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半年間ミニマリストをやった時の話

今から数年ほど前の話。
自身の怠惰さ、センスのなさに倦んでいた当時の私は、とある書籍を読んで感化され、ミニマリストになろうと思い立った。

ちょうど大学院の修士課程に進学して一人暮らしを始めるタイミングだったので、もう徹底的にやってやろうと思った。自分の暮らしから引き算を続けた先に何があるのか、確かめてみたかった。

本稿では、当時実践したことと、その結果について書く。

実践したこと

1日1捨

毎朝1つ何かを捨てる。日々着実にモノを減らす。
不要なアプリや写真データを消す、でも可。
「もう何も捨てるものがない」と思った時からが本番で、いつか使うかもという躊躇を断ち切っていく。

とにかく部屋にモノを置かない

当時の6畳ワンルームに置いたのは、ベッドとスツールくらい。
キッチン部分には、小さな冷蔵庫と電子レンジのみ。
床にはもちろん何も敷かない。

洗濯機も置かない

桶を使って毎朝手洗い。手が冷たくてもやる。
物干し竿もなし、ベランダに引っ掛けたロープにハンガーで吊るす。

風呂場には石鹸だけ

毎日お湯で洗髪し、石鹸で顔や体を洗う。
髪のベタつきが気になった時は石鹸で洗髪する。

毎日同じ食事

毎朝、サラダとヨーグルト。
サラダは、大きめのボウルに、ちぎったレタスとトマトとアボカドと煮豆を乗せて、オリーブオイルをかけて塩を振る。
食後には珈琲を飲む。

昼食や夕食も、だいたい食堂で同じようなものを選ぶ。野菜重視。
間食はなし、間食するとしてもナッツとかカロリーメイト。

スマホを持たない

これがいちばん面白い取り組みだったかも。
iPhoneを解約し、ドコモのガラケーを契約した(一応LINEは使える)。
不便ではあるが、余計な情報が入ってこないので良い。
当時2019年だけど、私のほかにガラケーで生きてた20代ってほぼいないと思う。

色を全部黒に揃える

全ての持ち物から色を無くす。
携帯電話、ペン、手帳、腕時計、財布などなど。
服も基本的に白と黒のモノトーン。ベッドカバーさえも黒。

実践した結果

他にもいろいろあるんだけど、まあこんな感じで、徹底的にミニマリストごっこをやっていた。
さすがに極端なやり方なので、途中からミニマリストであることが自己目的化していた気もする。

で、これを半年くらい続けた矢先、秋くらいにとある理由で見知らぬ人たちとルームシェアを始めることになったので、この極限ミニマリスト生活には終止符が打たれた(ルームシェア時代の話は次回に書こうと思う)。

なんとなく花を飾ってみたこともあった。

いま振り返って思うに、この狂気じみた半年間の中で、自分の中にモノを選ぶための明確な基準が出来上がったと感じる。
引き算を続け、己の生活を外側から内側へと剥いでいった先に、これだという一つの芯みたいなのが見つかった。
これが、自分が身につけたかったセンスの正体なのかもしれない。もちろんまだ道半ばだけど。

美しくなりたければ、美しくないものをなくす。
そんな感じで、既存の足し算ベースの思考に加えて、引き算ベースの思考も自分の中にインストールされていった。
ものを考えるとき、常にこの両輪によって思考できるようになるとなんかいい感じにバランス取れそう。

いや、そもそもバランスがあるのが普通で、自分はそれを欠いていたから極端な方法によってそれを会得したというだけかも。

ちなみに当時は、家族含め周囲の人々には狂人と思われていたと思う。今はまともなのかといわれたらそれはわからない。


2024/09/20 執筆