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【生理学:神経線維】チクッ! ズキズキ… 人が感じる痛みについて小学生にもわかるように復習するよ!

「グツグツのおでんに触れちゃった」
「キンキンの氷水に手をつけたら冷たってか痛かった」
「タンスの角に小指ぶつけちゃったあががががががg

これらはすぐに想像できる痛みなのではないでしょうか。

ところでこれらの痛み、よくよく思い出すと”痛みを感じるまでにかかる時間が異なる”ことに気づくと思います。ホントわずかな差ではありますが。

想像してみてください。

  • 「キンキンの氷水に手をつけてみた」

  • 「グツグツのおでんに触れてみた」

どちらが早く痛みを感じるでしょうか?


なんとなく想像できますでしょうか。
ほとんどの方は氷水に手をつけたときの方が早く痛みを感じるんじゃないかなぁと想像できると思います。

熱いものは痛みを感じるまでに少し時間がかかるんですよね。
古い映画ですが、とってもわかりやすいのでご覧ください(2:30〜)。

ターミネーター2の登場シーン。2:30〜見てもらうと、ターミネーターにブン投げられちゃう人々。ふたり目の方、投げられた先はガラスを割り厨房へ。そこには肉厚のステーキを焼けるような特大コンロが。ギャアアアアア

注目ポイントは、投げられ着地、既にアツアツのコンロの上にいるにも関わらず気づくのに時間がかかっていること。

つまり、熱いって感じるまでに時間がかかるのが人間の構造なのです。

どうして冷たいのと熱いのでは感じるまでに時間がかかるの?
これは結論、神経繊維と感覚器の違いによるもの。
この違いについて詳しく見ていきましょう。

痛みを感じるまでの仕組み

ヒトの身体には「受容器」と呼ばれる、触った感覚や圧(触圧覚)、そして冷たさ(冷痛覚)、温かさ(温痛覚)を感じるセンサーがあります。これらが起源となり、「神経繊維」を介して脳(ここでは簡略化し脳とします)に伝わり痛みを感じるのです。

この受容器(センサー)に応じて神経繊維の種類や太さが決まっており、これらが痛みを感じるまでのスピードを決定しています。

冷たいものを触ったとき

冷たいものを触ったときの受容器はⅢ群の「冷、侵害受容器」。直径1〜6μm(ミクロン)で、伝導速度は12〜30m/秒です。
これに対応する神経繊維はで、直径1.5〜3μm、伝達速度は3〜15m/秒です。髄鞘のある有髄繊維です。

熱いものを触ったとき

対して、熱いものを触ったときの受容器はⅣ群の「温、侵害受容器」。直径1μm以下で、伝導速度は0.5〜2m/秒です。
これに対応する神経繊維はCで、直径0.2〜1μm、伝達速度は0.3〜2m/秒です。髄鞘のない無髄繊維です。

【最速】反射的に手を引っ込める

人体最速は筋紡錘(骨格筋という自分の意志で動かせる筋肉の中にある受容器)はIa群。筋肉の長さに関する情報を脳に伝える役割があります。直径12〜21μmで、伝導速度は70〜120m/秒です。
これに対応する神経繊維はで、直径12〜20μm、伝達速度は60〜120m/秒です。髄鞘のある有髄繊維です。

これは「身体を危険から守る」という生物の最も大切な本能から考えるとわかるのですが、何か危ないことに気づいたらそこから対応する必要がある。逃げるとか闘うとか。反射的に手を引っ込めるとか。
その動作のために必要なのが筋肉(次点で腱:筋肉にかかる力(張力)の情報を脳に伝える)です。
ですから筋紡錘は最速の受容器であり、また最速の神経繊維を与えられているのですね。

神経繊維の種類によって速度が変わるのはなぜ?

痛みが伝わる速度の差は、結論神経繊維の太さと髄鞘の有無で決まります。神経繊維が太いほど伝道速度は速くなります。これは住宅街の細い一般道と3車線の高速道路をイメージしていただけるとわかりやすいでしょうか。

そして、神経繊維が有髄、つまり髄鞘があると伝道速度が速くなります。髄鞘とは軸索(神経細胞)を包む絶縁体のこと。絶縁体があって周りから邪魔が入らないので速くなります。

「じゃあ全部の繊維太くして有髄化したら最つよじゃん?」

と思うじゃないですか。

しかし、神経繊維が太いと弱点があって、圧迫に対して弱くなります。これはどういうことかと言うと、例えばお葬式で正座ずっとしてました。足痺れた……!

コレです。神経さんが太いのでギュッと潰されて、機能しにくくなります。ストローの途中を指で潰してジュース飲んでるような状態で伝達しにくい。

だからヒトの機能を最適化するために神経繊維の太さが場所や感覚によって変わっているというわけです。本当にヒトの身体ってよくできていますよね!

ちな、逆に神経繊維が細いと、麻酔が速く効きます。マヒしやすいのですね。まんげつ草置いときますねー(ドラクエ)。

国試の問題を解いてみよう

神経の興奮伝導について正しい記述はどれか。 (はき第9回-42)[生理学]

  1. 伝導速度は軸索の太さに比例する。

  2. 活動電位の振幅は減衰する。

  3. 活動電位は両方向には伝導しない。

  4. 伝導速度は温度変化に影響されない。









答え

1.伝道速度は軸索の太さに比例する。


そうそう、最速の骨格筋といえば、筋肉のことについても詳しくお話ししております。もしよろしければハシヤスメ的にご覧ください。


以上、ヒトが痛みを感じる仕組みを小学生にもわかるように復習する試みでした。ではまた!





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