螺鈿

「そういやきょくさんに、見せたい番組があったんだよ」

夫に言われた。

私は基本的にテレビを見ない。夫は割と頻繁に自分の好きな番組があるかどうかを番組表でチェックし、気になるものは録画している。

その番組表チェックの中で、「私が好きそうかも」というものも見つかるらしく。たまにこうして録画しておいてくれるのだ。

今回の番組テーマは「螺鈿」。螺鈿細工と貝ボタンの話だった。


確かに私は螺鈿が好きである。という話を夫にした記憶はあまり無いけど、知っているということはどこかでしたのだろう。

螺鈿。一応、読み方を書くと「らでん」。貝の内側のキラキラといろんな色に見えるあの部分を、漆器等々の表面にはめ込んでいるものである。


美術館とか宝物殿とか、どこかの展示物の中に螺鈿を使っているものが見つかる事がある。その度、他の展示物よりも長い間足を止めて見入ってしまうのが常だった。

とにかく美しいのである。

貝のキラキラ感自体も美しいかもしれないけれども、おそらく私が惹かれているのはデザイン部分。

基本的に貝のキラキラをただドーンと貼り付けているわけではなくて、花や草や、細かい模様部分に貝は使われているのである。模様+貝の細かな色の違いの美しさという所に惹かれているのだと思う。


ただ、自分から「螺鈿のもの展示しているらしい!」と調べて見に行くほど好きなわけではなく。「たまたま見る機会があればじっと見てしまう」くらいの好きさ。正直、日常生活で螺鈿のことを四六時中考えているほどでは無い。


だから今回も夫に言われて「そうだ、私螺鈿好きだったわ」と久しぶりに思い出したのである。

番組はながら見じゃなくて、じっくりしっかり見た。やはり見入ってしまった。


今回の番組が製造工程も映してくれていたというのもあって、自分でも螺鈿細工やりたいなーと思ったものの。ちょっと検索しただけでは、お手軽なキットは見つからなかった。現地に行っての体験教室はちらほら見つかる。どこかでやってみたいなぁ。

螺鈿は「美しい」けれども、「だから欲しい!」にはあまりならなくて。「作ってみたい!」になる辺り、やはり私は作ることが好きなのだろうと思う。

螺鈿のことは頭の隅に置いておいて、やれる機会があったらやろうと思ったのだった。


そういえば、螺鈿系で唯一欲しいのが「腕時計」だったりする。次に腕時計を買う時は、文字盤に貝を使っているものがいいな、とはもう10年くらい思っている。

ただ、今の仕事だと仕事中につけているわけにはいかず。そうなると使うこともほとんど無いので、安くても数万円するお高い時計を買おうという気にはならないのであった。

いつか常に腕時計をつけられる環境になったら、貝の文字盤のものが欲しいな。

それも久しぶりに思い出したこととして書いておく。



ではまた明日。