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5期マネの俺はわからない。


〇〇 : おはよう。おまたせ。



助手席の窓を開けて言う。
すると、後部座席のドアがガコンと開いた。



アル : んしょっ...!おはようございます。




今も尚ときめく日本のアイドル。乃木坂46。


そのメンバーになるのと同じぐらい
とんでもないくらい高い倍率を見事通過し

そして、
その5期生のマネージャーの1人になった俺は

今日、メンバーの1人である
中西の仕事に つくことになっていた。




〇〇 : 朝ごはん食べてきた?



アル : あ、や、まだです。



〇〇 : じゃあ この袋ん中に食べれるのあったら食べな?飲み物は甘いのと苦いのどっちいい?



アル : わー、ありがとうございます!

アル : じゃあ 甘いやつで。



助手席に置いていた
パン屋の袋とカップを中西に手渡す。

それから、撮影所に向けて車を出した。



アル : んっ!うまっ!

アル : 〇〇さん 相変わらずセンスがいいですね〜



〇〇 : ははっ、そりゃどーも。

〇〇 : なんか 中西にそう言われると嬉しいよ。



アル : ...えぇ〜?ほんとですかぁ?



〇〇 : ん、ほんとほんと。



アル : ふふっ そう言われると照れますよ〜

アル : ...あ!そういえば 今日の撮影ってお昼で終わりじゃないですか?

アル : 午後からって 私 オフでしたよね?



〇〇 : ん?うん。オフだよ?

〇〇 : あ〜...帰りに車から降ろす場所、事務所の前とかじゃない方がいいって話?



アル : はぁい。出来たら ‪✕‬‪✕‬駅の近くで降ろしてもらえると嬉しいんです。

アル : 今日の午後は 和と一緒に映画見に行く約束してたんで。



〇〇 : へっ...へー?映画好きだよね、ほんと。



アル : はぁい。好きなんです〜。



〇〇 : んまぁ、いいや。りょーかい。



〇〇 : ...んぁ〜、そういえば...さ?

〇〇 : その...井上って 最近なんかあった?



アル : へっ?和...ですか?



会話の中で 井上の名前が出たから
その流れで、中西に井上のことを聞いてみる。


...っていうのも、昨日のことがあったからだ。


"〇〇さんのことが!すっ...好きなんです!"


まさにOut of the blueな
井上からの、まさかまさかの急告白。


"答えは なるべく近いうちに必ず出すよ。"


あの時は頭がこんがらがって
その告白への答えを先延ばしにしてしまったが

昨日、家に帰ってから
井上にどう答えようか考えてるうちに思った。



どうして、急に告白してきたんだろうって。



だって、井上の言ってたことが本当なら
ずっと好きだった......んだよな?俺のことを。

なんか 初めて 一目惚れしたどうとかで...。

でも、そうなら別に もっと早く告白してきても
おかしくなかったはず。

もっと言えば
それこそ アイドルを卒業するまで待てたはず。


なのに、昨日 急に告白してきたってことは

最近、そうさせる「何か」が井上本人に
または、井上の周りであったんじゃないか...?



アル : なんかって...え?例えば なんですか?



〇〇 : え?えぇ?え、えっと...



急に 恋人が欲しくなる時っていうと...
寂しいとか、不安とか......落ち込む?とか?



〇〇 : 例えば...落ち込むことがあった〜とか?



アル : 落ち込むこと...?

アル : さぁ〜?特にそんな話は聞いてないですけど...あ、今日 和に会った時に聞いときます?



〇〇 : あ、や!いいよ。わざわざ聞かなくて。

〇〇 : ただ...

〇〇 : な、中西の目から見て 井上が大丈夫かなーってのを確認しときたかっただけ?だから。

〇〇 : ほら?井上って 大丈夫じゃなくても大丈夫って言って 気負い過ぎるところあるしさ?



アル : あぁ〜、なるほど。それは確かに。

アル : ...よく見てるんですねぇ 和のこと"は"。



〇〇 : えぇ?そ、そうかな〜...?



いやぁ...見れてないから
今、こうして困って聞いてるんですけどもね。

でも、そっか...中西でも知らないか。なら...

...え?どうしよ。
他に誰に聞く?てか、逆に誰なら聞ける?

あぁ、まぁ...直近で
井上と一緒に仕事があったメンバーで絞るなら


菅原と川崎あたりか...


...なんて、考えている間に現場へ着いていた。



〇〇 : よし、いこうか。



アル : はーい。



2人で車を降りてから
撮影の準備のため、一旦中西とは別れる。



「やー、アルノちゃんの歌声って素晴らしいよね。芯があるというか 自分があるというか。」

「だから 今回 オファーさせて貰ったんだ。」



〇〇 : ありがとうございます。

〇〇 : 私から 本人にもそう伝えておきますね。



それから少しだけ
珍しく、プロデューサーの方と話していると



「乃木坂46 中西アルノさん入られまーす!」



アル : よろしくお願いします。



メイクをし、衣装に着替えた中西と合流した。



〇〇 : おー...いいね。

〇〇 : 衣装もメイクもばっちりキマってる。



アル : え...そ、そうですかね?



〇〇 : うん。正直、めちゃくちゃ綺麗よ?

〇〇 : だから もっと自信持ちな?



アル : っ...ふふふっ

アル : またまたぁ 他のメンバーにもそうやって言ってるんですよね?騙されませんよ、私は。

アル : でも...ありがとうございます。

アル : なんだか 自信でてきました。



〇〇 : そう?なら よかった。



アル : ...あの、〇〇さん。



〇〇 : うん?



アル : ちゃんと見ててくださいね。私のことも。



〇〇 : ...?うん。もちろん。



アル : 今日の曲は...

「中西アルノさーん
マイク位置とポジション確認お願いします!」

アル : ...〇〇さんに向けて歌うつもりなので。



アル : はーい。



〇〇 : ...?中西?今 「今日の曲は...」の後なんか言わなかった?

〇〇 : スタッフさんの声、ちょうど重なっちゃったせいで全然聞こえなかったんだけど。



アル : えぇ〜?別に 何も言ってないですよ〜

アル : 〇〇さんの勘違いです。



〇〇 : そ、そう?まぁ...そっか。そうかも。



アル : ふふっ...じゃあ 私 行ってきます。



〇〇 : ん。行ってらっしゃい。



中西をセットの方へと送り出す。
それから、まもなくして撮影が始まった。



「それじゃあ
今回 アルノちゃんにカバーしてもらう曲は...」

「阿部真央さんの
"貴方の恋人になりたいのです" です。どうぞ。」


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