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5期マネの俺はわからない。
橋本 : お疲れ。
〇〇 : お疲れ様です...
今も尚ときめく日本のアイドル。乃木坂46。
そのメンバーになるのと同じぐらい
とんでもないくらい高い倍率を見事通過し
そして、
その5期生のマネージャーの1人になった俺は
4期のチーフマネである橋本さんのことを
居酒屋の個室へと呼び出し...
...いや、ある意味 呼び出されて?いた。
橋本 : ふふふっ、こうして2人で飲むのなんていつぶりだろうね?研修の最後の日以来かな?
〇〇 : で、ですかね...?
〇〇 : ...あ、いや?研修最後の日 飲んだ時って、3期の与田さん来てませんでした?
〇〇 : 確か 梅澤さんの代理とかなんとかで...
橋本 : あれ?そだっけ?
橋本 : 覚えてないや。もう去年のことだし。
〇〇 : そうですか...
〇〇 : あ、てか 注文なににします?一応、まだ何も頼んでないんですけど...
橋本 : んー、じゃあ とりあえずビールと...料理は山下くん適当に頼んでいいよ?
〇〇 : わかりました。
〇〇 : あー、すみません、注文いいですか?
「はい!ただいま伺います〜!」
「はい。どうぞ。」
〇〇 : 生ビール2つと、塩枝豆、タコとトマトのサラダ、揚げ出し豆腐、もつ煮込み...あと 焼き鳥の盛り合わせを1つずつお願いします。
「はい!...っと、かしこまりました〜!」
「では、お飲み物の方すぐにお持ちしますね〜」
〇〇 : は〜い
橋本 : ん?あれ?山下くんってビール苦手じゃなかったっけ?飲めるようになったの?
〇〇 : はい。ま...飲めるようになったってより 飲めるようにならされたって感じですけどね。
〇〇 : この前 白石さん達から箱でビールいただいたじゃないですか?それぞれ期生分ずつ。
〇〇 : 5期生分のは 基本マネージャー達が持ち帰らなきゃだったので、飲むしかなくて。
橋本 : あー...ははっ、あの時のビールか。あったね、そういえばそんなの。
橋本 : 嫌だったんなら、4期の子達とか 他の期のスタッフさん達にあげればよかったのに。
橋本 : 私も もらえるならもらってあげたし。
〇〇 : や〜...今 思えばそうですよね。
〇〇 : でも、あの時のビールのおかげで今ビール克服できてるので逆によかったですよ。
〇〇 : 多分 ああいう機会がないと 俺 ビール 一生苦手だったかもしれないですし?
橋本 : ふふっ、そっか。よかったね。
「すいません!失礼します〜!」
「お待たせしました〜!生2つと塩枝豆です!」
「では失礼しました〜!」
橋本 : ん、じゃあ 飲み物も来たし...ほら
橋本 : カンパイ
〇〇 : あ、か、乾杯
そうして、カツンと2人でグラスを鳴らす。
それから、橋本さんは
半分以上の量のビールを一気に飲んだ。
橋本 : っはぁ......ん、おいし。
〇〇 : んっ...
〇〇 : 前から思ってましたけど よくそんな量 最初から一気に飲めますよね。
橋本 : うん?あー...うん、まぁね。ま、これくらい最初から飲まないと後から酔えないし。
橋本 : で...
橋本 : 普通に飲んでるけどさ?山下くん。
橋本 : なんか 私に聞きたいことあったんじゃなかったっけ?
〇〇 : っ...!
ちっ...
もうちょい酒で酔わせてから色々聞き出そうと
あえて触れないようにしてたのに...!
この人...
橋本さんは勘か何かが鋭い人だから...!
ただ、もうそっちから言われたら仕方がない。
さっさと本題に入ろう。
〇〇 : ......あの...ですね?
〇〇 : 知ってたんですか?
〇〇 : っていうか...なんで知ってるんですか?
橋本 : ん?なにを?
〇〇 : だから...その...
〇〇 : 俺の......井上とのことです。
橋本 : ふっ、ふふっ...!ははははっ!
橋本 : ま、それは本人から直接聞いたからね。
〇〇 : ...へ?ほ、本人から?直接...?
橋本 : うん。
橋本 : ていうか、聞くしかなかったし。
〇〇 : ......?
〇〇 : えっと...それってどういう流れで......
橋本 : ...ふふふっ、山下くんさ?
橋本 : 使われてない会議室で男女が2人、何を話してるのか 私が気にならないとでも思う?
〇〇 : っ...まぁ...それは.........確かに......
橋本さんの性格なら気にするだろう。絶対。
橋本 : ...っていうのは半分冗談だけど。
〇〇 : ...へ?
橋本 : 本音を言うと心配だったのよ。 彼女が。
橋本 : 勿論、山下くんのことは研修で担当したから ある程度知ってて、信頼もしてるけど
橋本 : 一応、君は男で彼女は女の子なんだから、万が一のことがあるかもしれないでしょ?
