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 こんにちは。

「財前教授の総回診です」(唐沢寿明バージョン)でおなじみの山崎豊子『白い巨塔』では、医局制度の問題点、教授ポストの熾烈な争い、患者との向き合い方などについて描かれていました。

 これに対して、最高裁判所の内幕を明かした瀬木比呂志『黒い巨塔』という作品もあります。白衣を着る医者と黒の法服を着る裁判官が対比されているのでしょう。

 フィクション作品ですが、著書の中では原発訴訟をめぐって、電力会社に有利な判決を下すために最高裁判所の長官が権力を行使する様子が描かれています。

 実際に最高裁が人事権を使って、すべての裁判官の判断を統制しようとすることがあるのでしょうか。前提として、そもそも裁判官には、強い身分保障が与えられています。

【憲法76条3項】
すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

【憲法78条】
裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。

 原発訴訟に関して、2015年4月、福井地方裁判所の樋口英明裁判長(64歳)は、「新規制基準は緩やかすぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されない」として、原発の運転差し止めの仮処分を認めました。その後、樋口裁判官は名古屋家裁に赴任して定年を迎えることになります。

 また、裁判官の再任拒否という問題も指摘されています。

【憲法80条1項】
下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。

 2005年に、横浜地方裁判所の井上薫判事は、判決文が短すぎるとして問題となり、最高裁の下級裁判所裁判官氏名諮問委員会が再任について「不適当」と答申したことがありました。

その後、井上判事は、再任願いを取り下げて退官することになりました。

 これらの事例から、最高裁による人事権を通じた統制ではないのかという意見がありますが、実際のところはわかりません。

 最後に、『黒い巨塔』の中では大学教員がちょいちょいディスられています。 

教授たちの中のつまらない連中の、あの、もったいぶった、自分こそ何でも一番よくわかってて正しいんだといわんばかりの態度。中立、客観性を装い、傍観者を決め込んで、2つの意見があると、常に、いずれもいかがなものかと思います、みたいなことを言ってくさし、その真ん中あたりのどっちつかずの意見を述べるんだけど、実は、一貫した思想や行動原則なんてものは、どこにもありゃしない。要するに、自分は先験的にえらい、ただしい、たてまつられるべきだ、って言いたいだけのことなのさ。(317頁)

反省します。

では、今日はこの辺で。また。


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