5期マネの俺はわからない。
茉央 : あっ!おはようございます!〇〇さん!
5期 : おはようございまーす!!
〇〇 : おはよう。五百城、みんな。
今も尚ときめく日本のアイドル。乃木坂46。
そのメンバーになるのと同じぐらい
とんでもないくらい高い倍率を見事通過し
そして、
その5期生のマネージャーの1人になった俺は
〇〇 : あ、ちょっと 井上いる?
和 : !?は、はい!なんですか...?
〇〇 : 今日さ?悪いんだけど レッスン終わったら そのままこのレッスン室に残ってくれる?
〇〇 : その...大事な話があるから。
和 : ...はい!わかりました!
メンバーである井上に「話がある」と
レッスン後
そのままレッスン室にいるよう声をかけた。
...
...
...
姫奈 : じゃ 〇〇さん!おつかれさまでーす!
瑛紗 : お疲れ様でーす。
アル : お疲れ様でーす。
〇〇 : ん、お疲れ様。体調気をつけて。
姫奈 : あははっ!そんなのわかってますよ〜!
瑛紗 : ねぇねぇ、今日なに食べて帰る?
アル : んー...無難にまた焼肉でいいんじゃね?
姫奈 : っはははっ!
姫奈 : ねぇ!またこの焼肉の流れ今週3回目だって!
岡本の大きい笑い声が廊下へ響き渡っていく
その一方で、レッスン室はというと......
和 : ......
〇〇 : ......
静かで
何とも言えない緊張感が漂い始めていた。
〇〇 : ...よし。じゃあ みんな帰ったことだし。
〇〇 : あの時の話の続き...してもいい?
和 : は、はい...
〇〇 : うん。んー...と......さ?
〇〇 : まずは この前、井上が俺に伝えてきてくれたことついての答えなんだけど...
〇〇 : 改めて、ほんとに付き合いたい?
〇〇 : その...こんな俺なんかと。
和 : っ...は、はい!
和 : 付き合いたいです...!〇〇さんがいいなら
〇〇 : ...そっか?なら......
〇〇 : 付き合っちゃおうか?俺達。
和 : ......へっ?
和 : いっ、今、なんて言いましたか...?
〇〇 : うん?だから...
〇〇 : 付き合おう、井上。俺でいいなら。
和 : .....えっ...え?えっと......
和 : い、いいん...ですか?ほんとに...?
〇〇 : ...?ははっ、なんで疑うのさ。
〇〇 : いいんだよ。うん。
〇〇 : ...でも、ちょっとルール 決めてもいい?
和 : ...?ルール...?ですか...?
〇〇 : そ。
〇〇 : ...一応さ?井上もわかってると思うけど、今の井上の仕事は"アイドル"でしょ?
〇〇 : 俺と...いや、たとえ俺とじゃなくたって、誰かと付き合ってることが もしバレた時
〇〇 : いったいどうなるのか 想像はつくよね?
和 : っ......はい。
〇〇 : うん。だから、付き合ってるのをバレないようにするために ある程度のルール?ていうか、線引きみたいなの作った方いいかなって。
〇〇 : ...いい?
和 : は、はい...!
〇〇 : ん、それで まず言うと...
〇〇 : 付き合ってることは2人だけの秘密。
〇〇 : もちろん、橋本さんにも絶対に。
〇〇 : それと...
〇〇 : なにか恋人らしいことをするのは、基本全部この事務所の中で 2人きりの時にしよう。
〇〇 : 外で仕事の時だと 今の時代 いつどこで誰が何を見てるかがわからないから。
〇〇 : と、まぁ...こんな感じで2つ。どう?
和 : ......
和 : .........
〇〇 : ......
あらかじめ考えていた"ルール"を井上に話す。
すると、井上は黙ってしまった。
...が、それもそのはずだと思う。
だって、こんなルールの中で付き合ったって
きっと井上は
"付き合ってる"のを実感できないだろうから。
井上との関係を誰にもバレないようにする。
そのために俺が考えた2つのルール。
1.「付き合ってることは2人だけの秘密。」
2.「恋人らしいことをするのは
基本全部この事務所の中で、2人きりの時。」
ただ実際、このルールを守るとなると
俺と井上の恋人としての時間は結構限られる。
...いや、もはや ほぼないと言ってもいい。
5期生の外での仕事につくことが多い都合上
俺がそもそも事務所にずっといる訳では無いし
井上は3期、4期さんとの仕事が多いために
事務所に来る機会がまずそこまで多くないし
...とはいえ、バレないようにするためには
ここまでしないといけないのも事実なわけで。
だから、井上には 諦めてほしいと思っていた。
"俺と付き合う"ということそのものを。
和 : ...わかりました。
和 : じゃあ ちょうど今ならいいんですよね...?
