見出し画像

【臨床医学各論の前に】人体最大の臓器「肝臓」のはたらきを8つ解説します。

肝臓の病気に入る前に「肝臓ってどんなはたらきをしているの?」をイメージできていると、理解がしやすくなります。

「アルコールを分解してくれるのね、お世話になってます」
「栄養豊富なんだよね知らんけど」
習う前の肝臓に対する知識はこれくらいでした笑

実際にはいろんな役割を担っていて、栄養分の分解・合成、栄養分を蓄える、アルコールのような有害物質の解毒、胆汁(消化吸収を助けるよ)を生成・分泌する機能を備えています。大きな工場みたいな感じでしょうか。

というわけで、ここでは主なはたらきを8つピックアップして解説します。

<物質の合成>

1.糖代謝

そもそも「代謝」とは物質を科学的に変化させてつくり変えることをいいます。
肝臓で行われているのは、こんな感じ。
胃や腸「食物の栄養摂るんはええねんけど、このままじゃみんな食べれへんしなー。せや! 肝臓さんとこ持ってって料理してもろたろ!」
肝臓「こんなん、バー!やって、ガーして、代謝したら食えるやろがい!」

つまり、胃や腸で食物から摂った栄養分はそのままでは使えないから、肝臓で代謝して体内の各器官が吸収できる状態にしてくれるのですね。

エネルギー代謝のうち、際たるものが糖代謝。糖質をグルコースにつくりかえ、エネルギー源として活用しています。

2.胆汁の生成

肝臓では、コレステロールと胆汁酸から胆汁をつくり出しています。
胆汁の役割は大きく3つ。

  • 脂肪の消化吸収を助ける

  • 古くなった赤血球や不用物(ビリルビン)を排泄する

  • 血中コレステロール濃度を調整する

肝臓でつくられた胆汁は胆嚢(たんのう)に貯蔵され、脂肪分が体内に入ると十二指腸や小腸に放出して消化吸収を助けます。

3.タンパク質合成

肝臓は消化器から取り込んだアミノ酸を、身体の中に必要な種類のタンパク質につくりかえます。
例えば、アミノ酸から血漿に含まれるアルブミン(血管から水が漏れないようにしてくれる)につくりかえたり、止血に用いるフィブリノゲンという血液凝固因子などを合成し血液の中に送り出します。

<物質の貯蔵>

4.栄養素の貯蔵

肝臓は自ら合成したグリコーゲンや中性脂肪(トリグリセライド)のほか、腸から吸収されたビタミン(ビタミンA、D、B12 etc)、鉄などを貯蔵し、必要に応じて体内に送り出しています。

グリコーゲンの例でいうと、肝臓は脳のメインエネルギーであるブドウ糖(グルコース)を供給してくれています。
脳は寝ているときもエネルギーを必要とするので一日中グルコースが欠かせません。ただ補給するだけでなく、血糖値が上がりすぎないようコントロールしてくれてもいます。
直ちに必要としないブドウ糖はグリコーゲンに形を変えて、貯蔵しやすいようにしているのです。

5.血液の貯蔵

肝臓って何色をしていると思いますか?
正常な肝臓は赤褐色なのです。赤いのは肝臓が血液を多く含む臓器だからです。正常時には約300mLの血液を貯蔵しているんだとか。

<解毒>

6.解毒作用

肝臓は身体に有害な物質を分解し無毒化する「解毒作用」があります。
どんなものが身体に有害かというと、皆さんご存知アルコール。また、栄養を代謝する時や過度な運動により発生するアンモニアは、無毒化して尿素に変えて排尿します。その他、薬やサプリメントといった合成物質も解毒の対象です。

<産熱>

7.産熱

熱を産み出すといえば、筋肉をイメージする方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。実は、肝臓も熱を産み出しています。その理由は代謝をいつも行なっているからエネルギーが発生しているのですね。肝臓で産まれた熱を上手に使って体温コントロールをしています。

<防御>

8.生体防御

肝臓は生体防御の場でもあります。

マクロファージ(クッパー星細胞)が身体に侵入した異物を貪食します。

NK(ナチュラルキラー)細胞がウイルス感染してしまった細胞や老化した細胞を処分します。

免疫を司るT細胞たちが異物を処理したりしています。

「いきなり知らない細胞がたくさん出てきたやんけ」という方は、ぜひ「はたらく細胞」をご覧ください!

はたらく細胞好きすぎて、東洋医学に例えたりしちゃってますのでこちらの記事もよろしければどうぞ。


それでは肝臓の機能を8つにわたって書いてみました。お勉強前の前提知識として活用いただけると幸いです、それではまた!





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?