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【東洋医学概論】風邪・暑さ・寒さ……外から身体に侵入してくる「六淫」を小学生にもわかるように説明する試みです。

「ヒトの身体の外から侵入して、身体の中で悪さをしてやろう……!」
これを外感病因といい、東洋医学では次の6つがあるとされています。

  • 風邪(ふうじゃ)

  • 寒邪(かんじゃ)

  • 湿邪(しつじゃ)

  • 燥邪(そうじゃ)

  • 暑邪(しょじゃ)

  • 火邪(かじゃ)

これらをまとめて六淫(ろくいん または りくいん)と呼びます。
気温、湿度、風、病原体等々……身体を取り巻く環境の変化と捉えることもできます。

それぞれ、どんな特性があるのかみていきましょう。

風邪(ふうじゃ)<陽>


風邪はヒューッと動き回るので「陽」の性質をもちます。

・軽揚性

軽くてスッと揚がるので、身体の上部(頭から胸にかけて)から侵入します。頭痛、肩こり、鼻づまりを引き起こすとのこと。まんま風邪(かぜ)だからイメージしやすい!

・遊走性

身体の中で動き回るので(遊走性)、急な症状の変化(部位や性質)があります。身体の中でバチバチに暴れ回るからでしょうか、振戦や痙攣を起こします。

・開泄性

腠理の開合(汗腺である毛穴を閉じたり開いたり)がうまいこと調節できなくなるため、自汗、多汗、ゾクゾク、悪風の症状が現れます。

・百病の長

風邪は百病の長と聞いたことがありませんか? その理由は後述する「熱邪・寒邪・湿邪」と共に身体の中に侵入してくるからなのですね。一言で風邪と言っても、いろいろな症状が現れるのはここに理由があります。


寒邪(かんじゃ)<陰>


暑いのが「陽」ですから、その逆で寒いのは「陰」になります。寒邪は3つの特性があり、寒さのレベルで性質が変わってきます。

・寒冷性

寒さレベル1。四肢(手足)の冷え、悪寒があります。

・凝滞性

寒さレベル2。身体がキンキンに冷えるので疼痛が発生します。これは気血の鬱滞が原因です。

・収引性(収斂性)

寒さレベルMAX。陰盛により無汗なのが特徴です。寒すぎて熱を逃さまいと筋収縮が起き、身体がこわばります。
あ、収斂性は「しゅうれんせい」と読むそうです。

湿邪(しつじゃ)<陰>


湿気の湿だから、身体の中でいろいろ変化して水に関する悪いことをするイメージでしょうか。

・重濁性

「だるおも」ですね。

・粘滞性

ネバネバで同じところに留まります。症状が長引き、再発しやすいのが特徴です。

・下注性

コチラは前述のふたつとは違って、サラサラ落ちちゃうイメージでしょうか。下痢、排尿障害といった排泄系にダメージがある他、下肢の浮腫もみられます。

・脾を損傷しやすい

臓腑のひとつ「脾」の特徴は「喜燥悪湿」。消化器系である胃(胃は悪湿喜燥の対立関係)の近くにいるので、脾はいつも湿気を避けよう避けようとしています。そこに湿邪が入ってくるとさあ大変。
具体的には胃のつかえ、胸悶、排便してもスッキリしないといった症状が現れます。

燥邪(そうじゃ)<陽>

パッサパサ。

・乾燥性

口、鼻、皮膚が乾きます。また体内の津液が損傷してしまいます。

・肺を損傷しやすい

乾燥することにより肺が損傷し、咳嗽、ぜん息、血の痰がでます。
というのも肺は「水の上源」と呼ばれ、水と密接な関係があります。乾燥して肺の水がやられちゃうと上記の症状が出ちゃうのですね。

暑邪(しょじゃ)<陽>

暑さが身体に与える影響は次の3つがあります。

・炎熱性

暑さで身体中ほのおの熱が充満しちゃう。その影響で洪脈となります。洪脈とは、脈拍が激しく、実熱を伴います。高熱、多汗、口の渇きがみられます。

・昇散性

昇散するのは「気・津液」で、上昇、発散することで気と津液が損傷します。こうなると多汗の中でもブワッと吹き出すような汗、そして意識障害が起きる重篤な状態となります。

・湿邪を伴う

前述した「湿邪」を伴うことで、脾や胃を損傷します。食欲不振になったり、泥状の便、悪心嘔吐、尿量減少がみられます。

火邪(かじゃ)<陽>

火邪は暑邪とともに「熱邪」とも呼ばれます。熱をもつことに変わりはないのですが、暑邪との違いもご覧ください。

・炎上性

発熱、多汗、顔面紅潮のほか、不眠、精神/意識障害がみられます。
「暑邪の炎熱性と何が違うの?」と思ったのですが、不眠、精神・意識障害となることから、臓腑でいうところの「心」に影響があるようです。五行色体表を思い出してください。「木・・土・金・水」に対応して「肝・・脾・肺・腎」。あらためて五行色体表のすばらしさを感じることができますね。

・生風

火による温度差で体内に風を生み出します。その影響で痙攣、振戦、眩暈を引き起こします。

・動血

火は血に悪さをします。血脈の過剰亢進により、吐血、喀血、崩漏を引き起こします。

※最後になりますが、六淫について学んで、自分なりに解釈した内容ですのでもしかすると異なる場合があるかもしれません。


国試の問題を解いてみよう

六淫で生風を特徴とするのはどれか。(はき第31回-98)[東洋医学概論]

  1. 風邪

  2. 燥邪

  3. 暑邪

  4. 火邪






<答え>

4.火邪


外邪とその特徴の組合せで正しいのはどれか。(はき第24回-93)[東洋医学概論]

  1. 火邪 ――― 動血

  2. 風邪 ――― 収斂

  3. 寒邪 ――― 粘滞性

  4. 湿邪 ――― 遊走性






<答え>

1.火邪 ――― 動血

「関節がだるく痛み、頭が重くなる。」の症状を引き起こす病邪の特徴はどれか。(はき第27回-91)[東洋医学概論]

  1. 粘滞性

  2. 収引性

  3. 開泄性

  4. 昇散性






<答え>

1.粘滞性


今回もご覧いただきありがとうございました!

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