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かんがえこと-3 9.23

9.18(火)

家から駅までは7分、のはずなのだけれど、気づくと10分以上かかっている。歩くのが遅くなっているのかもしれない。

吉田篤弘「つむじ風食堂と僕」をよむ。三部作に流れている空気はそのままに、月舟町の大人たちがリツ君にやさしく語りかける感じは読者の子供たちへのメッセージのようでもあり。私にとっての吉田篤弘の世界は、〈トロワ〉のサンドイッチだ。


9.19(水)晴

空が高い。少しずつ涼しくなってきた秋の風に、ここちよさを感じながら空を見上げて、どうしよう、と思う。


9.20(木)雨

接客業というと、わかりません、できません、無理です、などいうのはやはりタブーといわれると思うのだけど、でも、無理なものはむり。忙しい忙しくない、混む混まない、に加えて、重い軽い、ていうのがあるなあやはりサービス受注には。

アルバイトの学生君はひとなつっこくて、私はとても話しやすいというか、仲よくしてると思っているけれど、結局それは ”彼が” 誰とでも仲よくうまくやれる人であるということであって、お前自身の何かで引き寄せているわけではないのだよ。私と親しくしてくださる方々におかれましては皆そうだと思う。


9.21(金)雨

文房具の見本市へ行く。かごの鳥が年に数回、外に放たれ羽をのばす日。人間だからちゃんと戻るけど。

やっぱり、文房具は良い。自分でかんがえて、手をうごかして、つくって、書いて。わくわくしかない。いつか文房具がなくなってもこまらなくなってしまったら、人はそういうことをしなくなる。仕事はまあ大変だけど私は店に入ってきた人が「私文房具屋さん大好きなんだよねーー!」とはしゃいでる姿が、すきだ。自分のお店を作れたときには、私は帳場で、PCではなくて、万年筆を持っていたいと思う。

このあいだ店で「これから猫を飼う人に伝えたい10のこと」を猫好きの方へと買っていった取引先の人に、感想をききたかったけれど、混んでいてそういう感じではなかった。


9.22(土)雨→晴

ひるねこBOOKSへ行く。作家さんの個展。作品が生まれるところに1ミリでも交流があったと思うと、とても感慨深い。そして人柄は作品にこんなにもあふれるのかと思う。

そのおだやかさをもらって仕事に向かう。遅番で、土曜だからしずかに、夜はひとりで、よく知ったお客さんと、あーでもないねとヒアリング。こういうの、かけがえのないじかん、にいつかなるのだろうか。


9.23(日)くもり

埼玉で両親と合流し、お墓参り。そのまま高崎まで便乗し、REBEL BOOKSへ。

新刊ていいな、と思う。古本とまたちがう、すんだような、新しい紙のにおい。木の什器の質感も新刊に合っていて。そして、まさに自分が考えていたこと、ほしかった言葉と出会った時の感覚。幸せなため息をつく。

帰りのバスは、渋滞で予定の倍の時間がかかった。遅れているのを感じながら、まだ本を読んでいられる、と思う。高速バスは、良い。夜の高速の車窓をながめるのは飽きない。そのまま夜が明けなくてもいいのにと思う。

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