橋本 : 彼女、私が会議室に来た時から ずっと不安そうな微妙な顔で山下くんのこと見てたから
橋本 : それで念の為 2人で何してたのか聞かなきゃと思って彼女に問い詰めてみたってわけ。
〇〇 : で...そしたら 井上が正直に話したと...
橋本 : ん。そういうこと。
橋本 : ふふっ...でも、まさかあっちが山下くんに惚れて 告白までするとはね。
橋本 : 良かったじゃん、可愛い子にモテてさ?
〇〇 : ...へ?
「良かったじゃん、可愛い子にモテてさ?」
〇〇 : ...?
良かったじゃん??可愛い子にモテてさ???
〇〇 : あの...良かったんですか?モテて...?
橋本 : うん?うん。
橋本 : ん?嬉しくないの?
〇〇 : え、いや...そ、そりゃ......
〇〇 : ...別に嬉しくないわけじゃないですけど
〇〇 : でも...わかってますよね?
〇〇 : その......相手が相手だってことは。
橋本 : あぁ〜...うん。ははっ、そりゃぁね?
橋本 : だって、だから君 彼女にまだ答えを出してあげられてないんでしょ?きっと。
〇〇 : ......まぁ...はい。
〇〇 : っていうか、ほんとに好きならなんで今このタイミングで告白してきたのかが不思議で
〇〇 : 逆に、急に告白してきたのには何か理由があるんじゃないかって心配になるくらいで...
橋本 : ...はははっ、そっか?
橋本 : まぁ...でも、そこはそんなにそこまで気にすることでもいいんじゃない?
橋本 : まずは早く答えてあげなよ。
橋本 : 付き合うか 付き合わないのか、さ?
〇〇 : っ......あの
〇〇 : ...1つ、橋本さんに聞きたいんですけど
〇〇 : いいんですか?ほんとに付き合っても。
橋本 : ん?
橋本 : はははっ、逆になんでダメだと思うの?
橋本 : 付き合っていいも何も、あっちが付き合いたがってるっていうのに。
〇〇 : や......それは.........わかってますけど...
アイドルの恋愛はご法度。
恋愛スキャンダルなんて、もし出たら
本人には勿論、グループにも迷惑がかかる。
それが暗黙の了解で、周知の事実...でしょ?
橋本 : ...はぁ
橋本 : じゃあ 聞くけど、もし 私が「付き合うのはダメ」って言ったら どうする?
橋本 : 断る?それとも 隠れてでも付き合う?
〇〇 : ......
橋本 : 結局のところはさ?
橋本 : この話って、山下くんが彼女と付き合いたいのか 付き合いたくないのかって話でしょ?
橋本 : 確かに 職業柄 恋愛はタブー扱いされてるけど、 人のプライベートにとやかく言う筋合いなんて本来 誰にもないわけだし。
橋本 : だから、好きにすれば?
橋本 : お互い 生活に支障が出ない範囲でね。
そう言い終えた橋本さんは
手付かずだった枝豆に手を伸ばして、食べる。
一方で、橋本さんの言葉を聞いた俺は
〇〇 : ......わかりました。
〇〇 : じゃあ...好きにしてみようと思います。
井上への答えを決めた。
橋本 : ふふっ、そ。
橋本 : で、一応聞くけど どっちにするの?
〇〇 : ...え?いや、教えませんよ?
橋本 : えぇ?なんでよ。
橋本 : 今日こうして相談乗ってあげたのにさ。
〇〇 : そんな別に 俺から聞かなくたって どうせ井上に聞くじゃないですか、橋本さんは。
橋本 : ふふっ、まぁね?
橋本 : なんなら、どんな結果でも とりあえず私に報告するように言っといてるし。
〇〇 : やっぱり...
〇〇 : さっき、人のプライベートに とやかく言わないって言ってませんでしたっけ?
橋本 : ふふふっ。別に 結果を聞きたいだけだもん。だから とやかくは言ってないでしょ?
〇〇 : ......そりゃぁ そうですけども
「失礼します〜!
すみません!お待たせしましたぁ〜!」
「こちら、タコのサラダと
もつ煮、揚げ出し豆腐ですね〜!」
「焼き鳥の方はまだ少しお待ちください!」
「では、失礼しました〜!」
橋本 : さっ、料理 来たし 話もやめて食べよ?
橋本 : ていうか 聞いといて今更だけど場所も場所だから 仕事の話なんてしない方がいいしね?
〇〇 : ...ですね!
...
...
...
〇〇 : はぁ......
橋本さんと居酒屋で別れ、帰宅し
風呂の湯船に浸かりながら、ため息をはく。
井上への答えは決めた。
...そのはずなのに、まだ迷ってる自分がいる。
その理由は多分
きっと今、まだ酔ってるからなんだろうけど。
明日になれば きっとまた覚悟が固まるはず。
"井上からの告白を............."という、覚悟が。
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