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日付が不明な遺言事件

こんにちは。

 遺言を残そうとする人は、その全文、氏名、日付を手書きで記入し、押印する必要があります。しかも、どれか1つが欠けても遺言は無効、つまりただの紙切れとなってしまいます。

 遺言書に日付が必要な理由として、複数の遺言書が見つかった場合に、新しい日付のものが優先することから、日付の前後を確認するのに重要だからということがあげられます。

 では、日付が曖昧な遺言があった場合にはどうなるのでしょうか。この点について、2つの裁判例を解説したいと思います。

1 日の記載のない遺言

 自分で作成した自筆証書遺言に年月の記載はあったが、日の記載がなかったことから、遺言が無効だと争われた事件について、最高裁判所(最判昭和52年11月29日)は「日の記載がないときは、その遺言書は民法968条1項にいう日付の記載を欠く無効のものである」と判決を下しました。

2 吉日と書かれた遺言

 自筆証書遺言の日付として「昭和41年7月吉日」と記載されていたことから、遺言が無効だと争われた事件について、最高裁判所(最判昭和54年5月31日)は、「単に昭和41年7月吉日と記載されているにとどまる場合は、暦上の特定の日を表示するものとはいえず、そのような自筆証書遺言は、証書上日付の記載を欠くものとして無効であると解するのが相当である」と判決を下しました。

3 日付は正確に記入

 今回のケースで裁判所は、自分で作成する遺言書に日付がなかった場合と、昭和41年7月吉日と書かれていた場合のいずれについても、日付の記載がないものとして、遺言が無効になるとしました。
 その他にも遺言書では、本人が書いたかどうか、書いた当時に認知症だったのかどうかも争われることがありますので、十分に注意する必要があるでしょうね。
 では、今日はこの辺で、また。 


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