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明治大学司法試験漏洩事件

こんにちは。

 明治大学出身の有名人といえば、北川景子さんや長友佑都さんなどの多くの著名人をあげることができるのですが、宇崎竜童さんがキャンパス内で妻と出会って結婚したと聞いてびっくりしましたね。

 さて今日は、明治大学法科大学院で司法試験の漏えいが問題となった「明治大学司法試験漏洩事件」(東京地判平成27年12月24日法務省HP)を紹介したいと思います。

1 どんな事件だったのか

 明治大学法科大学院青柳幸一元教授は、司法試験の考査委員として司法試験の問題を作っていました。ところが、平成27年の司法試験の実施前に、自らが作成した憲法の短答式と論文式の試験問題を、自身の教え子である女子学生に漏洩していました。その後、秘密裏に調査をしていた司法試験委員会は、国家公務員法の守秘義務違反を理由に検察庁に刑事告発し、青柳氏が逮捕、起訴されました。

2 検察側の主張

 そもそも、青柳氏はすでに女子学生と交際関係にあったのであり、漏洩に及んだ直接的な原因は司法試験受験者と考査委員の交際という極めて不適切な関係にあったのだ。なぜ法学研究者でありながら、そんな愚かなことをしたのか。今回はたまたま発覚したから良かったものの、不正をした受験者が司法試験に受かってしまい、裁判官や検察官、弁護士になったら、どれほどの影響があるのか、本当に理解しているのか。裁判長、司法試験制度そのものを根本から否定する犯行で、交際相手の女子学生を不正に合格させようとした動機はあまりにも愚かであり、受験生に不信感や憤りを抱かせ、法律家を志して勉学に励む人の思いを踏みにじったので、懲役1年を求刑する。

3 被告人の主張

 私は、平成26年に女子学生が不合格となった後に泣いている姿を見ていると、自分の娘が泣いているような気持ちになってしまい、なんとかしてやりたいと思ってしまいました。今考えると、なんと愚かなことをしてしまったのかと、深く反省しております。これまで私は憲法上の平等原則などを研究テーマとしており、フェアをモットーとして生きてきたが、結果的にフェアではないことをしてしまった。公平であるべき国家試験の根幹を傷つけてしまい、これまでの教え子らに顔向けができません。

4 東京地方裁判所の判決

 主文、被告人を懲役1年、執行猶予5年に処する。被告人は、司法試験選考委員の立場にありながら、交際していた受験生を合格させるために自ら進んで犯行に及んだ動機は強い非難に値する。漏えい方法も、問題を複数回にわたり繰り返し示し、解かせて指導したりするなど、範囲や程度も大きく、採点過程で発覚した点も踏まえて重大な犯行である。本件は、司法試験の公正さへの信頼が害された重大な犯行で相当期間の懲役刑を科するのが相当な事案だが、他方で失職など社会的制裁を受けていることなどを考慮すると、執行猶予が相当である。

5 受験者に対する行政処分

 今回のケースで裁判所は、司法試験の問題作成を担当していた法科大学院の教授が、教え子に試験内容を漏えいした場合には、国家公務員法上の守秘義務に違反するとして有罪判決を下しました。
 また、受験者の女子学生については、司法試験法10条により、平成27年の司法試験の受験を禁止し、採点の対象から除外するとともに、5年間の司法試験及び予備試験の受験を禁止するとの行政処分がなされました。国家試験の公正さが保障されることを願ってやみません。
 では、今日はこの辺で、また。


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