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修徳高校パーマ退学事件

こんにちは。

 ブラック校則が話題となることが多いのですが、校則に違反する髪型を見つけ
た教員がハサミで髪の毛を切るという実力行使が傷害罪に当たるという見解もあります。

 校則をめぐる法律問題を考える上で、今日は「修徳高校パーマ退学事件」(最判平成8年7月18日裁判所ウェブサイト)を紹介したいと思います。

1 どんな事件だったのか

 私立の修徳高校女子部に通う生徒は、高3の夏にバイクの免許を取得していました。しかし、修徳高校では、生徒指導に関する校則で、アルバイトの原則禁止、パーマの禁止、自動車などの免許の無届けの取得は、理由を問わず退学勧告をすると定められていました。あるとき女子生徒の免許取得が高校側に発覚し、罰として早朝登校が命じられましたが、退学勧告はされていませんでした。早朝登校処分を受けていた10月に女子生徒はパーマをかけて登校してきたのですが、そのことが1月の末に問題となり、高校から自主退学をするよう勧告されました。卒業式まで後10日というところで、退学届が受理されることになったのです。
 そのため女子生徒は、退学届を取り下げ、自主退学処分が違法であるとして、修徳高校に対して卒業認定をすることと500万円の損害賠償を求めて提訴しました。

2 女子生徒側の主張

 髪型は美的価値意識と切り離せない人格の象徴として人格権と直結する自己決定権で、運転免許取得も広い意味で自己決定権です。憲法13条には「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と書いてあるので、それを無視しした校則は無効です。また、自主退学勧告の手続では、弁解する機会を与えられていなかったので、違法な手続だと言えます。

3 修徳高校側の主張

 我が校では運転免許の取得について、交通事故から生徒の生命や身体を守り、非行化を防止し、勉学に専念する時間を確保するために、学校に届け出た場合のみ、教習の受講と免許の取得を認めていることにしている。パーマをかけることを禁止しているのも、高校生にふさわしい髪型を維持し、非行を防止するためである。これらの校則は何ら違法なものではなく、また山田教諭が大石教諭の許可を得て、女子生徒に対して命じた早朝登校も違法なみせしめ的な作業罰ではない。そもそも女子生徒は教諭らに侮辱的な発言を繰り返したり、校則違反以前から問題行動を繰り返していたのだ。だから、自主退学勧告は違法なものではない。

4 最高裁判所の判決

 修徳学園高校女子部の、普通自動車運転免許の取得を制限し、パーマをかけることを禁止する旨の校則が憲法13条、21条、22条、26条に違反すると主張するが、憲法上のいわゆる自由権的基本権の保障規定は、国又は公共団体と個人との関係を規律するものであって、私人相互間の関係について当然に適用ないし類推適用されるものでない。
 したがって、私立学校である修徳高校の校則について、それが直接憲法の基本権保障規定に違反するかどうかを論ずる余地はない。
 パーマをかけることを禁止しているのも、高校生にふさわしい髪型を維持し、非行を防止するためである、というのであるから、校則は社会通念上不合理なものとはいえず、生徒に対してその遵守を求める校則は、民法1条、90条に違反するものではない。自主退学勧告にも違法な点があるとはいえない。
 よって、女子生徒の請求を棄却する。

5 校則に同意して入学した?

 今回のケースで裁判所は、女子生徒が入学の際に校則を承知して入学していたにもかかわらず、パーマを禁止する校則に違反した場合には、たとえ退学勧告処分をされたとしても、その校則が社会通念上不合理なものでなければ学校側の処分が妥当なものであるとしました。
 私立高校は義務教育ではなく、入学する自由、入学しない自由があるために、校則を理解した上で入学した以上、バイク禁止やパーマ禁止の校則が公序良俗に反しない限り有効となると考えられていますので、校則をしっかりと理解しておくことが重要でしょうね。

では、今日はこの辺で、また。


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