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IESE Business School 2年生の選択授業紹介(4学期-後編)

前回こちらで紹介した、2年生の選択授業紹介の件で、今週全ての授業が終わったので残りを紹介したいと思います。IESEに2ndラウンドに出される予定の方はぜひ参考にしてみてください。

前回の記事はこちら

今回は、前回残っていた下記の授業を紹介します。

■Corporate Entrepreneurship    個人的な評価 ★★★★☆ 星4つ 
■Current Topics in Marketing    個人的な評価 ★★★★★ 星5つ 
■Internet Enabled Strategies     個人的な評価 ★★★★☆ 星4つ 
■Social Innovation and Social Entrepreneurship
                 個人的な評価 ★★★★☆ 星4つ
■Creative Thinking          個人的な評価 ★★★★★ 星5つ

Corporate Entrepreneurship

個人的な評価 ★★★★☆ 星4つ

私は留学中に色々変な活動をしていますが、あくまで私の留学は社費留学。ということで、会社に持ち帰るものをいくつか宣言して会社を出てきていますが、その一つが社内起業。という事で、この授業はかなり気持ちを入れて受けていました。

なぜか日本人に大人気のコースで、日本人の同級生が初めて10人以上受けていた非常に珍しいコース。他のコースはせいぜい2-3人で、日本人が自分1人だけという事もあったので。

内容は社内起業と言えど、社内政治突破型やトップダウン型といったまぁ日本でもよく見る新規事業開発の形から、日本ではリクルート社がやっているようなボトムアップ型の仕組みから新規事業を作るという形のものまで様々。実際の事例をケースで学びつつ、社内起業にまつわる課題をどのように解決していくか、という感じの授業でした。

教授のStephen Haslettは実際に色々な会社で社内起業をやってきた人で、何度も引退を試みたが失敗しINSEADの教授を経て、今はIESEの教授をやっているという方。さらに日本にも何年か住んでいたので日本の事も良く知っている。それ故に日本の古い慣習を皮肉ってクラスの笑いを取る、いかにもな英国紳士です。
※なお、彼自身が最初に言うように、このような皮肉に関しては全くOffensiveな意図は無く、もしそう感じた人はクラスの後に伝えたら気を付けると言っていました。

この授業は最初は滑り出しは本当に良かったのですが、その後は少しケースの内容が同じに見えてきて中だるみしてしまったと私自身が感じてしまったため星4つにしています。

この授業で一番良かったことは、この機会をフルに活用して、色々な方にインタビューできたことで、事業部の方や研究所の方、スタートアップの方それぞれ全く異なるアプローチで新規事業を起こすという事を勉強でき、将来自分が主導で社内起業というものに取り組む際に参考になる情報は多く得られました。


Current Topics in Marketing

個人的な評価 ★★★★★ 星5つ

こちらは前述のCorporate Entrepreneurshipとは打って変わって、主に自分の今関わっているスタートアップ向けに最近流行しているマーケティング手法を勉強しようと思ったものです。

Digital Commerceとかなり重複があるという事を予想していたのですが、意外にも重複は最初のコンテンツマーケティングくらいで、それ以降は違う流行最先端のマーケティングアプローチを学ぶことができ、予想外に勉強になりました。

教授のIñigo Galloがマーケティングの教授ではIESEでベストではないかと思いました。非常にうまくクラスの議論をオーガナイズし、また生徒側の質問の回答も非常にうまい。特にクラスにマーケティングの専門家がいる事が多いため、うまくその人たちの話を引き出す事にも長けており、満足度が非常に高かったです。また、ゲストスピーカーの質も非常に高く、彼の非常に外交的な性格がこういった繋がりを作るのにも向いているのだと思いました。

一年生の必修のマーケティングでは非常に厳しい事で知られており、議論に参加する事は冷や汗ものだともクラスメートから聞いていましたが、二年生からは丸くなっているようです。


Internet Enabled Strategies

個人的な評価 ★★★★☆ 星4つ 

こちらもCorporate Entrepreneurshipと同様に、会社に持ち帰るものが無いかを探す目的で取ってみた教科でした。AIやビッグデータ、クラウドソーシングの活用という技術の活用に関して、その基礎と応用例をケースベースに学びます。

