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“視えなかったデータ”への挑戦テレビCMの効果測定を叶えるツール開発

ここ十数年ほど、デジタルマーケティングは加速度的に進化している。PCやスマートフォンを通じて個人ごとにパーソナライズされた広告を出すのは当たり前で、誰がいつその広告をクリックし、特設サイトをどこまでスクロールし、購入に至ったかどうか等を計測するのは朝飯前だ。
ただしそれはあくまでインターネットを介している場合のみ。オフラインの媒体に関しては出稿期間でどれだけの効果が得られたのか、獲得に結び付かずとも最初に表示された文字や画像は魅力的だったのかといった効果測定が一気に不明瞭になる。

オフライン媒体にも様々な種類があるが、中でもマーケターを悩ますのはテレビだ。昔ほどではないがテレビCMがもたらす世の中への影響力というのはまだまだ強大で、唯一無二のものがある。一方でそれがどれだけ売上やブランディングに繋がったかを直接的に測るすべがなく、費用対効果を明らかにできないという点や、より良いPDCAサイクルを回すことができないといった課題があった。

ビッグデータ活用によりテレビCMをフルファネルで分析可能に

そんなテレビCMの効果を可視化し、企業のマーケティング活動をより前に進めるべく開発されたのがメディアプランニングサポートツール「TV de Sales+(テレビ・デ・セールスプラス)」だ。

「TV de Sales+」は株式会社SalesPlus、株式会社電通、株式会社unerryの3社共同開発で誕生した。SalesPlusはトライアルグループ内でAI関連のプロダクト開発を担うリテールAI X社と電通グループの共同出資によって設立された、購買近接店に強いマーケティング・ソリューションカンパニーだ。
SalesPlusが持つ”小売り購買データ”と電通が持つ”テレビ視聴データ”に、unerryが提供するリアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank」による”人流データ”が加わり今般のサービスが実現した。
(Sales Plusとは:参考記事はこちら

「TV de Sales+」は、テレビ CM 接触者のうち、何%の人が実際に来店・購買したかをフルファネルで計測することが可能だ。

また、本取り組みに参画してくれている小売企業の提供するデータに基づき、購買に繋がった客層のデモグラフィック(年代・性別)やライフスタイルも分析することができる。
さらに、その来店や購買がテレビ CM 接触によるものなのか・リピート購買なのか、最後のテレビ CM 接触から何日後に来店・購買されたかといった詳細な状況分析に加えて、CM接触時間帯や曜日別・放送局別でも見ることができるので、メディアプランニングの効率は飛躍的に向上するだろう。

活用事例:トライアルの場合

実際に「TV de Sales+」を使って、トライアルのテレビCM分析を行った事例を紹介する。
トライアルの看板商品である「三元豚ロースかつ重」と「阿蘇くじゅうの天然水」に関するテレビCMだ。

トライアルの事例

福岡県内のトライアル全店舗を来店・購買計測対象店舗として、各CMの放映中および放映後の次の日曜日までの期間で「テレビCM広告接触者」「来店者」「購入者」「新規購入者」のボリュームをそれぞれ分析した結果が以下だ。「来店率」はいずれの商品も約5%だが、天然水の方が実際の購買に結びついていることがわかる。

続いて、放映局別での差分を見ていく。同じ局でも商品によって差分があること、また同一商品の同一クリエイティブでも局によって差分が出ることが可視化できた。感覚的には当たり前のことかもしれないが、いざ数値で起こすことで今後の振り返りや細かな分析に貢献する。今回は特定時期における2商品の比較だが、1つの商品を時期ごとで見ていく等、様々な活用の仕方が
考えられそうだ。

トライアルの事例(カツ重)局別
トライアルの事例(天然水)局別

最後に接触時間別の分析だ。天然水は比較的波のないグラフだが、かつ重は朝帯と夜帯に変動が見られるため、惣菜商品類はこの時間帯に放映することが効率的という仮説が立てられる。

トライアルの事例(カツ重)接触時間別
トライアルの事例(天然水)接触時間別

win-win-winの関係を

「TV de Sales+」はメディアプランニングの効率化に繋がるが、メーカーや広告代理店だけのためのものでは決してない。お客様が本当に欲しいものの情報を、適切な時間や方法で届けるということが非常に重要だ。今回視えるようになったデータをどのように活用していくかがこれからの肝になっていく。