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ナイロビモジュール4・5日目 - 東アフリカ最大のスラム・キベラ訪問 -

どうも、Kamackです。

IESE Business Schoolの短期モジュールで来ているナイロビモジュール4・5日目をお届けします。この2日の最大の収穫としては、タイトルにもある通り、キベラスラム訪問ですね。という事で、早速書いてみます。前回までの記事は以下です。


キベラスラム訪問

4日目の朝、初っ端の授業はナイロビにある東アフリカ最大のスラム、キベラ訪問でした。リオデジャネイロ訪問時にもファベーラというスラムを訪問しようと思えばできたのですが、ツアーであっても何が起こるか分からないという事で結局訪問せず。ただ今回のナイロビモジュールは学校が主催で、警備もしっかりしたものが付く、という事で訪問したのでした。

今回ビジットするのは、キベラタウンセンターという住民により良い生活を提供するための施設と、スラム内にある中学校を訪問しました。

学校からバスで10分もたたないうちにキベラエリア入口について、そこからキベラタウンセンターへ移動します。バスから見える風景が一気に変わったので、ちょっと心配に。


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キベラタウンセンターまで行くと、街並みは少し落ち着きます。

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スラムと言っても、その中で経済が成り立つように食料品、衣服といった生活必需品は全て手に入るようになっており、また以前紹介した電子マネーのM-Pesaもそこらじゅうでチャージできるようになっていました。


キベラタウンセンターに到着後、センターの中をビジットさせてもらいました。中には、キベラの住民がお金を払って使用できる洗濯機であったり、シャワー、さらには巨大な浄水器があり、水を買う事ができるようでした。

ご参考までに、下記、左に並んでいるドラゴンボールに出てきそうなオレンジ色のものがシャワー室です。

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それ以外にも、会議やパーティができるようなスペース、パソコン室、さらには音楽を録音、編集できるスタジオがあります。

実際にこのスタジオからデビューした人にも会ってきました。コンクールのようなものがあり、それに応募してパスし、スタジオを使わせてもらっているそうです。

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曲は下のYoutube参照。

キベラタウンセンターがこのコミュニティへ提供している価値というものが非常に大きいと思った一方で、このレベルの施設を利用できている人というのがキベラの中でも比較的裕福な方々であるというのもまた事実だと思いした。

ただ、特に安全な水へのアクセスという観点では本当に重要な役割をこのキベラタウンセンターは果たしており、このような活動を増やしていく、支援していくという事がキベラの方々が安全に生きる上では本当に重要であるという事が分かりました。ご興味ある方は、英語ではありますが下記のサイトやtwitterも見てみてください。


その後訪問したのが、この中学校。

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学校というにはぼろっぼろの外見ですが、中に入ると、意外と普通な感じなんです。

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ここでは、何人かの学生と話す機会をもらったので、自分は日本の文化に関して説明したり、将来どんなことをやりたいかについて話したりといった情報交換をしました。

ジャーナリストになりたい、という人が何人かいて、ケニアの現状を世界に伝えたいという人が多いんだなと感心させられました。自分は中学、高校の時にどんな仕事をやりたいかなんて考えたことが無かったなぁと。

自分も決して裕福な家に生まれたわけではなく、中学校、高校と北海道の片田舎にある公立高校を出て、勉強をして今があるので、勉強がいかに重要か、という事を自分なりに伝えました。38歳になった今でもビジネススクールで勉強していますしね。

余談ですが、一人の学生が、目を輝かせて、

「日本にはまだ忍者はいるの?」

と聞いてきました。

私は彼の夢をつぶさないように慎重に言葉を選んでこう答えました。

「忍者は、まだ日本が戦国時代だった時に、諜報活動や暗殺をするためにたくさん雇われていたんだ。今の日本は本当に平和になったのでそういう仕事は必要が亡くなったので、今の忍者は別の仕事をしているんだよ。」

うん、間違えていないはず。そう答えると、学生は

「そうなんだーまだ忍者は日本にいるんだね!」

と喜んでいたので、私は黙って頷くのみでした。

他にも、「侍と忍者の違いは何?」とか、結構面白い質問をもらったりもしました。

そんなこんなで3時間にわたる東アフリカ最大のスラム、キベラの訪問は終わりました。

帰りのバスでストらスモールビジネススクール(SBS)に戻っている途中、バスに乗っている西洋人とアジア人が物珍しいのか、見知らぬ子どもたちが笑顔でバスを追いかけて走ってきます。

