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ムダなプロセスを徹底見直し バナナの安さを実現できている理由

トライアルの店頭にはプライベートブランドのパンや天然水、店舗併設のキッチンで調理される出来立ての惣菜など様々な品物が並ぶが、その中でも不動の人気を誇る商品の一つが「バナナ」だ。フィリピンの指定農園から直送されており、そのコストパフォーマンスの良さから老若男女問わず多くの方に愛されている。
今回はその価格をどのように実現し、またどのような環境で育てられているのかを紹介する。
 
<2つのこだわり>
トライアルで扱っているバナナは、果物や野菜などの輸出入を手掛ける株式会社ユニフルーティージャパンと連携して管理を行っている。
「25年以上前からフィリピンの農場や日本のスーパーの視察を重ね、現地の状況をつぶさに見ながら持続可能なフルーツ生産に向けて環境を整備してきました」と話すのは、ユニフルーティー ジャパンでトライアルのプロジェクト責任者を担ってくれている白谷さんだ。
同社はミンダナオ島に5つの自社農園と、40ヵ所程の契約農園を保有しており、「生産者は”いっしょに良い物を作る”大切なパートナーである」と語る。

トライアルとユニフルーティー ジャパンがバナナ作りにおいてこだわっている点は大きく2つ。1つ目は「産地と顔の見える関係であること」
 
本プロジェクトのトライアルにおける担当責任者、大谷はこう話す。「トライアルの青果部門は、産地と顔の見える関係を築いて物流プロセスを見直し、安さと安心・安全の両立を目指してきました。お客様のニーズが高いバナナについても、できれば同様の仕組みで無駄を省き、良い物をより安くお客様に届けたいと思っていたのです。」
トライアルには店舗があり、お客様と直接コミュニケーションを行うことができる。その強みを生かし、お客様の意見を吸い上げて生産者にフィードバックし、産地のさらなる成長につなげることも狙いだという。
 
指定農園づくりを行うことが決まったとき、大谷はまずフィリピンに行き、現地の人と信頼関係を築くことから始めた。言葉だけではなく、現場で作業をともにすることでトライアルの本気を伝え、協力を呼びかけたのだ。「物づくりをいっしょにする上で、技術より気持ちが重要なシーンは多い」と白谷さん。その言葉通り、産地の人は泥臭く働く大谷を温かく迎え入れ、いきいきとした笑顔を見せてくれるようになった。こうして、2020年にトライアル指定農園はスタートを切ることができた。
 
指定農園でのバナナ作りにおける2つ目のこだわりは「工程のムダを徹底して省くこと」だ。
バナナの価格を維持するためにはあらゆるムダを排除しなければならない。トライアルの指定農園ではバナナの生産から輸送・加工・流通までの工程を一括管理しており、そうすることによって余分なコストのカット、即ち店頭での価格を抑えられることに繋がる。
農園で働く人々には安定した労働環境を、お客様にはいつもの価格でお買い求めいただける安心感を提供するために、最適な流通網となるよう定期的に見直しを行っている。
 
流通工程の一元化は、商品の鮮度維持にも繋がる。”鮮度”はまさに青果の命であり、中間の物流業者等を介さずフィリピンから直接トライアルの各店舗に届くバナナは、もぎたてのみずみずしさを保っている。
また、店舗での販売状況を仕入れ数や生産数にスピーディーに反映できるため、適正な在庫管理ができるのも大きなメリットだ。売れ残りといったロスを防ぎつつ、常に新鮮なバナナを店頭に並べることができる。
 
「今回の指定農園プロジェクトでは、店頭に並んだ商品の見た目でお客様に鮮度の高さが伝わるよう工夫しました。通常は文字やイラストを活用することも多いのですが、バナナの美しい黄色が際立つようデザインはごく控えめにしています」と、プロモーションを担当したユニフルーティージャパンの猪股さん。

トライアル指定農園のバナナは、2022年には約1,500万個を収穫した。トライアルのバナナはやわらかな食感とさっぱりした甘さで毎日食べても飽きのこない味が特徴であるが、直近では高糖度のバナナの栽培にも取り組んでいる。
 
大谷は“今回のような成功例をほかの青果にも反映させ、作り手もお客様も、間をつなぐ私たちも幸せになれる野菜や果物をさらに増やしていきたいです”と意気込む。店頭でバナナを見かけた際には、是非フィリピンの農園に思いをはせてみてほしい。