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【本の感想】ナナメの夕暮れ  


ナナメの夕暮れ
           著者 若林正恭

最近、『あちこちオードリー』という番組のファンである。(番組自体はだいぶ前からあるのですが)
特に若林さんの名MCぶりといったら、目を見張るものがある。

若林さんは、いつも、ゲストの話を面白がって聞いている。でも、決して上から目線ではなく品がいい。というか視線が優しい。

だから、若林さんの前では、どんなゲストでも、みんな気持ちよさそうに、面白エピソードをスルスルと話すのだ。

ふと思う。
あれ、以前、若林さんって人見知りを自負していなかったっけ。

急に若林さんのことが気になり、図書館で借りて、この本を読んでみた。

若林さんは、ネガティブで、人見知りだった時代の自分について、たっぷり話している。

人見知り
1人好き
飲み会嫌い
自意識過剰気味
生きづらい
恋愛が苦手
自分の内面ばかり気になる。

なんだか誰かさんに似ている。

あんな売れっ子の若林さんが?と思ったが、さすが若林さん。
その頃の気持ちを、とても丁寧に緻密に綴っているのだ。

そして、どうすれば周りの人(例えば相方の春日さん)のように、普通に小さいことなど気にならず、ナチュラルに肯定的に生きられるのか、自分と、とことん向き合い試行、模索を地道に繰り返す。

それは、気になる国を旅してみたり、肯定ノートというノートを作って、自分の好きなことや周りの人のいいところを見つけて書いてみたり。。
きっと、ここには書いていないことも、たくさん試してきたのだろう。

今や、売れっ子で天才に見える若林さんが、こんなに試行錯誤を繰り返していたかと思うと、やはり、この世に出る人は、とことん努力してき人たちなのかもしれない。

この本には、若林さんの名言ならぬ名フレーズもたくさん出てくる。
いくつか紹介したい。

僕は今回の生で、自分がポジティブになれるなんてミラクルはもう無いと諦めている。
ポジティブに憧れて、でも変わらないという挫折を経験しすぎて飽きてしまった。

P159

だけど、どうしても今回の生で世界を肯定してみたかった。

P162

ぼくが子供の頃から、喉から手が出るほど欲しかった"根拠のない自信"とは、"おそらく自分は他人から肯定的に見られているだろう"というイメージのことだったのである。
世界の見え方は、どんな偉人であれ、悪人であれ、思い込みに他ならない。
肝心なのは、"どう思い込むか"である。

P163

名フレーズからもわかるように、若林さんの文才に驚かされた。でも、それ以上に、若林さんの内面の繊細さ、人を見る観察力、自分や他人への探究心、自分の弱さにとことん向き合う勤勉さに胸を打たれる。

自分と向き合ってしまうのは、おそらく否応なしにだったとは思うが。

あとがきで若林さんは、こう振り返っている。

今の俺はなぜ生き辛かったのかハッキリと答えることができる。努力をして結果を出せば自信がつく?確かにそれもあるだろう。しかし、市場の上で出した結果は期間限定のものだ。時間が経てば再び劣等感が顔を出してくる。
傷と向き合ってきた。それだけが今の俺を支える自信だ。

P255

そんな若林さんもいまや結婚され、お子さんもいるお父さんでもある。
すごいなぁ。

番組を見て感じた、MC若林さんの肩の力の抜け具合、ゲストへの優しい眼差しの理由が、この本を読んで少し分かったような気がした。

わたしは若林さんより年上のおばさんなのに、まだ、やや拗れている。

でも、正直、人見知りで面倒くさい自分にも飽きてきたところだ。いい加減。。

1人好きは間違いないのだけれど、本当は、人ともっと仲良く繋がりたいんだよ、という自分の本音を今世で成就させてあげたい。
わたしのために。

そんなポジティブな気持ちにさせてくれる良書です♡







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