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スラムと言っても、一通りの物品が手に入り、学校があり、人々はその中の経済で普通に生きているという事すら私は訪問するまで知りませんでした。大学で開発学の一つでも勉強すべきだったと恥じる一方で、38歳でも新しい事を経験し、学び、刺激を受けて行動できるようになるという事がMBA留学の大きな学びの一つであると改めて思った次第です。


マイクロファイナンス

ケニアの80%の人が銀行口座を開けないことにより、M-Pesaのような電子マネーが開かれたと同じような概念で、銀行のローンやカードローンが使えないのと同じ理由でマイクロファイナンスという概念がアフリカで発達しました。

マイクロファイナンスをざっくりと私の理解で言うと、江戸時代の5人組のような連帯責任制でお金を借り、返却は連帯保証させるという仕組みで、日本の連帯保証人を複数人で分散させたイメージです。

最近は、日本で最近流行してきているクラウドファンディングのようなモデルで資金の使途を明確にし公表した上で資金調達をするという形も出てきており、そのプラットフォームの一つに授業で扱ったケースのKIVAというプラットフォームがあります。

ただ、今はどうなのかはわかりませんが、以前はKIVAでの資金調達で資金の使途の透明性が問題になっていたことがあります。すなわち、必要以上にお金を調達して、本来宣言していたとは別の使途でお金を使うという問題ですね。KIVAの貸し手は社会貢献目的で利益を求めているわけではなく、それが安い金利で借りられると悪用されてしまうと確かにたまったものではないので、透明性というのは非常に重要です。

かなり昔のケースで、10年経った今でもこのプラットフォームがあるという事はもうしっかり改善されている可能性の方が高いですね。


観光業

アフリカ諸国において、観光業というのは外貨を手に入れる非常に大きな手段の一つです。特に、サファリという大きな観光資源がアフリカにはあるので、これを有効活用するというのがアフリカの経済活性化の一つの手段です。

ケースで学んだのはまさにこの例で、"Windhoek Nature Reserve: Financing a Sustainable Conservation Model in Namibia"というハーバードのケースをベースにディスカッションしました。

ポイントはアフリカ特有のリスクをどう管理するか。単に経済的なリスクだけではなく、法律面でのリスク、政治的なリスク、そして近隣国のリスクなどリスクは多岐に渡ります。

ただ、この手の観光業というのはタイトルにもある通り自然保護の観点でも生態系維持に役立つという観点で有効なので、ケースが書かれて15年経ちますが、このようなホテル建設は増えているのではなかろうかと思います。


アフリカのPrivate Equity / 投資機会

すみません、こんな面白い授業もあったのですが、授業の内容はまだ自分の中で咀嚼できておらず、詳細はまた別の機会に紹介させてください。

多分今やっているVenture Capital / Private Equityの授業が終わった後に改めて資料を読むとマシな事が書けるようになっているはず、と願って。。


Executive MBAとのテーマ別情報交換会

1週間通っているSBSのExecutive MBAと交流する機会の一つで、テーマ別にその分野のプロフェッショナルの人たちが集まって、IESEの学生と情報交換する機会をもらいます。

マーケティングやエネルギー、ヘルスケアといったようなテーマがある中、自分は専門分野のITを選択しました。

ケニアのITってどれくらいのものなんだろうと疑問に思っていたのですが、MBAでGeneralなITの知識しかない人たちなんかよりはよっぽど詳しい。

あとから知った事ですが、アフリカは次なる産業としてITに力を入れてきており、今後の伸びが期待できるようです。

教育を英語でやってきているというのはケニアの非常に大きな利点ですね。ITを学ぶ上で英語で学べて問題解決できてしまうというのは日本人比較で言うとかなり効率がいいです。

ただ、以前も書いたように、高等教育を受けている人数が3%とまだまだ圧倒的に低いため、これから教育が改善されていくとさらに良くなっていくように思いました。


ケニアのスタートアップ

欧米でのソーシャルビジネスの波に乗るように、アフリカでもソーシャルビジネスの観点でアフリカ発のスタートアップが流行の兆しを見せてきています。ソーシャルビジネスを聞いたことが無い方はこちらへ。

米国のクラウドファンディング、KickstarterでもAfricaで検索すると、米国でデザインし、アフリカで製造しているプロジェクトであったり、そもそもアフリカ発のビジネスがたくさん出てきますが、これもソーシャルビジネスの流行を象徴しているように思います。

