ときメキメキ 絞メモリアル1
僕の名前は山田一郎。
この私立桜ヶ丘高校に通う一年生だ。
今春高校生になったばかりの僕は、これからどんな青春が待ち受けているのか心を弾ませているところだ。
まだ校舎には新しい建物の匂いがある。
この高校は創立間もない学校で、これから伝統や風習が作られていくのだそうだ。教室の窓から見える桜並木がいかにも初々しくこの季節を彩っている。
入学式を終えて所在なく自分の席に座っていると、前の席に座っていた女の子がこちらを振り向いた。
「ねえ、君名前は?」
まだ着慣れないブレザータイプの制服に身を包んだ彼女はそれでいて、いかにもスタイリッシュな容姿をしていた。きっとモテるんだろうな。
僕は自分の名前を述べると、彼女は「私は山下瑞穂!みっちゃんって呼んでいいよ!」とくったくなく微笑んだ。はっきり言って、めちゃんこ可愛かった。
彼女は僕が少し照れてしまったのを見破ると、「あ、赤くなったー。」と少し意地悪な微笑みを僕に向けて揶揄った。「そ・・・そんなことないし。。」と僕がした弁明を、彼女は「ふーん。そう?」と引き続きからかうようにして受け止めてくれた。
「ねえ、この学校のこと、知ってる?」
山下瑞穂は席に身を乗り出すようにして僕にそう尋ねた。
僕はまだできたばかりであること、これから色んな伝統を作っていくようなこと、つまり入学式でかなり若い女の校長先生がお話ししていたことぐらいしかわからないな、というような意味のことを答えた。
「あー、やっぱそうなんだ。」
山下瑞穂の意味ありげな言葉に僕は首を傾げた。
「なんか・・・なんかあるの?」
「うーん、きっとそのうち説明があると思うんだけどね。多分、うちら女子にだけはそういう説明が入学式に先駆けて、あったの。男子は聞いてないんだ。」
「へえ・・・。どんな?」
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