和 : その...恋人らしいこととかしても...
しかし、現実はそううまくはいかないらしい。
〇〇 : へっ?あ、まぁ...うん。
和 : なら...
和 : ...抱きしめてもらってもいいですか?
〇〇 : 抱きしめて...?
〇〇 : っ...!
井上の言葉に困惑していたその瞬間
爽やかめな制汗剤の匂いと軽い衝撃が
自分の体にぶつかる。
そして、俺はその正体が井上だと認識する前に
反射的にそれを受け止めてしまっていた。
和 : ...好きです。〇〇さん。
和 : ほんとに...大好きなんです。
〇〇 : っ...
「異性としてなら 何とも思ってないよ?」
「てか、逆に思わないようにもしてるし。」
井上に密着されながら
自分が過去に言ったことを頭の中で繰り返す。
なぜなら、そうでもしないと...
〇〇 : お...
"マネージャーである"という今の自分の理性が
保てなくなると思ったから。
〇〇 : 俺も...
...けど、そうしていても
〇〇 : 俺も好きだよ。井上。
結局、俺はそれを保つことができなかった。
和 : ...今は"和"って名前で呼んでくださいよ。
〇〇 : っ......和?
和 : ...んふふっ、なんですか?
〇〇 : ...今日 もう疲れてるでしょ?
〇〇 : 俺が家の近くまで送ってくから 帰ろう?
和 : ...はい。でも......
和 : もうちょっとだけ...こうさせてください。
〇〇 : ...うん。ふふっ...いいよ。
そうして
井上のことを抱きしめながら、俺は願った。
俺と井上のこの関係が
いつまで続けられるのかは今はわからないけど
どうか
井上がアイドルとしての輝きを失わないよう
誰にも この関係がバレませんように、と。
...あれ?そういえば......
〇〇 : ...あのさ?
〇〇 : 今こんなこと聞くのも変なんだけど....
和 : ...?
〇〇 : 井上...じゃなくて、和は ずっと前から俺のことが好きだったって言ってくれたよね?
〇〇 : なのに、どうして今頃になってこう...こうして 俺に告白しようと思ったの?
和 : っ...それは.........
和 : ......なんとなく...です。なんとなく...。
和 : ...〇〇さんが..."......に.........だった"から...
〇〇 : ...?
「なんとなく」と、そう言ったあと
井上がモゾモゾと小声で何か言った気がする。
それで
なんて言ったのか聞き直そうとした、その時
コンコン
と、レッスン室の扉からノック音が鳴って
俺と井上は、慌てて素早く互いに体を離した。
「失礼しま...」
「あっ...ふぇっ!?
和と〇〇さん、まだ残ってたんですか!?」
〇〇 : あ、う、うん!ちょっとまだ話してて...
〇〇 : っていうか どうしたの?中西。
〇〇 : さっき 岡本 池田と帰ってなかった?
アル : あぁ...それがですね。
アル : 焼肉行く途中に3人で近くのコンビニに寄ったんですけど、なぜか私の財布がなくて。
アル : それで、2人にここに忘れたんじゃないかって言われたので 取りに戻ってきたんです。
〇〇 : な、なるほど。そういうこと。
和 : ...あっ、アルの財布ってあれじゃない?
和 : あそこの 床の端っこに置いてあるやつ。
アル : ぅ〜あ!ほんとだ。あったあった。
アル : や〜...見つかってよかったです。
アル : 私、ほんと最近すぐ物なくすので。
〇〇 : ほんと?じゃあ ちゃんと気をつけなよ?
〇〇 : レッスン室だったからよかったけど、外で財布とかスマホとか無くしたら危ないから。
アル : はぁい、すいません。気をつけます。
アル : んぁ、じゃあ 私 もう行きますね。
アル : 財布も見つかったことですし。
〇〇 : お、う、うん。おつかれ。
アル : お疲れ様でーす。
アル : また明日、和。
和 : う、うん!また明日!
そうして、中西が部屋を出ていくと
再び、レッスン室には俺と井上の2人になる。
けど、さすがに...
〇〇 : っと...じゃあ 井上も...もう帰る?
和 : は、はい。そうしときます。
さっきみたいな雰囲気には戻れなかった。
〇〇 : あ...
...ていうか、まさか今までの会話全部聞かれて
中西に俺達のことバレてないよね?
いや、もうそんなの考えだしたらキリがない。
だって、これから俺は
今も尚ときめく日本のアイドル、乃木坂46
そのメンバーの1人である
井上と......井上和と付き合っていくのだから。
5期マネの俺はわからない。 The endo🌸
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