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ミートホープ挽肉偽装事件

こんにちは。

 昔、マクドナルドの肉にミミズ肉が使われているというのではないかとの都市伝説がありましたが、このことをマクドナルド公式youtubeチャンネルでは、きっぱりと否定されていますね。しかも、牛肉が100%使用されているとのことです。

 さて今日は、挽肉の偽装が問題となった「ミートホープ挽肉偽装事件」(札幌地判平成20年3月19日裁判所ウェブサイト)を紹介したいと思います。

1 どんな事件だったのか

 ミートホープ株式会社の代表取締役の田中稔は、不正の目的をもって、牛肉に豚肉、鶏肉、羊肉または鴨肉などを加えて製造した挽肉を牛肉のみを原料とする挽肉であるかのように表記し、さらに商品の品質及び内容について誤認させるような表示をして、スーパーに発送して不正競争を行ったり、販売代金をだまし取ったとして逮捕、起訴されました。

2 検察側の主張

 被告人は、牛肉以外に、豚肉や鶏肉を混ぜているだけでなく、羊肉や廃棄予定だった肉、鳥インフルエンザの影響で価格が暴落した中国産鴨肉、牛や豚の心臓などの臓器、色をごまかすために牛の血、パンの切れ端などを混ぜた挽肉を販売していた。またオーストラリア産のものを北海道産と表示したり、ブラジル産の鶏肉を国産と偽るなどの産地偽装を行っていた。さらには溜めた雨水をそのまま肉の解凍に使用し、冷凍食品の賞味期限改ざん、消費期限切れの肉やクレーム品として返品された肉を引き取って再出荷し、サルモネラ菌の検出されたソーセージをデータを改ざんして使用するなど、もはや偽装の域を超えているものである。よって、このような挽肉を取引業者に渡すことは不正競争防止法違反であり、取引業者に事情を伝えずに代金の支払いを受けることは詐欺罪にあたります。

3 被告人の主張

 肉の加工の際に、焼き肉用にできない端材が多くでていたため、くず肉などと呼ばれるこれらの端材を処理しかねていたところ、見た目だけでは何の挽肉かわからないと考えて、牛肉以外の畜肉を混ぜました。しかし、これは安価でおいしい製品を工夫して供給しようという考えからで、暴利を得ようとか、不正な利益で会社を維持していこうなどとは考えていなかった。

4 札幌地方裁判所の判決

 今回の各犯行は、会社ぐるみで敢行された大規模かつ組織的犯行であるところ、代表取締役である被告人が、長年の経験により培った専門的知識を悪
用し、率先して偽装方法を発案し、従業員に具体的に指示するなど、自らが中心となって主導したものである。
 さらに、被告人は、新聞報道により犯行が発覚した後、偽装に使用していた豚の心臓等を工場外に運び出して処分し、罪証隠滅を図るなどしており、犯行後の情状も芳しくない。
 被告人は、食品の製造・加工に携わる者として食の安全に関する規範意識が強く求められる立場にありながら、今回の各犯行を行っていたばかりか、当公判廷において、取引業者の要望を断り難かった、工場間取引には表示義務がなかったなどと述べており、自らの行為、その結果や及ぼした社会的影響を真摯に省みて悔悟する姿勢はあまりみられず、罪障感に乏しいと指摘されてもやむを得ない。
 以上からすれば、被告人の刑事責任は相当重い。よって、被告人を懲役4年に処する。

5 内部告発から始まった事件

 今回のケースで裁判所は、牛肉のみを原材料とするかのような表示をし、他の肉を加えた挽肉を取引業者に引き渡したことが、不正競争防止法違反及び詐欺罪に当たるとしました。
 ミートホープの社員だった赤羽さんは、子どもたちの給食に偽装肉が使われていたことから、田中社長の不正をやめさせようと奮闘したことが話題となりました。
 同時期に食品偽装が次々と明るみなった時代があったことを知ってもらえれば幸いです。

では、今日はこの辺で、また。


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