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JTCC 2022 富山大会について      No.1 Installation of climbing Line and Set up of Climbing Line/Equipment/Entry into Tree

マスターズチャレンジにおいて今回私なりに考えて、選択して、行動に移したポイントはどのような箇所だったのか反省点を含めてお話したいと思います。

マスターズチャレンジの採点表は公開されルールブックに載っていますのでそちらをご覧ください。ルールブックの最後のページP70~P71に掲載されています。https://www.itcc-isa.com/Portals/0/Docs/ITCC-Rulebook-current.pdf

 入口といいますかスタート地点からすべて審査のチェックになっています。必要な道具はきちんとそろえて順番に取り出して使用できるように準備している必要があります。また一度エリア内に入ってしまったらギアを追加することは出来ませんし、そもそもジャッジに認められたギアしか使用できないようになっています。自分のプランが設計され、そのプランに沿って使用できるギアの順番が決まってその順番通りに収納されている必要があります。なにせあの環境の中で一人でチャレンジするわけですから、緊張しない方がおかしいいですよね。だから緊張しても慌てず焦らずプラン通りにマスターズチャレンジを行えるように準備することが良い結果につながってくるものだと思います。

ヘッドジャッジのスタートの合図で入場した私はまず初めにマスターズのジャッジの皆さんにこのような機会を設けていただいた感謝の気持ちと今回の大会に参加できる条件としてISAの会員ナンバーやISA公認Certified Tree Woker Climber Specialistの登録番号と私の名前を伝えて安全第一で行うことを約束しツリー&サイトインスペクションに進んでいきました。

世界大会のマスターズを過去に5回ほど見ていた私は堂々と行うハイレベルな選手たちの様子を頭に入れて日本国内でも同じようにすることが私の役目ではと考えて同じように慌てずに落ち着いて堂々とインスペクションを行ったつもりです。それがどのようにポイントが稼げるかということについてはVisual Tree Assessmentの欄ですね。
 仕事でもそうだと思うのですが実際の現場でいきなり作業する人はいないと思うんですね。今日の作業は何なのか、周囲の確認やリスクの洗い出し評価そして対策など十分に観察しながら行動に移す。日本の森林環境や林業等の業界で労働災害が減らない原因の一つにはじっくり落ち着いてリスクアセスメントを行わない、リスクマネジメントに移さない移せないそんな環境が多く残っているのではといつも考えています。これについてはまた時間のあるときにお話したいと考えています。

 さて話を戻してツリー&サイトインスペクションを終えた私はスローラインの行動に移していきました。このスローラインが本当に大事でここをものにできるかどうかでこの後の試技に影響が出てきます。
 何が大事かというと「一投目で決めること」と「その一投目でジャッジが指定した一番高い場所にスローラインをセットすること」のこの2つが大きなポイントが得られることになります。
ルールでは一投目のスローラインが決まれば10点ポイントが稼げます。2投目で決めれば8点、3投目で6点、4投目で4点と下がり6投目以降はポイントがもらえないということがルールになっています。また高さ点というものがあり一番高い場所(事前にヘッドジャッジが指定した箇所を選手に伝えます。)に入ると5点ポイントを得ることが出来るのです。つまり1投目で一番高い場所にスローラインを入れると15ポイント稼げることになります。
 選手は緊張しています。その緊張感のなか自分をコントロールして安全に正確に投げる。それがプロであり、お手本となる選手ということになるのです。よくできたルールです。
 今回の私は幸運にも一番高い場所(私がヘッドジャッジにより一番高いと伝えられたと考えていた場所)に1投目で投げ入れることが出来ました。心の中では「よし!!幸先いいぞ!!」と思っていました。しかしこれが後程大きな大きな問題となるとはこの時は思ってもいませんでした。確認しなければいけないというのが今回の私の反省点の1つ目になりますし、もし私が逆の立場で評価をする立場の場合なら同じように公平に一人一人確認するようにしたいと考えています。

 これは幸先が良いぞと考えながらスローラインを想定していた場所に下ろした私はロープに切り替えてSRS+レスキューボトムアンカーシステムをセットしていきます。最近のマスターズチャレンジでの流行りはレスキューボトムアンカーでクライミングする選手が増えているように思います。システムをセットし、緊張してのどが渇いた私は水分補給も行いました。これも世界大会では多くの選手が行っています。世界大会は毎年7月後半から8月上旬に行われることが多く暑い日に行われます。のどがカラカラになりながら試技を行うことはつらく危険で水分補給はとても大事な要素なのです。ここでも一つミスがありました。レスキューボトムアンカーのバックアップをし忘れていたんですね。これは4つの試技を終えてクリーンナップ(ギアの撤収作業)してる時に気が付きました。
 オンロープして各ギアのチェックを行ってエントリーし安全に確実に登り始めました。ときおり樹上でのリスクの評価を行いながらクライミングを続け樹上のエリアに到達しました。ここまでがマスターズチャレンジにおける
リスクアセスメントから樹冠までのエントリーの様子をお伝えしました。

 ここまでのポイントを稼ぐ場面としてまとめてみますと
〇スローラインを何回投げたか?
〇高さ点はどこか?
〇ボーナスポイントとしてスローラインの投げ方やテクニック、スキルはどうか?
〇目視によるリスクの評価について
〇クライミングラインや装備の準備について
〇安全で効率的な装備のセッティング
〇クライミングの方法論として安全で、好ましく、常時安全なエントリ―であるか?
〇登攀についてはスムースで流れるようにエネルギを効果的に使ってクライミングしているかどうか?
という箇所がチェック項目になっています。

次回は各課題の場所についてお話できればと考えています。

それではWith trees with forest with happy and smile!!


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