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【ほうろく灸】土用の丑の日とお灸

五行のはじまり

インドでは「4」という数字を念頭におくのだそう。

その文化が中国に渡り、偉い人は考えた。

「あー 中国では4じゃなく5がいい感じなんだよなー」

「せや、4にひとつ足したろ!」

こうして策定されたのが「木・火・土・金・水」「春・夏・長夏・秋・冬」という五行の概念なのだそうです。もとはそれぞれ「木・火・金・水」「春・夏・秋・冬」とまん中がなかったのですね。

五行色体表と土用

東洋医学を学ぶ方にとって馴染み深い五行色体表。

では…… 五能(五化)ってなんでしたっけ?



答えは「生・長・化・収・蔵」


季節の間に起こる変、これを用としたのだそうです。


「木・火・・金・水」

「生・長・・収・蔵」

ね。

ちなみに、季節の間に起こる変化を指すので、土用は年に4回あります。

  • 春の土用(5月6日の立夏の前18日間)

  • 夏の土用(8月7日の立秋の前18日間)

  • 秋の土用(11月7日の立冬の前の18日間)

  • 冬の土用(2月4日の立春の前の18日間)


ほうろく灸やってみた

ほうろく灸

「夏の土用の日に鍼灸で行われていることはあるの?」

そのひとつに、焙烙灸(ほうろくきゅう)があります。

陶器(素焼きの土鍋)のお皿に艾を乗せ、頭頂の「百会」にあてて灸をします。


ほんのりあたたかい。

そしてそのあたたかさが頭に残って持続します。


ほうろく灸は日本全国に広まる文化で、夏の土用の時期に無病息災を祈願し日蓮宗や真言宗のお寺で行われているのだそうです。

筆者の地元もほうろく灸の記事が地方紙に掲載されていました。

ほうろく灸の効能

さて、夏の土用にほうろく灸をすると、どのような効果があるのでしょうか。

ほうろく灸の目的は、暑気払い、頭痛予防、中風予防なのだとか。

暑気払いの暑気、つまり夏バテが起こるのは、梅雨の時期から夏の暑さの変化に身体がまだ慣れていないため。まさに土用、変化の季節です。
現に熱中症患者が最も多いのは7月上旬から中旬なのだそうです。

ここで「中風ってなに?」という方もいらっしゃるでしょう。

中風(ちゅうふう)とは東洋医学で脳卒中を指します。頭の中を風が吹きまくって身体に震えや眩暈(めまい)を引き起こす……的な意味合いでしょうか。

「でもさ、脳卒中って夏だけじゃなくね?」

これは脳卒中の症状が熱中症にも似ることから、中風予防とされたのではないかと考えられるのだそうです。


最後に、ほうろく灸により百会をあたためると、どのような効能があるのでしょうか。

夏風邪のような外感病からくる頭痛、イライラによる頭痛、のぼせや高血圧、暑さにあたった感じ、前述した中風(熱中症)によいのだそうです。

その効能は日蓮宗の日蓮上人もこう読んでいます。

「どうしようもない酔いどれ息子が父ちゃん母ちゃんを殺そうとしている。それ、止めるでしょ?」

「悪い人がお寺の塔に放火しようとしている。それ、止めるっしょ?」

「可愛い一人息子が重病だったら、お灸するよね?」

「そのくらい効果があるよ!」

※筆者による意訳です。

悪子の酔狂して父母を殺すをせいせざるべしや、悪人・寺塔に火を放たんにせいせざるべしや、一子の重病を灸せざるべしや」

(日蓮上人)

最後までご覧いただきありがとうございました。

うなぎに触れないストイックな記事でした笑

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