を飲む時間に使っていたものを外を歩き回るということに使い始めた。

これがなかなかに面白いものだった。

要するに世界は昼と夜で全く違う。
知っているはずの町の、違う顔が見えてくる。
普段開いている店が閉まっていて、
普段閉まっているシャッターが開いている。

そこにはやはり違う世界が展開していて、ついつい誘われて入ってしまいそうになるがそれをしていてはウォーキングの意味がないからぐっと我慢をする。しかし、自分が住んでいる町というのが思っていたよりも退屈ではなく、そして考えているよりももっといろんな人が住んでいることに気がつかされる。

月が照らすこの町を眺めながら、一汗かくのが僕は好きになっていた。

そして僕は、ある女の子を見かけるようになる。
彼女は大体夜の9時ごろにもう閑散としきっている商店街を歩く。
僕と同じナイトウォーカーだ。
タオルを首からかけて、夏の蒸し暑い夜に白のタンクトップに、ベージュの短パンがよく似合う白い肌を半ば発光させて歩いていた。

「おお。。。可愛い子。。。。」

僕の心の中の第一声はそれだった。
隣をすれ違った彼女からは甘い、甘い、いい匂いが匂いがふわりと香っていてそれだけで夜の殺風景なその商店街が華やいで見えた。

ここから先は

7,329字

¥ 2,000

読んでいただきましてありがとうございます。サポート、ご支援頂きました分はありがたく次のネタ作りに役立たせていただきたいと思います。 皆様のご支援にて成り立っています。誠にありがとうございました。