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教育についての考え方

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トレスの教育に対する方針や考え方に関するnoteをまとめています。
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2019年4月の記事一覧

音読よりも国語力を伸ばす方法。(6min)

小学生の音読という宿題の危険性については以前にnoteしたが、今日は「じゃあ音読の代わりに何をしたらいいの?」というお話。 音読の問題点音読という宿題がなぜ危険かというと、子どもたちが、文章を読む本質を「内容の理解(イメージ化)」ではなく「発声」だと思ってしまうからだった。 もしこれが身についてしまうと、どんな文章もじっくりと味わったり、愉しんだり、内容を吟味したりできなくなってしまう。 そして中高生になったときに、文章を読んでも「自分が理解できているのか、理解できていない

僕が徹底反復させるのをやめた理由。(6min)

子どもたちと一緒に学ぶこの仕事に出会って早10年、どうすれば子どもたちがもっと勉強が得意に、そして好きになるかずっと考えてきた。もちろんそれは現在も進行中。 今回はそんな僕がなぜいま授業で小学生に徹底反復練習をさせていないか、というお話をしようと思う。 徹底的な大量反復練習何を隠そう、数年前までの僕の指導の仕方は「とにかく身につくまで何度も何度も徹底的に反復する」をモットーにしていた。 なぜならうちの教室には、計算すら満足に出来ない、漢字すらまともに読み書きできない子たちが

「授業が分かりにくい」と言われた話。(6min)

ちょっと長くなってしまいますが、子どもたちの思考力や自分の授業のやり方を考える大切な機会になったので、noteしておきます。よければ最後までお付き合い下さい。 人気講師は教えるのが上手い?自慢じゃないが、僕はアルバイト講師として働き始めた当時から、授業の分かりやすさには定評があった(いや自慢だろ)。 子どもたちの顔を見ていれば、そして問題を数問解かせると、どこが分かっていないのか、そしてどう説明すれば分かってもらえるのか、はっきりと道が視えた。 だから問題が解けずに困ってい

教育ということばを使いたくない理由(1min)

「教える」という言葉、実はあまり好きではない。なんだかすごく上からで、一方的で、偉そうな感じがしませんか? この「教」という漢字の成り立ちは『年長者が子どもを鞭で叩いてしつけている形から(※諸説あり)』だと聞いてから、より苦手に思うようになった。 随分前にある人生の先輩から 「若いころから先生と呼ばれている奴にろくな奴はおらん!」 と言われたことがあるが、その意味が少しだけわかるようになってきた。 だから僕の教室では、僕のことは「先生」ではなく「コーチ」と呼んでもらうよ

音読という宿題の危険性について。(3min)

小学校の先生の中で、宿題として「国語の教科書の音読」を出される先生は多い。 何を隠そう、僕自身も2〜3年前までは「音読は子どもの国語(日本語)の力を高めるために必要不可欠だ」と(何の検証もせずに)信じきっていた。 だけどある子どもとの出会いがきっかけとなり、音読について考え、そして「危険だ」と判断するようになった。今日はそんなお話。 ケンジ君の話教室で算数をいっしょに勉強している小2のKくん(ここからは仮名の「ケンジ君」とする)は、学校のテストはほぼぜんぶ100点のいわゆる

子どもができるまで「待つ」ことの大切さ。(2min)

うちの教室には合計7名の講師の先生がいる。みんなそれぞれ個性があり、子どもたちとも楽しく授業をやってくれる素敵な先生たち。 そのうち2名の女性講師は、僕の母くらいの年齢のベテラン講師さん。若いころから学校や家庭教師としてずっと子どもたちを指導してきたそうだ。 この二人もすごくすごく良い先生なんだけど、たった1つだけ気になることがある。 それは子どもが考えているのを「待てない」ことだ。 昨日、ベテラン女性講師と「算数文章題を絵にして解く」という授業をやっていた子どもが、

お家で親が勉強を教えてはいけない3つの理由。(3min)

思えば子ども時代、うちは比較的教育熱心な家庭だった。 学校のテストや宿題でわからないところがあればいつも母が教えてくれていたし、長期休みに出される作文の宿題はいつも叱られながらやっていたし、中学校での定期テスト勉強の進捗も基本的に管理されていたような気がする。 だけど教育に携わり初めて、僕は「お家で保護者が子どもに勉強を教えるのは良くないのでは?」と感じるようになった。 その理由は大きく3つある。 理由1:子どもが先生に質問できなくなる お会いした際に「うちの子なか

教育格差と経済格差はイコールではない。(1min)

世間で教育格差っていうと「塾に通わせる経済力がなく、子どもの学力が低くなり、上位校へ進学させられない」という文脈で使われることが多い。 だけど、僕は教育格差≠経済格差だと思っている。 僕の友人・知人の中にも、一度も塾に行くことなく日本トップクラスの高校や大学に合格した人は少なくない。 じゃあ何が教育格差を生み出しているかというと、 やっぱり僕は保護者の教育意識の高さだと確信している。 そして教育意識と言っても、 「テストで点数が取れればいい。勉強は詰め込んでなんぼ

ながらスマホ育児に思うこと。(2min)

先週の日曜日、打ち合わせで久しぶりにファミレスを利用。 休日のお昼時ということもあり、子どもを連れた家族で賑わっていた。 僕たちの向かいには、お父さんお母さんと子ども3人(おそらく小学生)の家族。隣にはお母さんと小学校低学年の女の子の母子が。 よく考えると、はじめて目にした「ながらスマホ育児」。 すごく異様な光景だった。 5人家族のテーブルでは、注文した料理が届くまでの間、お父さんとお母さんはそれぞれのスマホに没入。小学生の3人はそれぞれのドリンクを無言で、そして虚

算数ドリルって必要なのかな?(1min)

教室に早めに来て、一生懸命に宿題をやっている五年生の男の子。算数ドリルの「平均」をやっていました。 『この子は平均の意味を理解できているのかな?』 そう思ってドリルを覗き込むと、そこには衝撃のヒントが。 「平均は、合計÷個数で求められるよ。」 あれれ、そこを考えるのが平均だよね。 そこを言ったら単なるたし算とわり算の計算問題になっちゃうよね。 子どもたちは頭を使わなくて済んじゃうよね。 思わず写真を撮らせてもらいました。 この子は何のために、わざわざ貴重な遊ぶ