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こんにちは。

 アカデミー賞の授賞式で、ウィルスミスさんが披露したビンタの様子が、パロディ商品として販売されていたり、魔貫光殺炮の形をしたパンが販売されていることにビックリしましたね。

 さて、今日はPUMAのパロディ商品が問題となった「KUMA事件」(知財高判平成25年6月27日裁判所ウェブサイト)を紹介したいと思います。


1 どんな事件だったのか

 北海道デザイン株式会社は、KUMAというPUMAのパロディ商標を特許庁に出願して、登録を受けました。これに対して、プーマエスイーは、無効審判を請求し、特許庁は無効審決を下したことから、北海道デザインは審決取消訴訟を提起しました。

2 北海道デザインの主張

 PUMAとKUMAの商標は明らかに違う。PUMAはサッカー市場ではある程度知名度があるものの、それ以外のスポーツではそれほど知名度があるわけではない。我々はスポーツとは関係の無い北海道の土産物雑貨という市場でのみ商標を使用し、熊はそのキャラクター自体が北海道ならではのものである。また、PUMAと混同して購入してしまったというクレームは一度も受けていない。

3 プーマの主張

 PUMAとKUMAは類似している。商標がいったん登録された場合には、自由に譲渡されたり使用権が設定されたりするものなので、商標権者が変われば将来、土産物以外の日用品にKUMAが使用される可能性もある。ただでさえ、Tシャツは需要者が共通しているじゃないか。

4 知的財産高等裁判所の判決

KUMAの商標とPUMAの商標とを対比すると、両者は、4個の欧文字が横書きで大きく顕著に表されている点、その右肩上方に、熊とピューマとで動物の種類は異なるものの、四足動物が前肢を左方に突き出し欧文字部分に向かっている様子を側面からシルエット風に描かれた図形を配した点において共通する。両者の4個の欧文字部分は、第1文字が『K』と『P』と相違するのみで、他の文字の配列構成を共通にする。
 北海道デザインは、両商標の4個の欧文字の書体は文字線の太さや隣接する文字と文字との間隔において構成を異にすると主張するが、各文字を子細にみれば、文字の縦線間の隙間の幅が若干異なる等の差異があるとしても、かかる差異は看者の印象・記憶に影響を及ぼす程のものではなく、共通点を凌駕するものではない。以上、共通する構成から生じる共通の印象から、KUMA商標とPUMA商標とは、全体として離隔的に観察した場合には、看者に外観上酷似した印象を与えるものといえる。 
 これらの事情を総合すると、KUMA商標をその指定商品について使用する場合には、これに接する取引者、需要者は、顕著に表された独特な欧文字4字と熊のシルエット風図形との組合せ部分に着目し、周知著名となっているPUMA商標を連想、想起して、当該商品がプーマ又はプーマと経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるといえる。
 よって、北海道デザインの請求を棄却する。

5 SHI-SAは似ていない

 今回のケースで裁判所は、PUMAとKUMAは外観上酷似しており、両者を混同する恐れがあるとして、KUMAの商標登録は無効であるとしました。
 しかし、沖縄のお土産Tシャツ「SHI-SA」というパロディ商品は、PUMAに類似しておらず、混同のおそれがないとされたものもありますので、パロディ商品を作成する際には、専門家に問い合わせることが重要でしょうね。

 では、今日はこの辺で、また。


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