うん、前職でソフトウェア開発をやっていた身としては、ちょっと基本的すぎたかも。

と思って振り返ってみると、MBAの授業なんてそれぞれその専門分野から見たら非常に基本的な内容をやっているんだよなぁ。でも、それぞれの分野の基本を全て押さえている人間というは実際にはなかなかいなかったりする、という点が価値なわけです。

という事で、この授業は自分が持っている知識の復習と授業への参画という観点で取り組んだのですが、ユーザの観点ではあまりこれらの技術を見たことが無く、ことAIの活用に関する倫理的な観点での難しさ、といった観点での深堀は勉強になりました。

教授のManos Gkeredakisは今年からIESEに来た新任の教授で、授業は正直まだ彼自身手探りでやっていると思ったこともありましたが、言い換えればこれから良くなっていくだけと思いました。


Social Innovation and Social Entrepreneurship

個人的な評価 ★★★★☆ 星4つ

今までで一二を争う非常に癖のある授業と教授。授業自体はすごくいい。だけど、とにかく癖がある。という感じでした。

社会イノベーション、社会起業という言葉は間違いなく流行ってきているのですが、その定義が人によって違うし、それを掲げている会社の中でも取り組みの度合いが違うため、線引きが難しい。なので、結局どう定義するか、どう線引きするかという観点だけで非常に議論が盛り上がり、それだけで1回の授業が終わってしまうような本当に不思議な回もありました。

まぁ、とは言え、ありがちないわゆる新興国支援的な話題に始まり、その支援のやり方によってはむしろ問題が起こるので、どう仕事を作るか、といった内容に映り、果てには環境保護的起業やマフィア撲滅といった活動にまで至る、という感じでした。

ただ、本クラスを受講している生徒が、まぁとにかくそういったことに対する意識が高いというか、世の中を本気で良くしたいと思っている人が多いので、この癖のある教授(Antonino Vaccaro)と馬が合う人が多かったように思います。

私はどうも馬が合わないまま終わってしまったのが非常に残念です。私自身、このようなテーマで物を考える事が最近で、他の生徒と比較して浅かったのでついていけなかった面もあるのかもしれません。


Creative Thinking

個人的な評価 ★★★★★ 星5つ

星5個付けましたが、星4.5くらいの感覚でした。もうあとちょっと良くなる余地がありそう、という観点で。

短期モジュールで、1週間で全て完結する、かつ、課題もない(正確には授業の中で課題が完結する)ので、生徒にとっては非常に負荷が低く、かつ手を動かす機会も用意されているので面白いクラスです。

このコースで学ぶことは、Creative Thinkingのアプローチをケースベースで半分、実際にヒアリングする事から何かを作ってみる、という事半分という感じで、学んだことをすぐに実践してみるという観点では記憶に残りやすく、良かったように思います。

その半面で、かなりタイトなスケジュールで全てのプロセスを実践しようとして見るため、観察が甘かったり、その甘い観察に基づいて作るというものが十分に考慮されたものにはなっていませんでした。また、実際にフィードバックを受けて修正するフィードバックがどうしても浅くなったりと、時間的制約でそれぞれのプロセスがそこまで深いものにはならなかったのが少し残念です。ケース自体は面白いのですが、ケースを排除してレクチャー+実践メインという形の方がよりはっきりと学びが深くなるのではないかなと思いました。

とはいえ、私自身このような形でCreative Thinkingを学んだことは無く、また教授のManuel Sosa(基本はINSEADの教授で、IESEはパートタイムらしい)が非常に熱意をもって教えてくれるので全般満足でした。


おわりに

2回にわたってお伝えしたIESEのTerm 4(2年生の1学期)でしたが、いかがでしたでしょうか。

IESEはTerm 4に5クレジットを取る必要があり、私は何をトチ狂ったか、トータル6クレジット取りました。さらには0.5クレジットの授業を10個+1クレジットの授業(ブラジルプロジェクト)を1個取るという事をやったのですが、0.5クレジットでも課題は1クレジットと大差なかったケースがあり、人の2倍の課題をやっているという感覚になった時があって、かなり忙しい日々を送りました。

が、学びとしては非常にためになるものが多く、自分の興味も良く分かってきたため、Term 5も楽しみです。

なお、Term 5は5クレジット必要なところを、なんと7クレジット取る、というさらにトチ狂った事をしてみたので、どうなるか楽しみです。(ケニアモジュール2クレジット+1クレジットのコースを5つ確保)

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