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こんにちは。

 いきなり、DAO(Decentralized Autonomous Organization)というのは「分散型自律組織」だと言われても、パニックに陥ると思いますが、簡単に説明すると、ブロックチェーン上で世界中の人々が協力して管理運営する組織だと思ってください。
 ここでもブロックチェーンという難解な用語が出てきましたが、これは分散型台帳システムのことで、すべての参加者に同じデータや取引情報を分散保持させる仕組みのことです。

  DAOの世界の特徴として、管理者を置く必要がなくなり、自分たちで運営方法を決めることができます。つまり、会社と違って組織への参加や脱退が自由になり、管理者の許可も不要となるのです。DAOに参加するには、ガバナンストークンと呼ばれる電子的な証明書をお金を出して購入することで、組織の方針についてトークンで投票することが可能となっています。
 また、投票で賛成が過半数を超えるとスマートコントラクトによって、その決定内容が実行されます。スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上に設定されたルールのことで、わかりやすく例えると、自動販売機にお金を入れるとジュースが出てくるように、プログラミングで条件を設定しておいて、それを満たせば実行されるというように、契約を自動化させておく仕組みのことです。会社のように、組織のトップが契約書の内容をチェックするという作業がいらないことになります。
 DAOのメリットとして、管理者がいないので各種の手続きが早くなるだけでなく、取引の記録がすべてブロックチェーン上に記録され、改ざんができないということをあげることができます。
 しかし、現段階においてDAOに関する法整備が追い付いていないので、DAOの中で起きた損失について、誰が責任を負うのかについて決まりがないという弱点もあります。

 実際に、「THE DAO事件」(S. Falkon, The Story of the DAO. Its History and Consequences)で大きな損失が出たことが話題となりました。

 2016年、THE DAOと呼ばれる自律分散型組織に対して、利用者が資金移動システムの欠陥を発見し、7000万ドル相当のイーサリアムを盗みだしました。ここ注目すべきは、プログラマーが、資金移動のコードの欠陥を発見して、ハッキングをしたというよりも、コードを書き換えて横領したような形になっていました。このような事態に直面したTHE DAOの参加者は「コードとは法である」という原則が妥当であるかどうかについて討論を行い、抜け道をふさぐためにコードを変更すべきかの投票を行い、投票結果は賛成となり、資金が返還されました。その後、THE DAOプロジェクトは崩壊することになりますが、安全なブロックチェーンプラットフォームを確立するために貴重な教訓となったといえるでしょうね。

では、今日はこの辺で、また。


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