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ナイロビモジュール2日目・3日目 - レクチャーシリーズ -

こんにちは、Kamackです。

全然時間がなく、更新できていなくてすみません。IESE Business Schoolの短期モジュールであるナイロビモジュール、2日目と3日目に関して投稿をさせていただきます。

前回までの投稿はこちら。

この週は基本的には毎日Strathmore Business School (SBS)に行き、授業でした。レクチャーの中から印象に残った内容を紹介したいと思います。


アフリカマクロ経済

アフリカには、ものすごい乱暴に言うと、経済発展が著しい国、貧困に喘いでいる国、その中間にあたる国の3つのグループがあります。

また、そのグループ内でも、資源に依存している国と、経済を多角化できている(輸出が資源に偏っていない)二種類の国があります。なので、合計するとざっくりですが6つのグループですね。

経済状況が良く、多角化できている代表国が南アフリカです。また、経済状況が良いが資源の依存が高い国がナイジェリア。

ケニアは経済的には中間グループの上位に位置し、また経済を多角化ができている国です。

多角化、という観点では、ケニアは農業系の輸出が多く、紅茶やコーヒー、花などの輸出が盛んなほか、他にも様々な産業で成り立っている事が下記で分かると思います。

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個人的には、花の輸出が11%を占めていることに驚きました。これはヨーロッパ(特にオランダ向け)の輸出で、空輸でも十分に利益が出るらしいです。後日、実際に花を作っている大規模農園(というか工場)を訪問する機会があり、別途詳細を書きたいと思います。


かたや、ナイジェリアはこんな感じで、原油と天然ガスで90%を占めています。

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経済的には豊かなグループに入るナイジェリアも、資源価格に非常に左右されやすいという側面があるという事が上記から分かります。

このあたりの感覚を何せ何も知らないままケニアに学びに来ているので、非常に勉強になりました。

授業では例えばエチオピアの近年の高い経済成長に加えて、他の国に関しても取り上げられていましたが、長くなるので今回は割愛させていただきます。


オープンマーケット訪問

ケニアにはいわゆるスーパーマーケット以外にも、中所得者向けのオープンマーケットといううマーケットがあります。ここでは、モノに値札が付いていないことが多く、価格交渉などが発生するため、実際のマーケットで買い物をしてそのあたりを体感してみようではないか、という事で大量の学生がマーケットに繰り出し、モノを買うという体験をしました。

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天気が悪く、突然のどしゃぶり、そして価格調査を色々なお店でしていると、マーケットを牛耳っていると思われている年配の女性から、「あんたたちこんなところでなにやってんの」と怒られます。学校のプロジェクトでリサーチをしていると説明をしても聞き入れてもらえず。多分、怪しい東洋人に見られたのだと思います。

幸いにしてビジネススクール(SBS)の方が助けてくれて大丈夫でしたが、やはりここは今まで住んできた国とは別の国、気を付けなければならないと思いました。

なお、バナナは1本10シリング=10円で買え、このような果物は交渉の余地が無く価格固定でした。意外な発見。また、ショップの人は非常にフレンドリーで聞いていないことも含め色々と教えてくれました。


Negotiation

アフリカの人は交渉事に慣れており、以前もまさにSBSから来た人たちとNegotiationの授業で議論をし、非常にタフで非常に難しいと感じる機会がありました。

今回もSBSのExecutive MBAで勉強している人たちとネゴをする機会があり、まさにこのタフさを再び経験する良い機会になりました。

ただ、前回バルセロナで実施したネゴとの違いは個人戦ではなくチーム戦であり、我らがアジアチームには交渉が得意な中東のクラスメートが2名含まれていたため、はっきり言って中東チームというくらいには中東主導の交渉術でした。

やっている事は結局のところ価格交渉であり、自分に有利となる条件を説明、もしくはでっち上げ、価格を自分たちの有利になるように上げる(下げる)という事を繰り返します。

日本人は透明性やロジックを強く求める傾向があるため、ロジックが無い、もしくは弱い価格の提示や価格の改定をされると動揺してしまうのですが、彼ら(アフリカ)にとってはそれは普通の事であり、お互い少しずつ歩み寄って価格を決定するプロセスにこそ正義があると見ているような感覚があるような気がします。

こちらにも交渉力が非常に強い中東メンバーがいたため、結果として交渉成立、価格も妥当なところに落ち着いたけど、最初のお互いの価格提示があまりにも乖離していて笑いました(ざっくり、買い手が$80、売り手が$56くらいの乖離、成立値が$64)。

日本の人達は交渉ごとに慣れていないから、搾取されている面があるんだろうなぁとこういう事があるたびに思います。


デジタルマーケティング

アフリカ、ケニアのデジタルマーケティング事情というのは、欧米の基準からすると相当に異なります。

まず、マーケティングツールとしてSMS(SNS: ソーシャルネットワーキングサービスではなく、日本では存在も忘れかかっているShort Message Service)を使い、プロモーションやクーポン発行をやるそうです。