日本では、MOTHER HOUSEがソーシャルビジネスの走りとして、欧米で流行する前から頑張っていますが、ソーシャルビジネスとしてはまだまだ流行していないですよね。

そんな中、今回はゲストスピーカーとして、ケニア発の靴ブランドEndaの創業者が来てくれました。

Endaはランニング用の高機能シューズで、ケニア初(のはず)のシューズブランドです。Kickstarterで$100,000(約1000万円)の資金調達に成功しています。

ただ、製造は現時点では中国の工場。ケニア内ではまだ製造できる工場が無く、中国を回り歩いて一緒に作ろうと言ってくれた唯一の工場で製造しているとのこと。

今はまだ、デザインも製造もアフリカ、という会社はごく少なく、デザイン、もしくは製造のどちらかがアフリカ、という観点で成功している会社が多いですが、これからアフリカが成熟していく中ではDesign by Africa, Made in Africaが流行すると私は勝手に思っています。これこそが強いアフリカを創っていく第一歩であり、その世界が近い将来来ることを信じています。


アフリカの文化 - Dowry -

アフリカの文化の一つにDowryというものがありますが、ご存知でしょうか。日本で言うと、結納金にあたるのがそれで、結婚する際に娘さんをくださいといって金品を渡す習慣です。日本でもだいぶ廃れはしましたが、まだ残ってはいますよね。私もやりました。

米国の人たちにはこの慣習は強い拒否感があるようで、これに関するケースディスカッションの中で、「金品、特に携帯電話やタブレットを要求するなぞありえない!」といった論調で話は進みます。日本人にとってみると、確かに携帯電話やタブレットを要求されるのは嫌だけど、文化と言えばそんなもんだし、自分も結婚時に結納金を渡しているのでそこまでめちゃくちゃ違和感があるものではない、という感じです。

このあたり、日本や中国、韓国のような慣習にはある程度割り切りがある人と、米国人のように自分たちの正義に反するものに対する拒否感を露骨に示す人達、そしてその中間くらいの欧州人という構造は見ていて面白いときがあります。


収賄 - Corruption -

アフリカでビジネスをする上で一つ大きな障害となるものが、この収賄です。アフリカのビジネス慣習上、避けて通るのが相当に難しい問題であります。

Business Ethicsの授業でも同じケースをやり、クラスを2分する大きな議論になったのですが、全く同じケースをアフリカでもう一度あえてやるあたり、この問題の根深さを感じさせます。また、クラスの議論も依然と同じくまた二分することになります。

この問題の難しいところは、金品を渡すという事が基本的にはNGであり、収賄はNGと単純な事ではないところにあります。

日本で節度のあるお土産を渡す事や、常識の範囲内での飲み会(接待)がビジネス慣習上OK(公務員相手だとNGとか細かい点はありますが。。)である通り、アフリカ内でもその慣習に慣れきっていてどこが問題なの?という感じがあります。要はOK/NGの線引きをどこにするか、という点です。

こうなると、国によって基準が違うので、議論がまとまるわけがありません。結局、上記のようなグレーのもの(これは恐らく収賄ではないレベルのものであるという判断)を決断して実行していくというのが本当に難しく、アフリカ他新興国進出の壁になっている可能性はあるなと思いました。


フラワーファーム訪問

土曜日の朝、花の工場を訪問します。9割の学生はこのフラワーファーム訪問後、直接サファリに向かいます。このサファリも学校主催で、1泊2日(宿泊費は別途支払)のツアーを組んでくれています。私も当然サファリ参加者のため、この日のフラワーファーム訪問はチェックポイント感覚でした。(すみません。。)

フラワーファームは本当に大規模で、ビニールハウスで一面に広がる花畑から花を収穫し、空輸でオランダへと送っていきます。

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まだこれくらいのつぼみから半開きのバラを出荷します。

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実家は元々農家の家庭で、祖母の家で花を作っていたという事もあり、感慨深くフラワーファームを眺めていました。

後で調べたところ、アフリカのバラは日本へも輸出されているようです。


まとめ

長々と書きましたが、ナイロビモジュール一週目はこれにて終了です。この後、この流れでサファリに行き様々な動物を見たのですが、これはまた別の機会に記載させていただきます。

もし何か気になる点などあればコメントもしくは、TwitterへDMなど頂けたらと思います。

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