金網の女2019。

この世界の歪みが露見する。

その瞬間に悪魔たちは必死にことを隠そうとする。

なぜならその歪みこそが彼らにとって最高に居心地のいい巣なのだ。この世界にいる「その他大勢」の人々と自分との違いを心ゆくまで味わえる「歪み」の中にのみ存在する自らの存在意義を必死に守っているのだ。

とある地方アイドルグループに激震が走ったのは今年。
ことの発端は去年の末。あるメンバーが別のメンバーの素行不良を指摘した直後暴漢に襲われた、というもの。

もちろん警察はその暴漢を逮捕拘留したが、こともあろうにそのアイドルグループの運営事務局は被害者であるメンバーに圧力をかけて訴えを取り下げさせて犯人を釈放。被害者との口約束だけを持ってその事件を隠蔽していた。

それから約一ヶ月、新しい年を迎えたばかりのある日。その被害者となったメンバーは声を上げた。そして運営や暴行教唆をしたと思われるメンバーを告発したのだ。その大きな勇気を持って投じられた小さな一石は波紋を広げ、そのグループの実質的活動停止、運営の解体、そしてそのグループやビジネスモデルが抱える大きな歪みを露呈させた。
これはその勇気の告発から一ヶ月後のお話。

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