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自動掃除機

自動掃除機が一通り家をきれいし充電場所に戻っていくのを見て、かわいそうだと思うと同時に可愛げも感じた。ただ自身の仕事をしてすごすごと帰るその姿が、前者は夜9時に駅で歩いているサラリーマンの後ろ姿のような気がしたからで、後者は戻ってゆく光景に無垢差を感じたから。どちらにせよ自動掃除機に命はない。電気で動く機械だから。アニミズム的な目線でそれを見るとかわいそうに思えたり可愛く思えたりする。
 ただ、アニミズム世界の中でリスペクトを持って見ることが大切なような気がする。かわいそうだと思うのは、自動掃除機を我々人間と同一視したからである。一方、可愛いと思ったのは、人間よりも知能の劣る動物であると判断したからである。水族館でペンギンを見て可愛いと思うのと似ている。それを人間として見るのか、それとも他の動物として見るのかで抱く心象はごろっと変わる。リスペクトを持って人と接する人は、自動掃除機に対しても対等な目線を持っているに違いない。

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