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カプコンvsコーエーテクモ裁判

 こんにちは。

 テクモと聞くと、ファミコン版のキャプテン翼を思い出すのですが、なぜあそこまで胸が熱くなったのかを突き詰めてみると、ゲームのBGMが強烈だったのかと気づいた松下です。

 さて今日は、コーエーテクモゲームスがカプコンの特許を侵害したのかどうかが問題となった「カプコンvsコーエーテクモ事件」(知財高判令和元年9月11日裁判所ウェブサイト)を紹介したいと思います。

1 どんな事件だったのか

 株式会社コーエーテクモゲームスは、2000年に「真・三國無双」を発売し、以後「戦国無双」及び「零」などのゲームを販売していました。

 株式会社カプコンは、2005年に「真・三國無双」と同様のアクションゲーム「戦国BASARA」を発売しました。

 するとカプコンは、コーエーテクモの「真・三國無双」、「戦国無双」及び「零」などのゲームがカプコンの2件の特許権(3295771号、3350773号特許)を侵害していると主張して、約9億8320万円の損害賠償を請求しました。

2 カプコン側の主張

 俺たちの特許の中身は、背後にいる敵キャラクターなどの存在をコントローラーの振動で

知らせる仕組みに関する技術と、外伝のようにシリーズ化されたゲームソフトの作動時(第2の記憶媒体)に、前作(第1の記憶媒体)をゲーム機に読み込ませることでキャラクターなどが追加される仕組みに関する技術だ。

 コーエーテクモは、第1の記憶媒体である「戦国無双3」と第2の記憶媒体である「戦国無双3 猛将伝」を準備し、「戦国無双3 猛将伝」がゲーム機に装填されると、拡張されたゲームを楽しめることになっているが、これはまさに俺たちが発明した技術だ。また「零」に使われていた背後にいる敵キャラクターなどの存在をコントローラーの振動で知らせる仕組みも、俺たちの発明だ。いずれも、俺たちの特許権を侵害している。

3 コーエーテクモゲームズ側の主張

 カプコンさんの発明には「第1の記憶媒体と第2の規則媒体が準備されている」とありますが、「戦国無双3」本編ディスクを保有せずに、「戦国無双3 猛将伝」の製品のみを保有しているユーザーは、カプコンの発明を実施することはなく、かつ「戦国無双3 猛将伝」には、単独でも十分楽しめる内容のゲームプログラムが備わっていますので、「戦国無双3 猛将伝」は、社会通念上、経済的、商業的又は実用的な他の用途を有しておりますので、カプコンの発明のみを用いるものではありません。よって、特許権侵害にはあたらないと思います。

4 知的財産高等裁判所の判決

 カプコンの発明は、前作と後作との間でストーリーに連続性を持たせた上、後作のゲームにおいても、前作のゲームのキャラクタでプレイしたり、前作のゲームのプレイ実績により、後作のゲームのプレイを有利にしたりすることによって、前作のゲームをプレイしたユーザに対して、続編である後作のゲームもプレイしたいという欲求を喚起し、これにより後作のゲームの購入を促すという技術思想を有するものである。
 コーエーテクモゲームスが販売している「戦国無双」は、「戦国無双3 猛将伝」の前作のソフトである。「戦国無双3 猛将伝」は単独でもプレイできるが、前作の「戦国無双3」を持っていれば「MIX JOY」というモードもプレイすることができるのだが、これはカプコンの発明の構成要件に相当する。「戦国無双3 猛将伝」のユーザーが「戦国無双3」を保有していないとの事実は、カプコンの発明について特許法101条4号の「その方法の使用にのみ用いる物」であるとの判断を左右するわけでは

なく、コーエーテクモゲームスが業として「戦国無双」などの製品の製造、販売、及び販売の申出をする行為は、カプコンの特許権を侵害するものとみなされる。
 よって、コーエーテクモゲームスは、カプコンに対して約1億4000万円を支払え。

5 特許権の存続期間

 今回のケースでは、もともとコーエーテクモ側が「真・三國無双」などのシリーズを発売し人気を得ていたのですが、後からカプコンが戦国BASARAを発売して、その特許を取得していたことから、裁判所はコーエーテクモ側の特許権侵害が認める判決を下しました。

 しかし、すでにカプコンの特許は1994年から20年が経過し、無効となっていますので、コーエーテクモのゲームソフトが販売停止になることはありません。ゲーム自体は、今後も楽しめそうですね。

では、今日はこの辺で、また。


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