以前下記のCurrent Topics in Marketingに書いたような最近流行のマーケティング手法などは全然出てきません。

もっと言うとオンラインで物を買う習慣もまだほとんど浸透していないようです。下記記事を見ると、アフリカのオンラインで物を買う人の割合はわずか5%とのこと(ヨーロッパでは60%-80%)。アフリカ版AmazonであるJUMIAもIPO以降、株価が低迷しているようです。

アフリカでオンラインでの注文が流行らない理由は複数ありそうで、一つが信用構造。お金を前払いしたら届かない、というのが人々の認識としてある気がしています。さらにもっと根本的な問題としては住所。多分不定の割合がナイロビでも恐らくは50%以上いるんじゃないですかね。あとで東アフリカ最大のスラムであるキベラ訪問についても書くのですが、そもそもナイロビでこのキベラスラムに住んでいる人が人口の半数であることからも何となく想像が付きます。

という事で、せっかく2週目のプロジェクトで使おうと思って調べてきた最新のマーケティング手法は恐らくアフリカではToo early to useであることが分かった次第です。残念。

日本は欧米から5年遅れてマーケティング手法を追従している(例えばオムニチャネルの日本での流行は米国から5年-7年くらいあと)という内容を以前どこかで見かけたのですが、アフリカでは15年くらい遅れるのではないかと見ています。追従すらしない独自の進化を果たす可能性も十分ありますしね。M-Pesa(電子マネー)のように。


ケニアにおける農業ビジネス

先ほど少し触れた通り、ケニアでは輸出の約半分を農産物が占めており、非常に大きな産業となっています。授業では花の栽培に関してケースで取り上げ、どのように花を生産し、オペレーションを回しているかというあたりを勉強しました。具体的には少し古いハーバードビジネススクールの2007年のケースである、"Vegpro Group: Growing in Harmony"をベースに生産からロジまでを学びます。

個人的に非常に興味深かったのが、アフリカからヨーロッパまでの空輸がそこまでめちゃくちゃ高くないという事。輸送コストが2007年当時にはなりますが、$1.8/kgという感じです。バラの花は1本約25g(自分調べ)ですが、花を保護する段ボールやらなんやらで、50gになったと仮定。それでも1kgだと20本くらいになると考えると、1本あたりの負担は10セントくらいなもんで、非常に安いです。あとは、花の鮮度を保つために、一度低温にして輸送するといった施設が必要ですが、それを加えた上でも安い人件費による効果で感覚的にこのビジネスが成り立つという気がしました。なお、インドからの輸送は$1/kgで住むとケースには記述があるため、農業の観点でもインドはアフリカのライバルなのかもしれません。

Vegproはいわゆるパック野菜も作って売っており、これは欧州で特に冬に野菜が収穫できない場所が多い事を逆手に取った非常に良いニーズの吸収ですね。

あと、もう一つこのケースで面白いなと思ったのが"Food Miles"の概念です。日本人には全くなじみが無いのですが、いや最近は少しグレタさんによってなじみが出てきたかもですが、飛行機による環境破壊というのが一つ気になるトピックとなっており、その延長で”Food Miles"という概念がでてきました。すなわち、遠いところで生産された食料は飛行機などで輸送する必要があるため、環境負荷が高い、という批判があります。なので、なるべく"Food Miles"が小さい食べ物を消費しようという考えの人がいるようです。

ただし、この考えは短絡的であるという反論があり、例えばオランダで作った花はケニアで作った花と比較して生産に5倍以上のCO2を排出しており、"Food Miles"だけで測るのはフェアではないという主張がケースには書かれています。このあたり、非常に面白いなと思って読んでいました。

日本ではまだトレンドとしてこの"Food Miles"の概念や環境負荷、もっと言うと"Fair Trade"(工場勤務者の適切な勤務時間や児童労働禁止など)というのがあまり浸透していませんが、欧州のトレンドがいずれ日本に来るという事を考えると今後10年で考えが浸透する可能性はある、すなわちビジネスチャンスもあるのではないかと思いました。

・・・だいぶ話がそれてしまってすみません。

ちなみに、このケースが終わったあと、この日はケニア郊外にある茶畑と工場を見学させていただきました。

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あまりに気持ちが良く、また自分の出身地である北海道を思い起こさせる風景に、北海道に帰りたくなりました。


まとめ

ナイロビモジュールの1週目は全5.5日間(土曜日半日含)あり、その中の最初の3日に関して書かせていただきました。4日目に東アフリカ最大のスラム・キベラ訪問があり、こちらについても書きたいのですが今日は時間が無かったのでまた次回に持ち越させていただきます。

今週末は明日から3連休のため、今週中には書けると思っています。

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